(財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成22年
 
平成22年1月 報文抄録
 

【特集報文】 低炭素社会に向けたLCAの導入 −次世代の社会資本整備に向けて−

岸田弘之・曽根真理・瀧本真理

<抄録> 近年、環境問題の中心は公害などから地球温暖化防止、廃棄物・資源など持続可能性分野へと移ってきており、次世代の社会資本整備において持続可能性を評価するためにはLCAの導入が必要である。LCAの導入にあたり課題となっている建設資材ごとの環境負荷量原単位を整理したインベントリ・データ及びLCA計算手法の開発の状況を紹介する。

<キーワード> ライフ・サイクル・アセスメント、持続可能性、温室効果ガス、廃棄物、建設資材

【特集報文】 土木材料の現状と将来の方向性 −次世代の土木材料に向けて−

西崎 到

<抄録> 次世代に向けた土木材料の改良・開発の方向性について、現在の土木材料(鉄鋼材料、コンクリート、FRPなど)に関する技術開発の事例を紹介するとともに、複合化や材料の環境負荷特性など、近年注目を浴びつつある材料に関する研究の動向をもとに紹介した。

<キーワード> 土木材料、次世代、新材料、技術開発、方向性

 

【特集報文】 建設現場におけるIT・RT普及 −次世代の施工技術に向けて−

藤野健一・茂木正晴・大槻 崇

<抄録> IT(情報関連技術)・RT(ロボット技術)は、品質・生産性の向上や安全性などへの対応として工場の生産ライン等で多岐に渡り活用されている技術であり、建設現場においてもIT・RTを利用した情報化施工を導入することにより品質・生産性・安全性等の確保・向上が可能となる。本報告では、建設施工分野における現在のIT・RTの技術動向及び課題を整理し、次世代に建設施工に大きく貢献するIT・RTの効果的な普及方策について今後の方策を考察した。

<キーワード> IT・RT、ロボット技術、ICT、情報化施工、品質の向上、施工管理

 

【特集報文】 構造物に対する非破壊検査技術 −次世代の構造物診断に向けて−

木村嘉富

<抄録>  今後急速に高齢化する我が国の社会資本を適切に管理するためには、診断のための情報を得る非破壊検査技術の高度化が不可欠である。コンクリート道路橋を題材として、診断のために必要となる情報とそれらを得るための新しい技術開発の方向性、それらの開発を支援するための土木研究所の取り組みを紹介する。

<キーワード> コンクリート構造物、診断、非破壊検査技術、適用性確認

 

【特集報文】 千年ダム構想に向けた老朽化の形態調査と安全性への影響評価
−次世代のダム管理に向けて−

山口嘉一・林 直良・吉永寿幸・下山顕治・塚越雅之

<抄録> わが国では、新規のダム建設が困難となってきており、既設ダムをできる限り長期にわたって健全な状態に保つとともに必要に応じて再開発して有効利用する必要がある。そのためには、ダムの診断点検を効果的に実施して超長寿命化を図ることが望まれる。これが「千年ダム構想」である。この千年ダム構想を実現するためには、ダムの老朽化の形態やそれがダムの安全性に与える影響を踏まえた管理・点検方法を確立し、できる限り早期の段階で、低コストの維持管理・補修を適切に施すことで超長寿命化コストの最小化を図る必要がある。
本報文では、ダムの老朽化原因を踏まえた老朽化形態把握のための事例調査や各種老朽化形態がダムの安全性に与える影響の概略分析について報告する。

<キーワード> ダム、老朽化、再開発、超長寿命化

 

【特集報文】 レーダー降水量データの活用 −次世代の雪崩対策技術に向けて−

伊藤陽一・富樫香流・石井靖雄

<抄録> レーダー降水量データから表層雪崩の発生危険度を求める手法を用いて、平成18年豪雪時の危険度と実際の雪崩発生状況を比較した結果、雪崩発生前に多量の降雪が継続して発生した雪崩については、発生をよく予測できることが確認された。また、雪崩発生の危険度の大きい時期を短期間に限定して評価できることがわかった。

<キーワード> 雪崩、解析雨量、積雪安定度、発生予測、なだれ注意報

 

【特集報文】 舗装技術の現状と将来の方向性 −次世代の舗装技術に向けて−

久保和幸

<抄録> 平成13年度に舗装に関する技術基準類が性能規定化され、舗装技術の自由度が高まり新技術を採用しやすい環境が整えられた。舗装の性能規定化の背景と概要を述べるとともに、次世代の舗装技術を考えるためのキーワードとして「長寿命化」と「環境」を取り上げ、技術開発の方向性に関する意見を述べる。

<キーワード> 舗装、環境、技術開発、性能規定化、長寿命化

 

【特集報文】 海のITSを目指すAIS技術 −次世代の海・陸物流支援システムに向けて−

高橋宏直

<抄録> 道路交通で進められているITSを海上交通にも展開するのは困難であると考えられてきた。しかしながら、船舶を自動的に識別できるAIS(Automatic Idetification System)により、海のITSが現実化している。本論文では、AISの現状と海のITSに向けた技術展開について紹介する。

<キーワード> AIS、海のITS、海・陸物流支援システム

 

【土研センター】 補強土壁の荷重・耐力係数設計法

宮田喜壽・中根 淳

<抄録> 1998年に構造物の安定性を信頼性ベースで評価することを定めたISO2394が制定された以降、諸外国では、補強土壁工法の設計法を限界状態設計法に更新しており、我が国においても、国際整合性を有する技術体系が必須になっている。本文では、補強土壁を対象に、信頼性ベースの限界状態設計法の中で最も実用的な荷重・耐力係数設計法について解説を行う。併せて補強土壁の荷重・耐力係数設計法に関する研究事例として、補強土壁のひずみ計測事例を集めたデータベースから部分安全係数の算定例を紹介した。

<キーワード> 補強土壁、諸外国、限界状態設計法、荷重・耐力係数設計法、部分安全係数

 

 

 
平成22年2月 報文抄録
 

【特集報文】 岩手宮城内陸地震で発生した天然ダムの越流侵食状況の数値シミュレーション

田村圭司・内田太郎・吉野弘祐・森 俊勇・里深好文

<抄録> 2008年6月に発生した岩手宮城内陸地震では多くの天然ダムが生じた。その一つの沼倉裏沢地区に形成した天然ダムに関して、越流侵食状況の数値シミュレーションを行い、越流侵食前後に計測されたレーザプロファイラデータ等を用いて現象の再現を試みた。検討の結果、河床変動状況や越流侵食時に発生する急激な流量増加を表現できていた。

<キーワード> 天然ダム、越流侵食、数値シミュレーション、LADOFモデル、レーザプロファイラ

【特集報文】 2008年岩手・宮城内陸地震により発生した地すべりの特徴

丸山清輝・千田容嗣・ハスバートル・藤澤和範・石井靖雄

<抄録> 岩手・宮城内陸地震により発生した地すべりについて、多発した地すべりの震源断層からの距離と地すべりの規模、地質・地質構造と地すべり発生との関係などの特徴を報告するとともに、特に規模の大きかった荒砥沢地区の地すべりについて報告する。

<キーワード> 地震、地すべり、震源断層、地質・地質構造、大規模地すべり

 

【特集報文】 2008年岩手・宮城内陸地震により生じた天然ダム危険度評価の考え方

水野秀明

<抄録> 平成20年6月14日に岩手・宮城内陸地震が発生した際、多数の山腹が崩れ、渓谷を埋めた。その後、渓谷を流れる水がせき止められ、多くの天然ダムが形成した。著者らが迫川流域に着目してリスク評価を行ったところ、3集落において氾濫の危険性が高まっていた。また、湯浜地区で渓谷を埋めた土砂は大きな岩で覆われていたため、急激に侵食されなかった。本報告ではそれらを取りまとめて報告する。

<キーワード> 岩手・宮城内陸地震、天然ダム、災害リスク、危険度評価、時系列変化

 

【特集報文】 2008年岩手・宮城内陸地震により生じた天然ダムの監視を通じて明らかになった技術的課題

山越隆雄・松岡 暁・田村圭司・伊藤洋輔

<抄録> 天然ダムが発生すると、上流部では浸水による被害が、下流部では閉塞部の決壊による土石流、洪水、崩壊部の拡大崩壊など甚大な二次災害が発生する危険性が生じ、その監視が必須となる。天然ダムが多数発生した岩手・宮城内陸地震への対応を通じて新たに明らかになった天然ダム監視に関する技術的課題と、これらに対する土木研究所の取組みを紹介する。

<キーワード> 天然ダム、監視、簡易レーザー測距計、投下型水位観測ブイ、土石流等検知センサー

 

【特集報文】 2008年岩手・宮城内陸地震により生じた祭畤大橋の落橋とそのメカニズム

玉越隆史・生田浩一・運上茂樹・堺 淳一

<抄録> 地震の影響で落橋した国道342号祭畤(まつるべ)大橋について、TEC-FORCEによる被災状況調査及びその結果に基づく分析検討、並びに岩手県が設置した調査検討委員会において被災メカニズムの推定を行った。その結果、A2橋台側で生じた大規模な地山崩壊により地盤とともにA2橋台及びP2橋脚が強制的に移動し、P1橋脚の破壊から上部構造の落下に至ったものと推定された。

<キーワード> 地震、落橋、地山崩壊、地すべり地形

 

【特集報文】 2008年岩手・宮城内陸地震により生じた河道閉塞の緊急対策

小松 寿

<抄録> 平成20年6月14日岩手県内陸南部を震源とするM7.2の地震が発生した。震源地に近い栗駒山系では15箇所の天延ダムの形成が確認され、そのうち9箇所について直轄災害関連緊急砂防事業により復旧事業を実施している。緊急対策として実施した土砂災害対策を紹介する。

<キーワード> 地震、天然ダム、土砂災害、対策、復旧

 

【報文】 地すべり地における地下水排除工の閉塞の実態とその原因

丸山清輝・石井靖雄・ハスバートル

<抄録> 全国地すべり・がけ崩れ対策協議会と共同で、地下水排除工の閉塞に関する全国的な調査を実施した。その結果、横ボーリングを閉塞させている原因は鉄細菌、藻類、泥であり、特に鉄細菌が原因である場合が他のものより多かった。また、鉄細菌が関与した横ボーリングの閉塞は、地下水中の全鉄の量が約1.00mg/l 以上で顕著であった。

<キーワード> 地すべり、地下水排除工、集水管、閉塞

 

【報文】 フローサイトメトリーによる湖水中の植物プランクトン群集の簡易・迅速測定

北村友一・鈴木 穣

<抄録> 湖水中の植物プランクトン群集の簡易・迅速検出の開発を目指し、霞ヶ浦湖水を測定対象としてフローサイトメトリーの適用性を検討した。フローサイトメトリーによる湖水中の植物プランクトン測定では、植物プランクトンの前方散乱強度と細胞内に含有するクロロフィルなどの色素の蛍光強度の関係から、植物プランクトンを概ね分類・定量できることがわかった。本法により、霞ヶ浦の植物プランクトン群集の季節変化の把握も試みたところ、春冬にケイ藻、夏季に微細藍藻の割合が高くなる傾向がみられた。

<キーワード> フローサイトメトリー、 植物プランクトン、 霞ヶ浦

 

 
平成22年3月 報文抄録
 

【報文】 地震後の橋台背面土の沈下量に関する解析

宮田弘和・小林篤司・白戸真大・中谷昌一

<抄録> 道路橋のコスト低減や維持管理の軽減に資すると考えられるインテグラルアバット橋において、水平支持を分担する橋梁アプローチ構造のレベル2地震時に対する応答を解析的に検討した。その結果、原地盤に液状化が生じる恐れがある場合にはある程度適用が制限されることなどが分かった。

<キーワード> インテグラルアバット橋、橋台背面土、橋梁アプローチ構造、液状化、沈下

【報文】 斜面崩壊検知センサーを用いた斜面監視の実施

内田太郎・秋山浩一・田村圭司・松下一樹

<抄録> 土砂災害は突然発生し災害発生直前まで切迫性を感じにくく、事前に避難が勧告された事例は必ずしも多くない。そこで、より土砂災害の切迫性をリアルタイムで把握することを目的に、近年開発された、表層崩壊発生危険度評価手法と斜面崩壊検知センサーを酌みあわせた新たな斜面監視手法の検討を行った。

<キーワード> 土砂災害、警戒避難、斜面崩壊検知センサー、斜面監視、表層崩壊危険度評価

 

【報文】 数値解析による地すべりとトンネルの影響評価

藤澤和範・奥田慎吾・九田敬行

<抄録> 地すべりによるトンネルの被災を回避・軽減するためには、地すべりとトンネルの相互影響を適切に評価する必要がある。そこで、数値解析手法を用いて、地すべりとトンネルの位置関係や基盤の物性値を変化させたパラメトリックスタディを行い、相互影響を定量的に評価する方法を検討した。

<キーワード> 地すべり、トンネル、数値解析、離隔距離、道路計画

 

【報文】 ゲート設備の健全度と寿命評価

田中義光・藤野健一

<抄録> 河川環境に曝されるゲート設備においては、腐食の進行が強度、寿命に大きな影響を与える。本報文は、ゲート設備の材質や設置環境による腐食形態、材質及び設置環境と腐食速度の関係を明らかにするとともに、腐食量と強度の関係を評価する方法についてまとめたものである。

<キーワード> ゲート設備、腐食、強度、ステンレス、暴露試験

 

【報文】 セメント固化改良体の許容圧縮応力度に関する研究

原田健二・谷本俊輔・河野哲也・白戸真大・中谷昌一

<抄録> 各種構造物の基礎地盤の安定性の向上や沈下低減を目的に、基礎地盤をセメント等の安定材を混合させることで固化させることは広く行われている。橋梁の基礎に適用する場合でも、橋梁の特性を踏まえた上で、材料係数や許容応力度を設定する必要がある。本報では、セメント固化改良体について繰返し一軸圧縮試験を実施し、繰返し圧縮荷重に対する疲労強度に基づいて固化体の許容圧縮応力度を設定する方法を提案した。

<キーワード> セメント固化改良体、許容応力度、繰返し一軸圧縮試験、疲労強度

 

【報文】 火山噴火後に土石流が発生した事例

田村圭司・山越隆雄・松岡 暁・安養寺信夫

<抄録> 火山噴火によって火山灰や火砕流堆積物に覆われた山地斜面を流域とする渓流では、噴火前には土石流を発生させなかったような小さな降雨によっても土石流が発生するようになることが知られている。本報告では、火山が噴火して、噴火後の雨で土石流が発生するようになる火山灰等の堆積量とはどの程度なのか、過去の調査事例のレビューを通じて例示するとともに、火山灰等の堆積量と土石流発生危険度の間の関係を議論する。

<キーワード> 火山噴火、土石流、降灰分布、火山灰堆積厚

 

【報文】 流量観測高度化に関する富士川南部観測所における取組

萬矢敦啓・菅野裕也・深見和彦・葭澤広好・宮本孝行

<抄録> 国土交通省河川局の流量観測高度化プロジェクトに関して、技術的な背景、各機関の役割分担について富士川南部観測所等における試み、計測に関する課題などを述べた。ここでは電波式流速計、複数の水位計を用いた水面勾配、河床高自動計測、ADCPを用いた基準流量の算定方法に関して計測例を説明した。

<キーワード> 流量自動観測、ADCP、電波式流速計、河床高自動計測、流速補正係数

 

【土研センター】 補強土壁の施工指針に関する欧州の動向

宮田喜壽・中根 淳

<抄録> 補強土壁は、盛土材の種類に応じて、補強材、壁面工、排水工を適切に選定・配置し、確実な施工(締固め)を行えば、旧来のコンクリート擁壁に比べ非常に高い安定性を示す事が知られている。欧州では、その設計法を限界状態設計法に移行する手続きを進める一方で、施工指針の策定に力を注ぎ、補強土壁で生じやすい事故を未然に防ぐよう配慮している。本報では、補強土壁の施工指針の概要を紹介した。

<キーワード> 補強土壁、諸外国、施工指針

 

 

 
平成22年4月 報文抄録
 

【特集報文】 地球温暖化防止の推進にむけて
―下水道における地球温暖化防止実行計画策定の手引き改訂―

小越眞佐司・榊原 隆

<抄録> 下水道事業は地方公共団体の事務事業活動に伴う温室効果ガス排出量の中で大きな割合を占めており、その削減は地方公共団体における地球温暖化対策の中で重要な位置を占める。このたび、平成11年に定めた「下水道における地球温暖化防止実行計画策定の手引き」を改訂し、「下水道における地球温暖化防止推進計画策定の手引き」が取りまとめられたので、その概要を紹介し、下水道における地球温暖化防止推進計画策定に係る主なポイントを紹介する。

<キーワード> 地球温暖化防止実行計画、温室効果ガス、排出抑制計画、下水道事業

【特集報文】 下水処理施設における一酸化二窒素ガス発生量の削減

宮本綾子・小越眞佐司

<抄録> 水処理過程における一酸化二窒素(N2O)発生量の実態を把握し、より正確な発生量原単位を把握するため、実処理場における24時間調査を実施した。各種の水処理法からの発生量データを収集するとともに、N2O発生量に影響を与える要因について検討した内容について報告する。

<キーワード> 一酸化二窒素(N2O)、排出量原単位、亜硝酸性窒素、A-SRT

 

【特集報文】 下水処理施設におけるライフサイクルアセスメントの考え方

西村峻介・荒谷裕介

<抄録> 下水道事業は、生活環境の改善や、公共用水域の水質保全に寄与する一方、その施設の建設や運転時におけるエネルギー資源消費や温室効果ガスの排出など、様々な環境負荷を与える側面を有している。そのため、下水道事業者は下水道事業が与える中長期的な環境負荷を定量的に評価する必要があり、ライフサイクルアセスメント(以下、LCA)の適用は有効な手法の一つである。
本稿は、下水道事業にライフサイクルアセスメント(LCA)を適用する際の基本的な考え方、環境負荷量算定方法等の概要を紹介するものである。

<キーワード> 下水道、LCA、環境負荷、地球温暖化

 

【特集報文】 バイオ天然ガスの利用―下水からつくる自動車燃料―

岡本誠一郎・落 修一・田中裕子・豊久志朗

<抄録> 下水汚泥の処理工程で発生するバイオガス(消化ガス)に対して、高圧水吸収法によりメタン濃度を97%以上としつつ、不純物を取り除いて、都市ガスとほぼ同程度に精製する「バイオ天然ガス化装置」を実用化した。神戸市では、本技術の適用により精製ガスをCNG車の燃料として供給しており、消化ガスの利用用途の拡大を実現した。

<キーワード> 消化ガス、メタン、高圧水吸収法、バイオ天然ガス、天然ガス自動車

 

【特集報文】 過給式流動炉を用いた草木バイオマスと下水汚泥の混合燃焼

宮本豊尚・岡本誠一郎・落 修一・長沢英和・小関多賀美・鈴木善三

<抄録> 省エネルギー型の下水汚泥燃焼システムとして開発した過給式流動燃焼システムは、木材廃棄物や刈草を混合して燃焼することも可能である。混焼時でも炉内の燃焼温度・圧力が安定しており、排気ガス性状も変化しなかった。また、バイオマスを補助燃料として利用することにより重油量を削減できることを明らかとした。

<キーワード> 過給式流動燃焼システム、草木系バイオマス、省エネルギー、地球温暖化対策、実証実験

 

【現地レポート】 アースプラン2010による地球温暖化防止―東京都の取組み―

井上 潔

<抄録> 東京都下水道局は、下水処理の過程で多量の温室効果ガスを排出しており、今後も下水道機能の向上に伴い温室効果ガス増加が見込まれるため、その削減を率先して行う必要がある。このため、地球温暖化防止計画として、2020年度までに温室効果ガス排出量を2000年度比25%削減することを目標とした「アースプラン2010」を策定した。

<キーワード> アースプラン、カーボンマイナス東京10年プロジェクト、CO2、N2O、汚泥焼却

 

【現地レポート】 環境にやさしいバイオマスタウンの推進―黒部市の取組み―

小崎敏弘・村椿謙一・西本將明

<抄録> 下水道汚泥、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥に加えて、単体ディスポーザー由来の家庭生ゴミやコーヒー滓などの事業系食品残渣を処理場に集約し、PFI事業により建設するバイオガス化施設にて、熱エネルギー回収と発電を行い、併せて、乾燥汚泥の代替燃料利用や生ゴミ減量化により、1,000t-CO2/年以上の削減を目指している。

<キーワード> 新たな資源循環システムの構築、事業系食品残渣、単体ディスポーザー、PFI事業、乾燥汚泥の有効利用

 

【報文】 固化体に支持される橋の直接基礎の支持力特性

谷本俊輔・原田健二・河野哲也・白戸真大・中谷昌一

<抄録> 深層混合処理工法により原位置で改良セメントなどで改良した固化体でケーソン式護岸や盛土などを直接支持することは広く行われている。固化体に支持される橋の直接基礎の支持力特性の解明を目的として、ブロック式と接円式の固化体形式の相違に着目して遠心場において模型実験を実施した。その結果、固化体形式に応じて、異なる破壊形態と荷重に対する抵抗メカニズムが発揮されることが明らかになった。

<キーワード> セメント固化改良体、許容応力度、繰返し一軸圧縮試験、疲労強度

 

【報文】 鋼コンクリートの境界部の腐食に関する調査

田中良樹・村越 潤

<抄録> コンクリートに埋め込まれた鋼材の埋込み境界部に、鋼材の著しい腐食が見られることがある。本文では、実構造物の調査や室内試験で見られた埋込み境界部の腐食状況を紹介する。また、これらの結果を踏まえて、埋込み境界部の腐食について、現時点で考えられる要因と留意点を整理するとともに、今後の課題を示す。

<キーワード> 腐食、塩害、防護柵、パイルベント、鋼コンクリート複合構造

 


平成22年5月 報文抄録
 

【報文】 EUの建設製品指令(CPD)とその改正案

松井謙二・木村 慎・菊地 稔

<抄録> 欧州連合(EU)において1989年に施行された建設製品指令(CPD)は、建設分野の技術基準と技術認証の根幹をなすものであるが、20年に及ぶ実際の運用から様々な問題も指摘されてきていた。本稿では現行CPDとその問題点を概説するとともに、2008年春に欧州委員会から出されたCPD改正案(CPR)のポイントを紹介する。

<キーワード> 建設製品指令(CPD)、CPR、基本的要求事項、CEマーキング、サステナビリティ

【報文】 廉価な消化ガスエンジン発電システムの開発

宮本豊尚・岡本誠一郎・落 修一・大内公安・茅 洪新

<抄録> 消化ガスの利用促進のため廉価な消化ガスエンジン発電システムの開発を行った。市販のディーゼル発電機を改造することにより、下水処理場で発生する消化ガスによる発電が可能であることを証明し、処理場内の施設へ約40日間にわたり安定して電力を供給することに成功した。

<キーワード> 消化ガス発電、実証実験、エネルギー利用、地球温暖化対策

 

【報文】 流域の汚濁負荷対策の違いが湖沼底質に与える影響

中薗孝裕・久岡夏樹・鈴木 穣

<抄録> 流域の下水道など汚水処理施設整備による汚濁負荷量の削減程度の異なる湖沼において、汚濁負荷の程度と底泥からの溶出速度の関係を検討した。その結果、リン溶出速度は人由来汚濁負荷の湖面積に対する大きさとの関係が見られた。

<キーワード> 湖沼、汚水処理施設、底質、栄養塩類溶出速度

 

【報文】 建設発生木材を用いた法面緑化工法の現地適用

桜井健介・平野 篤・中村 剛・塚本博成・岡本誠一郎

<抄録> これまでに、土木研究所、日本植生株式会社、ライト工業株式会社、東興建設株式会社は、共同研究により、木質爆砕物をピートモスの代替材料として法面緑化資材へ利用する工法を開発した。本報文では、本工法をダム建設工区内の道路法面に適用したその施工性、生育基盤の耐侵食性、植物の生育性の調査結果、および、環境への影響として温室効果ガス排出抑制効果についての評価結果を報告する。

<キーワード> 建設発生木材、爆砕、ピートモス、法面緑化、温室効果ガス

 

【報文】 コンクリート用骨材の簡易な耐凍害性評価手法

伊佐見和大・片平 博・渡辺博志

<抄録> 粗骨材がコンクリートの耐凍害性に与える影響を評価するため、現行の粗骨材の安定性試験よりも簡易な、粗骨材の簡易凍結融解試験(PP試験)を試みた。この結果、PP試験結果は安定性と相関性があり、コンクリートの耐凍害性(耐久性指数)との相関性も、安定性と同程度以上であった。

<キーワード> 低品質骨材、耐凍害性、安定性、耐久性指数、簡易試験

 

【報文】 シリンダー型のダンパーを用いた橋梁模型の振動台実験とそのシミュレーション解析

岡田太賀雄・運上茂樹・星隈順一

<抄録> 近年、既設橋の耐震補強に対して制震ダンパーが採用される事例も増えてきているが、制震構造を用いた橋梁については、橋全体系の地震時挙動について、また、モデル化の妥当性について振動台実験等により検証した例は少ない。本文では、制震ダンパーを有する橋梁模型の振動台実験とそのシミュレーション解析を行い、これらの検討を行った結果について報告する。

<キーワード> ダンパー、振動台実験、シミュレーション解析、制震効果、モデル化

 

【報文】 地すべり抑止工を併用した場合の抑止効果に影響を及ぼすグラウンドアンカー工のパラメータ(設計要素)

窪塚大輔・石田孝司・藤澤和範

<抄録> 杭工とアンカー工を併用させた遠心力模型実験を再現できるFEM解析モデルを構築し、解析結果から抑止効果や抑止力負担割合に影響を及ぼすアンカー工のパラメータについて検討した。検討した結果、アンカー工の初期緊張力の導入量は、抑止効果や抑止力負担割合に影響を及ぼすパラメータとして評価できる。

<キーワード> 杭工、アンカー工、抑止効果、抑止力負担割合、初期緊張力

【報文】 既設ケーソン基礎の耐荷力に関する模型実験

豊島孝之・谷本俊輔・飯田明弘・白戸真大・中谷昌一

<抄録> 平成8年の道示適用前のケーソン基礎は、それ以後のケーソン基礎と比較して、軸方向鉄筋量が極めて少ないものが多く存在するが、地中にあるときの挙動は不明である。そこで、既設ケーソン基礎の実態調査と傾向分析をもとに代表的な基礎形状や配筋諸元を設定し、土中部で周辺地盤・土圧の影響を考慮した大型模型載荷実験を行った。

<キーワード> 低鉄筋断面、既設ケーソン基礎、載荷実験、耐震性能

 

【現地レポート】 中部地方整備局における建設ICT導入の取組み

増 竜郎・下村 卓・赤坂正人・岩崎哲也

<抄録> 情報化施工を初めとする建設ICTの活用により、事業の効率及び効果の向上を通じ、生産性の向上・行政サービスの向上を目指すことを目的とし、情報化施工推進戦略及びCALS/ECアクションプログラムの現場への適用に向け、中部地方整備局において建設ICT導入を開始した。これまでの活動とモデル事業の取組結果を紹介する。

<キーワード> 建設ICT、情報の有効活用、建設ICT導入研究会、ICTモデル事業、3次元設計

 

【土研センター】 路面のすべり摩擦係数と路面管理水準及びすべり事故

安藤和彦、倉持智明

<抄録> 路面のすべり摩擦係数は、道路の線形設計において根幹となる因子であり、近年、米国ですべり摩擦の設計管理に関する新たな基準書が発出されるなど、欧米諸国ではすべり摩擦に関する調査研究が継続的に行われている。ここでは、諸外国の調査研究等をもとに、路面の管理のためのすべり摩擦の設定値とすべり事故との関係について整理を行った。

<キーワード> 路面管理、すべり摩擦係数、諸外国基準、すべり事故

 

 

 
平成22年6月 報文抄録
 

【特集報文】 サイト概念モデルを用いた土壌・地下水汚染の管理・制御技術

山木正彦・森 啓年・佐々木哲也・稲垣由紀子・塚本将康

<抄録> 土壌・地下水汚染の対応では、その影響を評価し、適切な対策を実施することが重要である。そこで、土質・振動チームでは、サイト毎の発生源特性、周辺状況、地盤特性を考慮したサイト概念モデルを構築し、移流分散解析等により影響評価を行い、適切な対応を実施可能にする「サイト概念モデルによる影響評価」に関する研究に取り組んでいる。本報文では、当影響評価の概要とともに、簡易な影響評価ツール「1DTRANSU」について報告する。

<キーワード> 土壌汚染、地下水汚染、移流分散解析、サイト概念モデル、影響評価

【特集報文】 岩石に含まれる自然由来重金属等の溶出特性評価方法

品川俊介・佐々木靖人

<抄録> 各種岩石についての様々な溶出試験結果に基づき、重金属等の長期溶出特性評価のための促進溶出試験方法を検討した。その結果、短期溶出試験と酸性化可能性試験の組み合わせにより、泥質岩を除いて概ね安全側に重金属等の長期溶出特性が評価できることがわかった。

<キーワード> 岩石、自然由来、重金属、溶出試験、酸性化

 

【特集報文】 掘削ずりによるヒ素汚染対策としての覆土処理に関する現場実験

田本修一・阿南修司・伊東佳彦

<抄録> 本レポートでは、ヒ素が溶出するトンネル掘削ずりを用いて、現地発生土等の覆土によるヒ素の溶出抑制効果を検討するため、北海道開発局内の道路建設現場で実施した現場実験結果および室内試験結果から実施したヒ素の溶出・拡散評価結果について報告する。

<キーワード> ヒ素、汚染対策、覆土、吸着、自然由来

 

【特集報文】 再生骨材からの重金属溶出への対応

森濱和正・渡辺博志・片平 博

<抄録> コンクリート解体材を破砕した再生骨材は、路盤材などへのリサイクル材として利用されているが、微量の6価クロムが溶出するといわれている。6価クロムの溶出対策として、溶出試験方法の確立および溶出抑制対策に関する検討を行なっており、それらの現時点の検討状況について報告する。

<キーワード> 再生骨材、6価クロム、溶出試験、溶出抑制対策

 

【特集報文】 医薬品類の都市域水環境中における実態

小森行也・鈴木 穣

<抄録> 新たな環境汚染物質として注目を集めている医薬品の都市域水環境における実態調査を実施した。研究対象とした医薬品98物質中42物質が定量下限値を超えて検出された。下水道整備等により生活排水の流入割合が小さい河川では検出される医薬品数が少なく、下水道等の整備の遅れから生活排水の流入割合が多い河川では検出される医薬品数が多い傾向を示すことが明らかとなった。

<キーワード> 医薬品、抗生物質、実態調査、水質調査、都市域小河川 

 

【特集報文】 下水中の病原ウイルス調査

小宮義人・藤原隆司・小越眞佐司

<抄録> 下水処理場の新型インフルエンザウイルス及びノロウイルスの流入状況について調査した。下水中の新型インフルエンザウイルスの濃度は流行期においても低く、下水処理により、98%以上除去されていた。またノロウイルス濃度は感染性胃腸炎患者報告数と相関があることを明らかにした。

<キーワード> 衛生学的安全性、新型インフルエンザウイルス、ノロウイルス、下水処理

 

【特集報文】 病原ウイルスの下水処理過程での制御

諏訪 守・岡本誠一郎・桜井健介

<抄録> 実下水処理実験装置を利用し、活性汚泥処理法や砂ろ過法によるノロウイルスの除去率および、それらの手法において除去率を向上させることを目的として、凝集剤の添加効果を各々評価した。また、実下水処理場を対象に活性汚泥処理変法である高度処理法によるノロウイルスの除去率を併せて評価し、各種下水処理法のノロウイルスの除去率を明らかにした。その結果、PACの添加濃度を10mg-Al /Lとすることで活性汚泥処理法の除去率をさらに最大で2log程度向上、砂ろ過法では3mg-Al /Lとすることでさらに最大で1log以上向上させられる。窒素・りんの高度除去を目的とした高度処理法は、標準法と比較して1〜2オーダー程度除去率が高い。

<キーワード> ノロウイルス、活性汚泥処理法、砂ろ過法、凝集剤添加、高度処理法

 

【報文】 河道内樹林化と樹木管理の現状に関する考察

佐貫方城・大石哲也・三輪準二

<抄録> 河道内樹林化として課題となる樹種を、全国一級河川の河川水辺の国勢調査結果より明らかにし、定期的な樹木管理によるそれら樹種の抑制効果を検討した。樹林化としてヤナギ類、ハリエンジュ、タケ・ササ類の3樹種が課題であった。その樹種に対し、伐採では抑制効果が小さいが、丁寧な除根により抑制効果が得られることが判明した。

<キーワード> 河道内樹林化、樹木管理、ヤナギ類、ハリエンジュ、タケ・ササ類

 


平成22年7月 報文抄録
 

【報文】 景観重要樹木の保全対策

飯塚康雄

<抄録> 都市、農山漁村等における良好な景観の形成を促進するために制定された景観法において指定することが可能となった「景観重要樹木」(良好な景観の形成に重要な樹木)の維持管理で必要となる、樹木の診断方法とその結果から立案する保全対策方法、さらに保全対策後の維持管理方法についてとりまとめ、手引きを作成した。

<キーワード> 景観重要樹木、巨樹、景観、保全対策、維持管理

【報文】 河原の埋土種子分布とそれが植生成立に与える影響

大石哲也・三輪準二

<抄録> 本研究では、種子発芽に関わる河原の比較的浅い部分(表層から10cmまで)を対象に、埋土種子の空間分布を明らかにし、埋土種子の分布が植生成立にどのような影響を及ぼしているのかについて検討した。

<キーワード> 埋土種子、GIS、河川植生、植生遷移、河原

 

【報文】 両側回遊型甲殻類の生態に着目した生息空間連続性の評価手法

中田和義・傳田正利・三輪準二・天野邦彦

<抄録> 愛知県豊川支川の間川における両側回遊型甲殻類ミゾレヌマエビの生息空間連続性の評価モデルを開発した。ミゾレヌマエビの分布についてのモデルによるシミュレーション結果は、現地調査の結果を良好に再現した。モデルと現地調査を組み合わせることで、河川環境と生態系との関係について考察を深めることが可能と考えられた。

<キーワード> 両側回遊型甲殻類、ミゾレヌマエビ、生息空間連続性評価、生息空間ネットワーク

 

【報文】 再生水を利用したせせらぎ水路の社会的効果の評価

山縣弘樹・宮本綾子・西村峻介・小越眞佐司

<抄録> 近年、美しい景観、防災、心のやすらぎなどのニーズに対応して、下水処理水(再生水)を活用したせせらぎ水路の整備事例が増えており、再生水利用量も増加している。せせらぎ水路の多面的な効果を経済評価する手法を構築することを目的としてコンジョイント分析を用いた再生水によるせせらぎ水路の便益評価を行った結果について報告する。

<キーワード> 再生水、コンジョイント分析、便益評価、多度津町、せせらぎ水路

 

【報文】 「地域活動支持力」が継続した地域活動に果たす役割

伊藤嘉奈子・天野邦彦・岸田弘之

<抄録> 継続した地域活動が行われるための必要事項を明らかにすることを目的に、ヒアリング調査、アンケート調査や因子分析などを行った。その結果、継続した地域活動のためには、行動規範・信頼・愛着・人付き合いといった住民の意識や行動が重要であることが示された。そこで、地域住民の意識や行動の特性を反映した「地域活動支持力」という概念を導入し、地域の特性と地域活動の関係を説明した。

<キーワード> 継続、地域活動、地域活動支持力、住民の意識や行動

 

【報文】 河道セグメント2における細粒土砂堆積に伴う高水敷再形成の簡易予測手法の開発

武内慶了・大沼克弘・佐藤慶太・服部 敦・藤田光一

<抄録> 砂礫を河床材料とする河道セグメント2では、低水路部をウォッシュロードとして流下する細粒土砂が水際や高水敷上の植生繁茂域に一部捕捉され堆積する。川内川を事例として高水敷再形成の実態を明らかにし、その知見に基づいて高水敷再形成の簡易予測手法を開発した。

<キーワード> 河道セグメント2、高水敷再形成、細粒土砂、植生、簡易予測手法

 

【報文】 約50年間供用された連続非合成鋼I桁橋の現地載荷試験

澤田 守・村越 潤・梁取直樹・西 弘明・三田村 浩

<抄録> 既設橋を適切かつ合理的に維持管理していくためには、実橋での劣化損傷状況や実挙動に関する計測データを蓄積していくことが重要である。本文では、約50年間供用され床版に不連続部を有する連続非合成鋼I桁橋を対象に、劣化損傷状況、載荷試験から得られた本橋の挙動について報告した。

<キーワード> 既設橋、載荷試験、有限要素解析、合成挙動、床版目地

【報文】 基礎の耐震補強法の性能検証に関する課題

谷本俊輔・豊島孝之・西田秀明・中谷昌一

<抄録> 大地震の逼迫が指摘される中、近年では基礎の耐震補強工法が数多く提案されている。土木研究所では、課せられた適切なハードルの下に、主として民間による適正な技術競争が可能な環境を整備することを目的とし、共同研究を実施しているところである。本報では、その概要について紹介する。

<キーワード> 基礎、耐震補強、性能検証

 

【報文】 道路橋基礎の耐震性簡易判定法に関する研究

豊島孝之・横幕 清・谷本俊輔・白戸真大・中谷昌一

<抄録> 平成17〜19年度にかけて実施された「耐震補強3箇年プログラム」で未対応であった道路橋基礎に対し、将来の耐震補強プログラムの策定を念頭に置いたものである。道路橋基礎の耐震補強を進めるためには、既設道路橋基礎の耐震性能水準を区分した上で、優先度を設けて段階的に実施することを目的に耐震脆弱度を簡易判定する手法を整備した。

<キーワード> 基礎、耐震補強、防災点検

 

平成22年8月 報文抄録
 

【特集報文】 水害時の情報伝達と避難行動の実態

須見徹太郎

<抄録> 2009年台風9号による兵庫県佐用町水害に関するアンケート調査により、水害時の情報伝達の実態や過去の水害経験と避難意向の関係など避難行動の特性を解析するとともに、水害時の適切な避難行動を目指した「避難行動指針」の考え方について紹介する。

<キーワード> 水害避難、行動心理、アンケート調査、避難行動指針、防災情報、佐用町水害

【特集報文】 水害時における災害時要援護者の避難に関する実態調査

小林 肇

<抄録> 浸水想定区域内に災害時要援護者施設がある市町村と、浸水想定区域内の施設管理者に行った水害時の避難に関するアンケート調査結果を報告する。水防法改正後も施設や市町村の対策は十分ではなかったが、行政から説明を受けた施設では、対策が比較的進んでいた。また、水害経験の有無で市町村の認識は異なっていた。

<キーワード> 水害、避難、災害時要援護者、アンケート調査、水防法、浸水想定区域

 

【特集報文】 土砂災害に対する住民の警戒避難行動促進のための働きかけ手法

林 真一郎・小山内信智・伊藤英之・谷口綾子・藤井 聡

<抄録> 土砂災害に対する住民の避難行動の促進を目的とした平常時のリスク・コミュニケーションとして、行政施策としての実施を見据え、交通分野における知見を応用し、(1)適切な動機づけ、(2)わかりやすい情報提供、(3)アンケートを活用した行動シミュレーション(行動プラン策定)、で構成されるプログラムを開発し、その上で、構築したプログラムを高知県土佐町の住民を対象として適用し、その有効性を示した。

<キーワード> 土砂災害、ソフト対策、モビリティ・マネジメント、避難行動促進、リスク・コミュニケーション

 

【特集報文】 高潮・津波災害に対する住民の避難行動促進

加藤史訓・諏訪義雄

<抄録> 高潮・津波のため避難勧告が近年発令された地域での調査で把握された避難意思決定要因に基づいて、避難促進施策の一つとしてワークショップを試行し、その効果を検証した。その結果から、地域特性の把握、避難上の課題の抽出、課題解決のための実態把握、効果検証を通じた避難促進施策の改良など、避難促進施策の進め方の要点が整理された。

<キーワード> 津波、高潮、避難、ワークショップ

 

【特集報文】 衛星画像を用いた地震被害の早期把握技術とその利用

本多弘明・宮武裕昭・高宮 進

<抄録> 大規模地震発生直後に生じる情報空白への対応策として、衛星画像の利用が考えられる。施設管理機関の業務継続計画や過去の震災時における対応実績から、震後対応に有効なタイミングで衛星画像を提供できるかを調査した。その結果、砂防施設の地上点検や本部室における被災状況把握の目標時間までに衛星画像を提供できる場合があることが分った。

<キーワード> 大規模地震、被災状況把握、衛星画像、事業継続計画 

 

【特集報文】 道路を対象とした地震防災訓練の実施方策

山影修司・宇佐美 淳・高宮 進

<抄録> 大規模地震が発生した場合、道路管理者は、諸対応を迅速かつ的確に行うことが求められる。このため、普段から地震防災訓練等を通じて、対応能力を向上させておくことが必要である。本報文では、訓練を通じて認識できた課題への対処を図り継続的に能力向上に結びつける方策や、より効果的な訓練を実施するための方策等について述べる。

<キーワード> 道路管理者、地震防災訓練、PDCAサイクル、地震災害事例

 

【特集報文】 ケルン市における洪水防御対策

西 真佐人

<抄録> ライン川に面するドイツ連邦共和国ケルン市では、1990年代の洪水を契機として家屋壁面と可搬式堤防を組み合わせて一連の洪水防御施設とするユニークな対策を採用している。本レポートでは、この施設を用いた洪水時の対応について紹介する。

<キーワード> 洪水防御、家屋、可搬式堤防、ライン川、ケルン

 

【現地レポート】 浅間山の噴火を想定したロールプレイング方式防災訓練

後藤宏二

<抄録> 浅間山の火山災害対策に係わる県・市町村・関係機関相互の情報共有及び連携体制の確立を目的として、40機関、約130名の参加のもと、平成22年2月10日に実施したロールプレイング方式防災訓練の概要を報告する。

<キーワード> 浅間山、火山災害対策、噴火警戒レベル、ロールプレイング方式防災訓練

 

【報文】 他産業リサイクル材を利用した舗装の環境負荷評価
―廃タイヤ、廃プラスチックの利用の例―

新田弘之・西崎 到

<抄録> 他産業からのリサイクル材の利用の環境負荷低減効果を解明するために、廃タイヤ、廃プラスチックを利用した舗装を事例として、LCA(Life Cycle Assessment)を実施した。その結果、全てをサーマルリカバリーするよりは資材として利用することで環境負荷が減少する場合もあることが分かった。

<キーワード> 他産業リサイクル材、LCA、環境負荷、舗装、廃棄物

【土研センター】 建設工事で遭遇する廃棄物混じり土マニュアル

土橋聖賢・阪本廣行・糸永眞吾

<抄録> 建設工事では、施工時に予期しない廃棄物に遭遇することがある。公共工事において廃棄物が混じった土に遭遇した場合の発生土砂の有効利用と廃棄物の適正な処理を行うため、分別した土の有効利用および廃棄物の再生利用の考え方ならびに具体的方法を紹介した。

<キーワード> 廃棄物混じり土、マニュアル

 

 


平成22年9月 報文抄録
 

【報文】 二層式排水性舗装の騒音低減効果と路面性状の経年変化

山本裕一郎・曽根真理

<抄録> 二層式排水性舗装の騒音低減効果と路面性状の経年変化を調べるため、全国7箇所の施工現場において追跡調査を実施した。この度、5年分の調査結果をとりまとめたので概要を報告する。経年に伴う騒音レベルの上昇は大型車で0.38dB/年、乗用車で0.85dB/年であり、一層式の排水性舗装と同等であることが把握された。

<キーワード> 排水性舗装、騒音低減効果、平坦性、わだち掘れ量、経年変化

【報文】 換気塔のデザイン

福井恒明・曽根真理

<抄録> 都市部の道路整備において今後増加すると考えられる換気塔について、適切なデザイン検討を行うための考え方や検討手法、参考事例を紹介する資料を作成した。前半は計画・設計上の配慮事項や検討のイメージを示すガイドラインであり、後半は国内外の29事例について学識経験者のコメントを付した事例集となっている。

<キーワード> 換気塔、トンネル、地下道路、景観、デザイン

 

 

【報文】 河川における瀬の河床主材料と底生動物群集の関係

小林草平・三輪準二・天野邦彦

<抄録> 河川の瀬における河床の主礫径と底生動物現存量の関係を2河川の調査から明らかにした。主礫径が大きいほど礫間空隙が多く空隙を利用する底生動物によって、主礫径が小さくても河床安定性が高ければ定住型の底生動物によって高い現存量が維持される。主礫径は河川生物生息場を捉える上での基礎情報であることを示した。

<キーワード> 瀬、河床、底生動物、現存量、礫径

 

 

【報文】 ユーロコードの完全実施と我が国への影響

松井謙二・菊地 稔

<抄録> 本稿はユーロコードの現状を報告し、我が国に及ぼす影響とそれへの対応を考察したものである。2010年3月末をもって欧州域内の構造物設計基準はユーロコードに統一され、これと矛盾する各国規格は廃止された。これからのユーロコードの国際展開に対して、我が国はどう対応すべきかがいま問われている。

<キーワード> ユーロコード、欧州委員会、国家附属書(NA)、NDP、第三国への普及

 

 

【報文】 道路用凍結防止剤の河川への影響調査

山本裕一郎・曽根真理

<抄録> 凍結防止剤の散布による河川への影響を調べるため、国道と河川が橋梁で交差する3箇所の現場において水質調査を行った。凍結防止剤散布後に一時的に河川の塩分量が増加することは確認されたが、河川は流量が多く、速やかに希釈・拡散されることから、河川水質へ与える影響は小さいと考えられる。

<キーワード> 凍結防止剤、冬期道路管理、沿道環境、塩害、河川

 

 

【報文】 小規模な道路の平面線形の限界に関する実験的検討

濱本敬治・大脇鉄也・上坂克巳

<抄録> 道路構造令の平面線形の規定の見直しに向けた検討を行うため、道路構造令の第3種第5級及び第4種第4級の小規模な道路の平面線形の最小限保持すべき水準の検討を行った。その結果、軌跡ソフトで求められた曲線部での幅員の最大値から、トラック、乗用車共に両側0.5mの余裕幅があれば、実際に通行できることがわかった。

<キーワード> 道路構造令、構造基準、道路線形、小規模道路、走行実験

 

 

現地レポート 下水道未普及解消クイックプロジェクト
流動化処理土の管きょ埋設への適用(浜松市の取組み)

桔川増雄

<抄録> 浜松市では、下水道整備の早期実現を図るため、下水道未普及解消クイックプロジェクトが推奨する、新たな整備手法である、「流動化処理土の管きょ施工への利用」を適用した社会実験に参加し、性能評価に関わるデータを分析・考察し、本技術の有効性を検証した。

<キーワード> 下水道事業、クイックプロジェクト、コスト縮減、工期短縮

【現地レポート】 一般国道17号上尾道路における「情報化施工により路盤を構築する舗装」の試行工事

石浜康賢・北田靖典

<抄録> 国土交通省では、情報化施工の戦略的な普及方策について検討を重ね、2008年7月31日に「情報化施工推進戦略」を策定した。今年3月に開通した国道17号のバイパスである上尾道路において3次元マシンコントロールシステムを装備したモータグレーダによる情報化施工を実施したので、その結果について報告する。

<キーワード> 情報化施工推進戦略、上尾道路、舗装工事、情報化施工、3D−MCシステム

 

 

平成22年10月 報文抄録
 

【特集報文】 野生動物の道路横断施設の現状とその効果

園田陽一・松江正彦

<抄録> エコロード事業において道路横断施設の設置を検討する際の知見を得るために、全国86路線において保全目標種や道路横断施設の種類について整理するとともに、豊富バイパス、東富士五湖道路、江津道路において野生動物の種による道路横断施設の利用状況を調査した。その結果、哺乳類のサイズによって、利用される道路横断施設の形状の選好性が認められた。

<キーワード> エコロード、野生動物、道路横断施設、赤外線センサーカメラ

【特集報文】 森林表土を利用した緑化技術の開発

久保満佐子・細木大輔・武田ゆうこ・松江正彦

<抄録> 生物多様性の保全のため、緑化の現場においても地域性を考慮した緑化技術の開発が求められており、森林表土を利用した緑化工法(森林表土利用工)はその一つとなり得る。そこで本研究では、森林表土に含まれている埋土種子の特性と森林表土利用工による施工のり面の植生について調べた。

<キーワード> 埋土種子、のり面、緑化、森林表土

 

 

【特集報文】 湖沼における沿岸帯植生の修復

天野邦彦

<抄録> 湖沼において水質汚濁や沿岸帯への物理改変などの人為的インパクトにより消滅した沈水植物群落の修復について、霞ヶ浦を対象に実施された研究や実験を事例に紹介するものである。過去からの環境変遷を定量的に評価し、沈水植物群落が成立するために必要な条件を明らかにしたことで、現在の状況下では、標高Y.P. 0.66〜-0.06mの範囲を対象に、底質改善と波浪対策を施すことで、修復の可能性があることを示した。

<キーワード> 湖沼、沿岸帯植生、沈水植物、修復、自然再生

 

 

【特集報文】 河口干潟の物理環境の多様性

大沼克弘・藤田光一・天野邦彦

<抄録> 太田川を例に、多様な河口干潟を高さや構成材料等物理環境の観点から類型化し、その類型ごとに物理環境の特性を整理し、その形成機構について考察するとともに、植生と物理環境との関連について示した。さらに、これらの成果を踏まえた今後の研究の方向性について紹介した。

<キーワード> 河口干潟、物理環境、多様性、類型化、植生分布

 

 

【特集報文】 里山地域における砂防

冨田陽子・小山内信智

<抄録> 自然環境の保全地として、また、土砂災害の発生地としての里山地域における砂防の施策と技術について、現場での事例を挙げながら述べる。山林の管理だけでは対応として不十分であるのが土砂災害の特質であるが、「里山」の理想的な姿を考えることが人々の生活を守る砂防のあり方を端的に示すことになると考えられる。

<キーワード> 里山地域での砂防、流域管理の主体の多様化、山腹保全工、渓流保全工

 

 

【特集報文】 波が造りし生態系:砂浜における生物の生息適地評価

渡邊国広・諏訪義雄

<抄録> 仙台湾南部海岸における海浜生物採取調査結果をもとに、開放性砂浜では砕波帯の存在が生物分布の重要な制約要因となっていることを示した。また、生物生息適地評価モデルで砕波帯を環境因子として組み込む手法を開発し、開放性砂浜では底面摩擦速度を扱うよりも簡便かつ再現性の向上に寄与することを示した。

<キーワード> 砕波帯、環境影響評価、砂浜生態系、生息環境、仙台湾南部海岸

 

 

【特集報文】 高水敷掘削による物理環境変化がアレチウリの個体成長に与える影響

傳田正利・黒川貴弘・三輪準二

<抄録> 高水敷掘削による物理環境の変化がアレチウリ初期生育に与える影響を評価した。その結果、高水敷掘削による冠水頻度・掃流力の増加が埋土種子を流失させ、表層土壌水分量の減少しやすい河原的環境の創出がアレチウリの初期生育を抑制する可能性があることが確認された。

<キーワード> アレチウリ、初期生育、河川高水敷掘削、物理環境変化

【特集報文】 自然共生研究センターのあゆみと成果

萱場祐一

<抄録> 本報では、平成10年11月に開所した自然共生研究センターの特徴を概説し、今までの研究の経緯と主要な成果として、河岸・水際部の構造が魚類等の生息場に及ぼす影響とその修復手法に関する研究、流量・土砂供給量の多寡が河川生態系に及ぼす影響に関する研究の2つを紹介した。

<キーワード> 実験河川、河岸、水際、流量、土砂供給量

 

 

【現地レポート】 豊川下流域における自然再生の取組み

畠山愼一

<抄録> かつて豊川下流域に広がっていたヨシ原や砂州、河口干潟が減少し、生物の生息環境が減少していることから、三河湾の水質浄化にも寄与することができ、多様な生物の生息環境や湿地環境を再生するための自然再生事業を実施中であり、その取組みについて報告するものである。

<キーワード> 自然再生事業、自然再生計画、ヨシ原再生、干潟再生、三河湾浄化

 

 

【土研センター】 有明海沿岸道路建設における軟弱地盤対策の取り組み〜 その1:技術水準の策定とCMrの活用〜

屐”區・駒延勝広・了戒公利

<抄録> 有明海沿岸道路は軟弱地盤地帯に計画されたため、沈下・安定問題、コスト縮減等の課題が懸念された。そこで、各種技術基準、最新の技術情報、知見等を基に当該地域の地盤特性を考慮した設計・施工基準を策定し、また専門技術者がCMrとして現地に常駐して設計・施工業務の支援を行った。その結果、軟弱地盤対策費の大幅な縮減が可能となった。

<キーワード> 有明海沿岸道路、軟弱地盤対策、ローカルルール、技術基準(案)、沈下許容型、CMr

 

 

平成22年11月 報文抄録
 

【報文】 みんなで取り組むヒートアイランド対策
〜業務ビルと大規模商業施設における屋上緑化の効果〜

山本裕一郎・曽根真理・井上隆司

<抄録> ヒートアイランド現象の対策には様々なものが考案されているが、実施に向けた合意形成のためには各対策の効果を明らかにすることが求められる。本稿では、平成19年度から実施してきた各種対策の効果計測の中から、業務ビルと大規模商業施設における屋上緑化の効果(室内温度や空調の電力使用量の変化等)を紹介する。

<キーワード> ヒートアイランド、屋上緑化、社会一体型施策、環境配慮行動、促進方策

【報文】 欧州における生活道路施策に関する最近の動向

本田 肇

<抄録> 欧州4ヶ国の最近の生活道路に関する施策動向を整理し、速度抑制のために物理的デバイスの設置を行う施策から、必ずしも物理的デバイスに頼らず自然にその空間の状況が読みとれる道路空間の整備を行う施策に変化しつつあることを紹介し、それらの背景とも考えられるシェアドスペースについても紹介した。

<キーワード> 欧州、生活道路、物理的デバイス、シェアドスペース

 

 

【報文】 国際海上コンテナ車の走行経路の特性

関谷浩孝・上坂克巳・松本俊輔・古川 誠

<抄録> 国際海上コンテナ車の実走行経路の特性を明らかにするため、輸送業者に対するヒアリング調査を実施した。調査の結果、コンテナ車の走行道路延長の9割は一般国道以上の規格の高い道路であることや時間制約を受けると規格の高い道路を走行する割合が大きくなること等が明らかとなった。

<キーワード> コンテナ車、経路選択、道路ネットワーク、国際物流

 

 

【報文】 地震による深層崩壊のおそれのある渓流の抽出

武澤永純・内田太郎・横山 修・田村圭司・鈴木啓介

<抄録> 深層崩壊発生危険箇所を予測することを目的として、「深層崩壊の発生の恐れのある渓流を抽出する手法」が開発され、砂防の現場で適用されているが、同手法の精度の検証は、豪雨による深層崩壊に対する検討が中心であった。 そこで、本研究は深層崩壊が多発した2008年岩手・宮城内陸地震を対象に同手法の適用性を検証した結果、同手法は、地震による深層崩壊発生危険渓流を抽出する上で有効な手法であることが明らかとなった。

<キーワード> 地震、深層崩壊、2008年岩手・宮城内陸地震、的中率、カバー率

 

 

【報文】 深層崩壊に起因する土石流の数値シミュレーション手法

西口幸希・内田太郎・田村圭司・里深好文

<抄録>  深層崩壊は、大規模な土石流を引き起こし、人命や人家に甚大な被害を及ぼす場合がある。このような土砂災害を防ぐため、深層崩壊に起因する土石流の流下・堆積過程を推定・評価することは重要である。本稿では、大規模な土石流に含まれる細砂の挙動に着目した土石流の数値シミュレーション手法を検討した。

<キーワード> 深層崩壊、石礫型土石流、数値シミュレーション、細粒土砂、水俣市集川

 

 

【報文】 近年の交通事故発生状況

池原圭一・金子正洋

<抄録> 近年の交通事故は減少傾向にあり、平成21年の死者数は4,914人であった。しかし、高齢者が関わる事故や生活道路で発生する事故は減少傾向が緩やかである。また、追突事故は全発生件数に占める割合が31.2%であるなど、発生件数の多い事故内容もある。本報告では、これら近年の事故発生状況をもとに有効と思われる対策をまとめた。

<キーワード> 交通事故、交通事故分析、高齢者、生活道路、追突事故、出会い頭事故、正面衝突事故

 

 

【報文】 アスファルト舗装のひび割れに関する新たな評価指標の提案

渡邉一弘・久保和幸

<抄録> アスファルト舗装に関しては、路面性状データの中でもひび割れ率がその構造的健全度と関連が深いことを確認し、さらにひび割れの形態・質に着目した調査を通じ、より適切に構造的健全度を評価しうる新たな指標として、単位面積あたりひび割れ延長及びひび割れ交点密度を提案した。

<キーワード> アスファルト舗装、路面性状、構造的健全度、ひび割れ率、ひび割れ

【報文】 排水性舗装の冬期路面管理について

寺田 剛・久保和幸

<抄録> 排水性舗装は、一般に施工されている密粒度舗装に比べ空隙が多いため、雪が解けづらい、路面凍結しやすい等、走行安全性が劣るとの懸念が積雪寒冷地はもとより温暖地域でも指摘されている。このため、排水性舗装の冬期における融雪、凍結状況及びすべり抵抗性の実態を明らかにし、融雪や路面凍結防止及び除雪に有効な凍結防止剤散布方法及び冬期においても走行安全性を確保できる適切な冬季路面管理方法を提案したのでその結果を報告する。

<キーワード> 排水性舗装、冬期路面管理、凍結防止剤、凍結抑制、すべり抵抗性

 

 

【現地レポート】 千曲川らしさを求めて 〜自然再生への取組み〜

石川俊之・清水俊美・新村信明

<抄録> 河床低下により高水敷が洪水により冠水しにくくなったため、外来種が繁茂するなど千曲川本来の自然が失われている。このため河岸を緩い勾配で掘削し、洪水時の冠水頻度を高め、在来植生が優先し外来種の繁茂が抑制される場の創出(インパクト・レスポンス)についての調査研究成果を報告する。

<キーワード> インパクト・レスポンス、自然再生、外来種、河道掘削

 

 

【土研センター】 道路橋のバリアフリー化された歩道への車両用防護柵の設置について

安藤和彦

<抄録> 歩道が併設された道路橋の歩道形式として、現在多く用いられるようになったバリアフリー構造(セミフラット形式、フラット形式)では、歩道端地覆の地覆高が従来のものより低くなるため、車両用防護柵を設置する場合に問題となっている。そこで、地覆高不足によって生じる問題点を整理するとともに、問題点を解決するための課題、対応策を示す。

道路橋のバリアフリー化された歩道

<キーワード> 道路橋、地覆高不足、車両用防護柵、課題・対応策

 

 

平成22年12月 特集報文抄録
 

【特集報文】 調査・設計業務の品質確保に向けた取組み

笛田俊治・服部 司

<抄録> 国土交通省では、適正な競争環境の確保等の建設生産システムに関する諸課題への対応方針について検討を行い、公共事業の品質のさらなる確保・向上に向けてさまざまな取組みを行っている。本稿では、上記取組みのうち、調査・設計業務の品質確保に向けた取組みについて平成21年度の検討状況を報告するものである。

<キーワード> 入札・契約制度、品質確保、調査・設計業務、低入札防止対策、履行確実性評価

【特集報文】 公共工事の品質確保に向けた取組み

笛田俊治・塚原隆夫

<抄録>  国土交通省では、適正な競争環境の確保等の建設生産システムに関する諸課題への対応方針について検討を行い、公共事業の品質のさらなる確保・向上に向けてさまざまな取組みを行っている。本稿では、上記取組みのうち、公共工事の品質確保に向けた取組みについて平成21年度の検討状況を報告するものである。

<キーワード> 入札・契約制度、品質確保、公共工事、実施状況、透明性・客観性の確保

 

 

【特集報文】 技術開発・工事一体型調達方式の導入
〜試行工事のフォローアップ調査〜

塚原隆夫・増本みどり

<抄録> 国土交通省では、技術開発と工事を一体的に調達する方式(「技術開発・工事一体型調達方式」)を構築し、平成21年4月に「技術開発・工事一体型調達方式ガイドライン」を策定している。当該ガイドラインに基づき平成21年度に5件の試行工事を実施するとともに、上記試行工事についてフォローアップ調査を行っている。本稿では、本調達方式の概要及びフォローアップ調査の結果について報告を行うものである。

<キーワード> 技術開発、公共工事、入札・契約制度、試行工事、フォローアップ、導入効果

 

 

【特集報文】 地方自治体におけるCМ方式の適用

多田 寛・宮武一郎・笛田俊治

<抄録> 現在、地方自治体においては、公共工事における発注者の体制を補完するため、発注者支援業務による監督補助やCM方式の活用等、様々な取組みが行われている。本稿では、上記取組みの内、CM方式に着目し、その必要性について検証を行い、地方自治体におけるCM方式の適用可能性についての検討を行った結果について報告を行う。

<キーワード> 発注者支援、CM方式、地方自治体

 

 

【特集報文】 土木工事の成績評定の運用改正による効果の分析

坂本俊英・大上和典・金銅将史

<抄録> 工事成績評定の結果は次回以降の工事における競争参加資格要件などの一要素となっている。きめ細かな評価を可能とすることなどにより技術力等の差がより的確に反映されるよう地方整備局工事成績評定実施要領を一部改正し、平成21年4月以降の検査から運用されている。 今回の分析は、当該改正以降の工事について、改正前の工事と比較した結果を報告するものである。

<キーワード> 工事成績評定、請負工事成績評定要領、地方整備局工事成績評定実施要領、段階評価の細分化

 

 

【特集報文】 施工段階で発見された設計成果の不具合に関する調査

市村靖光・佐近裕之

<抄録> 施工者へのアンケート調査を実施し、施工段階で発見された設計成果の不具合としては、全ての工種において「現地条件の不整合」および「図面と実施工との不整合」が多いこと等がわかった。今後、これらの不具合を解消するため、設計業務の着手時に発注者と設計者が合同で現場において設計条件を確認し、合意の元に設計を開始する仕組み等を確立する必要がある。

<キーワード> 詳細設計、設計の不具合、施工段階、事例調査

 

 

【特集報文】維持修繕工事の契約・積算に関する課題

駒田達広・岩塚浩二・佐近裕之

<抄録> 維持修繕工事においては、近年、入札不調・不落が発生し、円滑な事業の実施上の問題を生じている。そこで、河川および道路施設の維持修繕工事の契約・積算に関して受注業者を対象にアンケート調査し、現状と課題を整理した。この結果、積算において現場の実態を適切に反映できていない可能性があること、契約単位について、規模拡大及び複数年契約に対するニーズが大きいことがわかった。

<キーワード> 維持修繕工事、入札不調・不落、工事価格、積算方法、契約方法、複数年契約

【特集報文】 CALS/ECアクションプログラム2008の取組み状況
―平成21年度CALS/EC推進会議の活動―

青山憲明

<抄録> 国土交通省では、CALS/ECを推進するために、CALS/ECアクションプログラムを策定し、実現目標を設定して、本省技術調査課とともに国総研がシステム開発や標準化等の技術開発、制度運用の確立を進めてきている。本報文では、CALS/EC推進会議の活動を紹介するという形のなかで、平成20年度に策定したアクションプログラムの取組み状況を報告する。

<キーワード> CALS/EC、ICT、業務プロセス改善(BPR)、電子納品

 

 

【現地レポート】 静岡県におけるCМ方式の取組み

榊原正彦・曽根裕介・望月 満

<抄録> 施工管理や維持管理に対し様々な観点からマネジメント手法が検討されている中、本県では、発注者が行う業務の質的・量的補完を図ることを目的とし、発注者支援型のCM(コンストラクション・マネジメント)方式を試行的に導入した。

<キーワード> 適用工事、導入経緯、業者選定、業務内容、効果・課題

 

 

【土研センター】 有明海沿岸道路建設における軟弱地盤対策の取り組み〜 その2:変形許容型の軟弱地盤対策〜

屐”區・駒延勝広・了戒公利

<抄録> 有明海沿岸道路の軟弱地盤対策は変形許容型、変形抑制型に大別できる。前者は安定を、後者は変形抑制を主目的とし、盛土に要求される性能や周辺環境等を考慮して選定される。変形許容型の軟弱地盤対策である「補強盛土+浅層混合処理」は軟弱地盤上の盛土の安定対策として有効であることがわかった。

<キーワード> 有明海沿岸道路、軟弱地盤対策、変形許容型、補強盛土、浅層混合処理