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劇場版地盤汚染遭遇物語ー土壌汚染の常識・非常識ー
 
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4.調査結果の有効数字

A主任

B部長、ご苦労様です。土壌汚染調査結果があがってきました。砒素だけ問題なんですけど、土壌環境基準の0.01mg/Lに対し0.011mg/Lとなっています。これはまるめて0.01mg/Lになりませんか。そうしたらクリアーするんですけどね。

B部長

まけてもらえませんかということ?なんと関西人的発想やな。

A主任

いや「四捨五入してもいいですよね?」という意味です。

B部長

こすい奴というのは君のことやで

A主任

???

B部長

単刀直入に結論を言ってしまえば、「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置の技術的手法の解説」(平成15年9月、環境省監修、土壌環境センター編)のAppendix13-1に土壌ガスも含めて、溶出・含有結果も同様に有効数字2桁、3桁目切り捨てと記載されている。

C課長

Aさんがお尋ねの件についてもう少し解説します。分析精度は基準値の1/10が定量され、報告値は有効数字2桁ですので、0.01mg/L以下という基準に対し、測定の報告値は0.011mg/Lというような数値となります。当然、このような報告値であれば、0.011mg/Lは基準値に適合しないことになります。ただし、2桁表示+3桁目切り捨てのルールに従うと、基準値が2桁以上のもの、たとえばカドミウムの含有基準150mg/kgに対して、分析結果159mg/kgとなってもまるめて150mg/kgとなるために基準値適合と判断されます。

B部長

なるほどそういえば環境計量証明を確認していると環境省告示19号に従った土壌含有量分析結果は2桁の表示になっているね。

C課長

土壌環境基準や水質基準は、基準値と分析方法が決められています。たとえば、土壌溶出量の分析の場合、対象をカドミウムとすると告示46号の溶出前処理後、分析法は告示18号にJIS K0102 55と定められていますので、その方法の内ICP-AES法を用いたとすると規定された定量範囲から0.001から0.005mg/Lの定量下限が使用する分析手順・装置で多少変化しますが、計量士などにより決められます。測定法は基準値が十分確認できる感度を持った方法が選ばれています。計量証明書では、定量下限が0.001mg/Lの場合小数点以下3桁目も有効で0.014mg/Lという結果表記は妥当です。ただし、シアンや水銀などの基準は「検出されないこと」となっており、定められた分析方法・装置の定量下限が判定基準となっています。高感度な分析方法が開発・確立され規格化・公定法化されれば、基準も厳しくなる可能性があります。

B部長

また混乱してきたな。計量士によって結果の出し方が違うということか。

A主任

基準値の持つ意味でも数値の扱いが違うと思います。土壌ガスの場合は検出・不検出が判定基準となりますので、判定基準=定量下限値となっています。
一方、土壌溶出量基準、地下水基準が検出されないこととされている4項目、シアン化合物、アルキル水銀化合物、PCB、有機リンの定量下限値はシアン化合物0.1mg/L、アルキル水銀化合物0.0005mg/L、PCB0.0005mg/L、有機リン0.1mg/Lです。

B部長

いやよくわかったとはいかへんけど。溶出・含有結果は、有効数字2桁、3桁目切り捨てということはわかった。環境計量証明の記述の仕方に疑問があるときは環境計量士に確認ということやね。

A主任

だいたいわかりました。ところで、冒頭におっしゃった「こすい」というのは「小粋」と書くのですか。

B部長

あほ、「小粋」は「こいき」やろ、おれのようにダンディーな人のことや。おまえは「狡い」と書くのや。わかったか。(終)

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1.はじめに
2.調査の目的
3.防護具
4.有効数字
5.詳細調査
6.汚染土の希釈