(財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成21年
 
平成21年1月 報文抄録

【特集報文】 世界の水分野に関する主要な動向

今村能之

<抄録> 世界の水分野における主要な取り組みを国連、政府、NGOの3つの軸で整理するとともに、世界の潮流の中で日本と国連世界水アセスメント計画が果たしてきた役割を整理し、日本が2003年の国際淡水年、国連、さらにはG8サミットで大きなプレゼンスを示し、水問題への国際的活動の拡大をリードするようになったことを明らかにした。

<キーワード> 国連、水、ユネスコ、世界水フォーラム、世界水アセスメント計画

【特集報文】 河川・湖沼の水環境修復技術

天野邦彦

<抄録> ライン川において計画されている洪水のリスク管理と生物多様性の向上を同時に目指した新しい戦略である周期的な氾濫原の若返り(Cyclic Floodplain Rejuvenation、以下CFR)について紹介し、この考え方を、我が国における河川の水環境修復に対して、どのように活かすことができるかについて述べた。

<キーワード> 氾濫原、自然再生、環境、cyclic floodplain rejuvenation

【特集報文】 世界における我が国のITS技術

畠中秀人

<抄録> 日米欧各国において実現されたITS技術を紹介するとともに、米国におけるVII、欧州におけるCVIS等のITS研究開発プロジェクトの紹介とあわせて、国総研が官民と共同して研究開発を行ってきたITS技術であるスマートウェイを紹介する。

<キーワード> ITS、スマートウェイ、VII、CVIS

【特集報文】 我が国の舗装・トンネル技術

久保和幸・角湯克典

<抄録> 我が国の舗装、トンネル技術の世界における位置付けを紹介する。舗装技術については、設計・施工といった基礎的な技術分野において欧米諸国で開発された技術をベースに我が国独自の経験に基づき改良している。技術開発分野では、排水性舗装など環境負荷を軽減する舗装技術を数多く開発している点で先進的であると言える。トンネル技術については、山岳トンネル工法は近接施工の技術、めがねトンネルの技術などはわが国が独自技術を有している。シールドトンネル工法は欧州と同等水準にあるが、分交流部の非開削工法等についてはわが国が欧州に先んじていると考えられる。

<キーワード> 舗装、トンネル、技術、土木技術、海外との比較

【特集報文】 我が国のコンクリート技術の特徴と課題

渡辺博志

<抄録> コンクリートに関する我が国の技術の現状と動向について、特に他国の技術と比較した特徴についてその概要を述べる。また、今後必要となる検討課題について記述したものである。

<キーワード> コンクリート、耐久性、品質管理、品質検査、維持管理

【特集報文】 世界の地すべり現象とその対策

藤沢和範

<抄録> 世界で発生している地すべり現象を現在の造山運動と氷河の消長を因子として地域別に分類し、その分類された地域別の地すべり現象の相違と特徴を示した。また、地すべり災害防止への取り組みが経済・社会的な背景によっても異なることを示し、今後、日本が世界に貢献できる技術を示した。

<キーワード> Landslide、classification of landslide、landslide mitigation method

【報文】 重力式コンクリートダムとロックフィルダムの
2ダムで構成された大保ダムにおける技術開発

板屋英治

<抄録> 大保ダムは、沖縄のおかれた自然条件、貴重な自然環境、脆弱な地形・地質条件のもとで、可能な限り貯水量を確保するため、本ダム及び脇ダムを建設することとし、そのために、国内独自といえる各種の技術的取り組みを実施している。本稿では、その代表的な取り組みについて紹介する。

<キーワード> ELCM工法、台形CSGダム、ベローズ式選択取水設備、人口営巣木

【報文】 人的利用の変化が河川樹林化に及ぼす影響

大石哲也・天野邦彦

<抄録> 本研究では、(1)現況で入手できる資料をもとに過去100年間の地被状態の変遷を明らかにする(2)空中写真から草本や樹木の高さを判読し、その変化を明らかにする(3)各年データをGISを用いて整理する、という手順で、土地利用の変化パターンやその変化量を抽出することを目的とした。定量的な解析から、河川の樹林化は流域生活との関わりが深いことが分かった。

<キーワード> 氾濫原、地被状態の変化、人為的インパクト、GIS、樹林化

【土研センター】 海岸を歩いて侵食原因を探る

宇多高明 三波俊郎 石川仁憲

<抄録> 海岸を歩いて観察するだけでも侵食原因の推定が可能である。見るべき点が正確に分かれば、その上で必要に応じて詳細調査を行えば有効な結果が得られるはずである。ここでは神奈川県の七里ケ浜を例として考えてみる。

<キーワード> 七里ケ浜、侵食原因、海岸の観察、漂砂


平成21年2月 報文抄録

【特集報文】デジタル道路地図情報と連携した新たなITSサービスの展開

金澤文彦・布施孝志・松林 豊

<抄録> 道路行政で整備を進めるデジタル道路地図情報を有効活用し、安全運転支援や環境負荷軽減等、次世代に向けたITSの新たなサービスを効果的に実現していく観点から、デジタル道路地図に対するニーズおよびデータ整備の課題を明らかにし、今後必要となる方策について検討を行った。

<キーワード> 道路基盤地図情報、工事完成図、電子納品、ITS、GIS

【特集報文】ICTを活用した社会資本管理技術の開発

橋本裕也・小原弘志・成田一真・末吉 滋

<抄録> 社会資本の管理における各種の情報を統一的に取り扱うための連携手法として、時空間を含むメタデータとRSSを組み合わせた「空間情報連携仕様」を作成し、これに基づく情報連携とその効果を確かめるために「空間情報連携共通プラットフォーム」を開発した。

<キーワード> 情報管理、地理空間情報、GIS、RSS、GeoRSS

【特集報文】スマートウェイの全国展開

畠中秀人・鹿野島秀行・坂井康一・岡本雅之

<抄録> 国土交通省が推進している次世代道路サービス「スマートウェイ」について、2007年度までに実施した実験の概要と、2008年度に関係機関と連携の上、東京、新潟、愛知、京阪神、広島地区で行う安全運転支援システムに係る実証実験(大規模実証実験)について紹介する。

<キーワード> 実道実験、DSRC、全国展開、スマートウェイ、路車間通信

【特集報文】 DSRCプローブシステムにより得られる走行履歴情報の活用

畠中秀人・鹿野島秀行・平沢隆之・八重柏陽介

<抄録> 次世代道路システムの実用化に向けた実証実験として、DSRC路車間通信システムを用いてプローブデータ収集実験を行った。その結果、走行履歴データによる旅行速度は、トラフィックカウンタによるデータと比較し、速度変動の少ない都市間高速道路おいて同程度の平均旅行速度及びCO2排出量の推計が可能となることを確認した。

<キーワード> プローブ、DSRC、ITS、路車間通信、走行履歴

【特集報文】データ活用による景観シミュレーションの試み

小林英之

<抄録> 近年、電子納品や高精度数値地図等のデジタルデータが利用可能となってきた。これらを有効活用した景観シミュレーションの試みについて報告する。1993年以降の景観シミュレーションの開発・改良過程を整理した上で、2004年以降の事例について詳述する。

<キーワード> 景観シミュレーション、数値地図、SXF、オープンソース、コンバータ

【特集報文】 地域におけるITSの展開

熊谷靖彦

<抄録> 高知工科大学では高知県固有の道路交通問題を、地域ニーズに応える地域密着のITS(「草の根ITS」と呼んでいる)により解決を図っている。既に「中山間道路走行支援システム」他幾つかのシステムが実用化され、一部は県外でも採用されている。システムの内容やその性格、更には今後の進め方や開発中のシステムの紹介を行なった。

<キーワード> 高知、1.5車線的道路整備、ITS、草の根、中山間地域

【報文】 鉄筋コンクリート橋脚に対する地震時被災度判定手法の開発

堺 淳一・小林 寛・運上茂樹

<抄録> 大規模な地震が発生した場合、道路橋などのライフラインの構造物の被災状況の把握は、震後対応において極めて重要である。本研究は構造物の地震被災度を迅速かつ客観的に判定するための技術の開発を目標とし、損傷による構造物の固有周期の変化に着目して、この特性を利用した被災度判定手法の開発を行った。

<キーワード> 震災、被災度判定、インテリジェントセンサ、振動台加震実験、RC橋脚

【報文】 せん断変形を受けたフィルダムコアの進行性破壊抵抗性に関する基礎的研究

山口嘉一・佐藤弘行・林 直良・吉永寿幸

<抄録> せん断変形を受けた締固めたフィルダムのコア材料の浸透破壊抵抗性を評価することを目的とし、せん断層をピンホールにて模擬した浸透破壊試験を行った。試験結果より、フィルダムのコア材料は、ある程度大きいせん断変形を受けた場合でも、実際に作用する動水勾配程度あれば、その後の浸透により直ちに破壊に至らないことが明らかになった。

<キーワード> ロックフィルダム、大規模地震、せん断変形、浸透破壊、コア

【報文】 脱塩工法の実用化

古賀裕久・渡辺博志・竹内祐樹

<抄録> 塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法の一つである脱塩工法について検討し、補修の設計、施工時の注意点をまとめた電気化学的脱塩工法による補修ガイドライン(案)としてとりまとめた。その検討の概要について紹介する。

<キーワード> コンクリート構造物、補修方法、塩害、腐食、電気化学的脱塩

【土研センター】 超高強度繊維補強コンクリートのO式磨耗試験機による磨耗試験

柴田辰正 小幡浩之 田中秀樹 石川高志

<抄録> UFCの磨耗特性を評価するために、磨耗材と水との相互作用による磨耗現象を再現できるO式磨耗試験機による磨耗試験を行った。その結果、乾式の磨耗試験よる結果より磨耗特性が明確に評価され、UFCの磨耗量(すり減り重量、すり減り体積およびすり減り係数)は設計基準強度50 N/mm2の高強度コンクリートの0.35〜0.46倍程度となった。これらの結果から、超高強度繊維補強コンクリートは、海岸や河川などの水流と砂れきの複合作用による磨耗環境下において高強度コンクリートよりも約2.2〜2.8倍の磨耗抵抗性を有することが確認された。

<キーワード> 超高強度繊維補強コンクリート、UFC、回転ディスク法、質量減少率、耐磨耗性


平成21年3月 報文抄録

【報文】礫床河道の複断面化が流砂環境に及ぼす影響

福島雅紀・箱石憲昭

<抄録> 礫床河道の複断面化に伴う流砂環境の変化を把握し、今後の河川管理に活用することを目的として、樹林化が顕著に進行した多摩川永田地区を対象に流砂環境の変化を数値計算によって調べた。その結果、河道の一部の区間が複断面化した場合、その傾向はさらに助長され、複断面化がより進行することが確認された。

<キーワード> 多摩川、樹林化、河床材料、移動限界、粗粒化、緩勾配化

【報文】ショートカット河道における増水時の魚類の避難場所特性

佐川志朗・萱場祐一・秋野淳一・青木繁幸・大森徹治

<抄録> 改修河道におけるコイ科稚仔魚の避難場所を調査した。稚仔魚の避難場所は、時空間的な流速差が14cm/sec未満、時間的な流速差が5cm/sec未満の浅く流速の遅い空間であり、上流から流下してきた植物枯死体が生きた植物体に引っかかることにより出現する安定緩流域であることを示した。

<キーワード> 避難場所、河川改修、コイ科魚類、稚仔魚、出水、増水、多自然川づくり

【報文】洪積粘性土中のシールドトンネルに作用する荷重に関する一考察

石村利明・真下英人・角湯克典

<抄録> 本研究は、大深度地下に建設されるトンネルの建設コスト縮減を図るために、土圧・水圧などの作用荷重とともに、セグメントがシールド掘進時に受ける施工時荷重を把握することを目的として、洪積粘性土(土丹)を通過するシールドトンネルで実施した現場計測結果の分析を行った。

<キーワード> シールドトンネル、大深度地下、土圧、施工時荷重、骨組み構造解析

【報文】 新潟県中越地震を事例とした地すべりの発生条件の考察

ハスバートル・丸山清輝・村中亮太・花岡正明・鈴木聡樹

<抄録> 地震時地すべりの発生危険度評価手法を提案するため、中越地震によって芋川流域やその周辺で発生した地すべりの発生と地形、地質条件を検討した。その結果、中越地震に発生した地すべりは、縦断的凸度、下端勾配、侵食最大深、流れ盤構造や砂岩、砂質岩相または砂岩・泥岩互層の基岩などに関係していることが判明した。

<キーワード> 中越地震、地震時地すべり、危険度評価、発生条件、芋川

【報文】施工が困難な鉄筋コンクリート橋脚に対する 段階的耐震補強工法に関する実験的研究

張 広鋒・杉本 健・運上茂樹

<抄録> 本論文は、河川橋のように立地条件等によって耐震補強の施工が困難となる場合の既設鉄筋コンクリート(RC)橋脚に対して、鋼板と炭素繊維シートを併用する段階的耐震補強工法を考案し、RC橋脚模型を用いた正負交番載荷実験によりその補強効果を実験的に検証した結果を報告するものである。

<キーワード> 鉄筋コンクリート橋脚、主鉄筋段落し部、段階的耐震補強、鋼板、炭素繊維シート

【報文】 道路巡視点検状況把握システム「みちパト」の開発

長屋和宏・山田明彦・小路泰広

<抄録> 地震時に実施する道路巡視点検では、情報伝達、集計に多くの時間を要し、迅速な状況把握ができていない。このため、巡視点検における情報伝達のあり方を見直し、巡視点検の現場の動きを全ての関係者が把握することのできる道路巡視点検状況把握システム「みちパト」の開発をした。さらに、地震発生時や防災訓練時の運用を通じた、システムの高度化を行った。

<キーワード> みちパト、道路巡視点検、携帯電話、インターネット

【報文】 地すべり対策に用いるグラウンドアンカーの締付け効果の評価

窪塚大輔・石田孝司・藤澤和範

<抄録> アンカー工を模した遠心力模型実験及びFEM解析結果のうち、すべり面に作用する垂直応力に着目しアンカーの締付け効果を検討した。その結果、アンカーの締付け効果は、すべり面上に作用する垂直応力増分として評価できる。

<キーワード> アンカー、締付け効果、垂直応力、遠心力模型実験、FEM解析

【報文】 中越地震後の地域復興と砂防事業

長井義樹

<抄録> 新潟県中越地震に伴い芋川流域では大規模な河道閉塞(天然ダム)が発生するなど甚大な土砂災害を受けた。この土砂災害に対する緊急対応とその後の災害復旧のための砂防及び地すべり対策事業について紹介する。また、震災からの復興を進める当該地域の旧山古志村の取り組みを紹介する。

<キーワード> 地震災害、土砂災害、河道閉塞(天然ダム)の緊急対応、地域復興

【土研センター】 袋詰脱水処理工法の底質ダイオキシン類浄化への適用例

土橋聖賢・藤井二三夫・道端秀治

<抄録> 平成18年度に大阪湾の港湾内での底質ダイオキシン類対策の一環として実施した袋詰脱水処理工法による河川底質ダイオキシン類浄化試験施工の結果を紹介した。

<キーワード> 袋詰脱水処理工法、ダイオキシン、事例紹介

 

 


平成21年4月 報文抄録

【特集報文】 我が国の自転車利用の実態把握 −自転車ネットワーク計画策定を見据えて−

諸田恵士・大脇鉄也・上坂克巳

<抄録> 本稿では、既存の統計情報や調査結果に基づき、自転車走行空間の整備状況や自転車の利用分担率等の利用状況について考察を行い、自治体等が自転車ネットワーク計画を策定する際に、考慮すべき利用特性に関する知見を示した。

<キーワード> 自転車、利用実態、ネットワーク計画

【特集報文】 自転車事故発生状況の分析

金子正洋・松本幸司・蓑島 治

<抄録> 全国の事故データを用いて、自転車事故の発生状況を整理した。また、事故の詳細データを用いて、交差点での事故発生状況を分析した。その結果、自動車との事故では、交差点での出会い頭事故や右左折時の事故が多いこと等を把握した。また、幹線道路同士の交差点では右左折する自動車が交差点流出部で自転車と衝突する事故が多発していること等を把握した。これらの結果を踏まえ、交通事故抑止の観点から交差点設計上の留意点を示した。

<キーワード> 自転車、交通事故、事故分析、交差点設計

【特集報文】 自転車ネットワーク計画策定手法

大脇鉄也・諸田恵士・上坂克巳

<抄録> 本稿は、自転車走行空間のネットワーク(自転車ネットワーク)に関する整備計画を対象とし、道路管理者が警察や隣接市区町村等と連携し、道路や交通の実態等を踏まえて、計画を策定するにあたり、有用と思われる技術的な知見を示した。

<キーワード> 自転車走行空間、ネットワーク計画、自転車専用通行帯、自転車道

【特集報文】 自転車通行を考慮した道路空間設計検討

金子正洋・松本幸司・武田圭介

<抄録> 自転車通行を考慮した交差点設計手法は現在確立されておらず、国土交通省と警察庁が連携し検討を進めている。また、国土技術政策総合研究所では交差点設計に必要な設計条件を設定するため、国総研構内で自転車走行実験を実施した。本文では自転車走行空間を整備するにあたって課題となっている交差点設計について、ポイントとなる考え方、整備パターン例を紹介する。

<キーワード> 自転車、交差点設計、自転車走行実験、自転車走行特性

【特集報文】 コペンハーゲンの自転車空間

大脇鉄也

<抄録> 世界有数の自転車利用都市であるコペンハーゲン市の自転車通行空間設計と利用実態、設計指針等について現地観測や聞き取り調査を行った。結果、同市の幹線道路には長い歴史の中で一方通行の自転車道が併設され、交差点は専用信号と空間共有を適宜選択していること、施策は柔軟な姿勢で進めていること等がわかった。

<キーワード> 自転車、道路構造、交差点設計、交通分担、海外現地調査

【特集報文】 国道14号亀戸地区自転車道の整備

酒井与志亜

<抄録> 国道14号亀戸地区は、自転車通行環境整備のモデル地区に選定され、平成20年3月に一部区間の整備が完了した。今回の整備において工夫した事例を紹介する。また、整備後に実施した効果検証の結果及び地元住民や自転車道利用者へのアンケート結果を報告する。

<キーワード> 自転車道、交通事故、整備事例、整備効果、アンケート

【特集報文】 名古屋における道路空間の見直しによる自転車走行空間整備について

浅井慎一・盒 誠

<抄録> 国道19号伏見通りは、路上では違法駐車及び荷さばき駐車が多く発生していた。また、歩道側では自転車の走行や駐輪が多く、歩行の妨げ及び自転車と歩行者の錯綜により危険な状態となっていた。このため、協議会を設置し、伏見通りの道路空間の再配分を検討し、車線を減少させ荷さばき駐車場、自転車走行空間、自転車駐車場の整備を行った。

<キーワード> 自転車走行空間、荷さばき駐車場、車線削減、社会実験

【報文】 地震被害を受けた樋門函渠の解析

谷本俊輔・杉田秀樹・高橋章浩・中島 進

<抄録> 治水上または利水上の観点から、河川構造物は、当該地点で想定される最大級の地震動(レベル2地震動)に対しても所定の性能を確保することが求められている。著者らは、地震被害を受け、かつ地震後の詳細調査がなされた樋門を対象としたシミュレーション解析を行い、性能照査法の妥当性に関する検証を行った。その結果、継手の開き、函体の損傷状況が概ね再現されることを示した。

<キーワード> 樋門、液状化、堤防、地盤変形解析、応答変位法


平成21年5月 報文抄録

【報文】 低高度空中写真を用いた表層土壌材料の面的変化特性把握手法の
開発と河川環境調査への適用可能性

傳田正利・天野邦彦・時岡利和

<抄録> 河川高水敷上の表層土壌材料の面的変化を定量的に把握するため、デジタル空中写真、画像解析、地理情報システム(GIS)を用いた解析手法を開発し、その実用性を評価した。その結果、解析手法を用いて、表層土壌材料を構成する礫の面積、周囲長などの属性情報を一定の精度で把握できることが明らかになった。

<キーワード> デジタル空中写真、画像解析、表層土壌分布

【報文】 中低速移動体におけるRTK-GPS適用化技術

金澤文彦・有村真二・湯浅直美

<抄録> 国内におけるGPS衛星測位の今後の活用分野としては、土木工事などにおける施工の効率化や品質の向上を目的とした情報化施工がある。しかし、電波遮蔽が多い山間部で稼働する建設機械に適用する場合には作業効率が下がってしまうという課題がある。本稿では、RTK-GPS測位による連続的高精度測位の建設機械への適用と準天頂衛星の利用効果に関する検討成果を報告するものである。

<キーワード> RTK-GPS、衛星測位、準天頂衛星、情報化施工

【報文】 設計エラーの発生事例とその要因について

市村靖光・佐近裕之

<抄録> 詳細設計業務実施時におけるエラーの発生要因を明らかにすることを目的に、建設コンサルタントに対して実際にエラーが発生した案件について調査を実施した。その結果、どの工種でも図面作成・配筋図エラーの割合が高く、設計計算、設計図面、数量計算の分業化の進行や、CADデータ等電子データの使い回し等に起因すると考えられること等がわかった。

<キーワード> 詳細設計、設計エラー、発生要因、事例調査

【報文】 杭の鉛直支持力推定式の作成方法の標準化とそれに基づく推定式の見直し

横幕 清・白戸真大・中谷昌一

<抄録> 杭頭変位に着目して杭の極限鉛直支持力を再定義した上で、再定義した極限支持力の推定式の作成方法を標準化し、併せて推定式の見直しを行った。その結果、人為差の少ない客観的な推定式の作成方法を示し、見直し後の推定式は現行に比べて推定結果の偏りやばらつきを低減可能であることが確認できた。

<キーワード> 杭、鉛直支持力、推定式、標準化

【報文】 高密度DEMデータを用いた積雪深分布の把握と雪崩の動態解析

伊藤陽一・花岡正明・岩崎和彦・石井靖雄

<抄録> レーザープロファイラによる計測データを用いて、雪崩危険斜面の積雪深分布の把握を行った結果、地形により積雪深の違いが大きいことが明らかになった。また、雪崩現地観測で得られた雪崩映像を解析し、雪崩の速度や幅・高さ、さらには煙型および流れ型雪崩の高さの成長率の違いなどの動態が明らかになった。

<キーワード> 雪崩、レーザープロファイラ、積雪深、煙型、流れ型

【報文】 地すべりによるトンネルの被災を回避する手法

藤澤和範・奥田慎吾・九田敬行

<抄録> 地すべりによってトンネルが被災した場合、対策に多大な時間と費用が必要になる。過去の被災事例からトンネル計画段階における問題点を整理し、地すべりを回避するための手法の検討とその有効性について確認を行った。

<キーワード> 地すべり、トンネル、道路計画、地すべりの抽出

【報文】 環境舗装の導入〜東京国道事務所における取り組み〜

近藤 進

<抄録> ヒートアイランド現象の要因のひとつである道路舗装の蓄熱・熱放射について、国土交通省が取り組んでいる『環境舗装』の導入について報告する。

<キーワード> 環境舗装、保水性舗装、遮熱性舗装、ヒートアイランド現象、散水


平成21年6月 報文抄録

【特集報文】 土工の現状と今後の研究課題

小橋秀俊

<抄録> 土工分野においても土工構造物の限界状態を定義して、常時ないし地震時に確保すべき要求性能を明示し、新しい技術であってもそれを満足することを、合理的な方法で照査することにより、適用できる方向へと進んでいる。本報文では、筆者が土木研究所の研究活動(技術相談、新技術評価など含め)で遭遇している土工構造物の現状と、今後進めていくべき研究課題について述べる。

<キーワード> 土工、性能規定、新技術、研究課題

【特集報文】 軟弱地盤における側方流動対策

堤 祥一・小橋秀俊・澤松俊寿

<抄録> 近年、軟弱地盤上の高盛土の基礎として、深層混合処理工法が盛んに用いられ、浮式や低改良化による経済的な地盤改良工法が提案されている。しかしながら、家屋などの近接地域では、側方流動や引き込み沈下による、周辺地盤への影響が起きることが懸念される。そのため、土木研究所施工技術チームでは、経済性と周辺地盤への影響の抑制を両立できる地盤改良工法の開発を目的として、平成18年から民間13社と共同研究を行っている。本稿では、開発中の新工法「コラムリンク工法」の概要と、その効果を確認するために実施した遠心模型実験の紹介を行う。

<キーワード> 地盤改良、深層混合処理工法、側方流動対策、新工法、遠心模型実験

【特集報文】 豪雨時における盛土の安定性と排水対策

徐 永強・藪 雅行・小橋秀俊・中島伸一郎

<抄録> 傾斜地盤上の盛土について、異常気象時に問題となる、盛土形状、地下水位、土質条件の傾向を把握した。安定性には盛土形状、地下水位のほか、土質条件も大きく影響しており、さらにその後の排水対策を実施した場合においても透水係数等の違いにより対策効果が異なると考えられることから土質条件に応じた排水対策の必要性が示唆される。また、山砂により盛土されているケースにおいて、浸透流解析により水平排水パイプの効果を把握した。

<キーワード> 豪雨、盛土、安定性、排水対策、浸透流解析

【特集報文】 情報化施工におけるデータ交換標準 −ISO15143によるデータ交換−

茂木正晴・山元 弘・大槻 崇

<抄録> 現在、建設施工に情報化施工が導入、推進されており、建設機械、測定装置、現場情報システムの間でデータを容易かつ確実に交換することが必要とされており、データの互換相互運用性を図ることを目的に作成したISO15143(情報化施工におけるデータ交換標準)がISO(国際標準化機構)において承認されたので、その概要について報告するものである。

<キーワード> データ交換標準、情報モデル、データ辞書、ISO15143

【特集報文】 油圧ショベルの自律掘削技術の開発

茂木正晴・山元 弘・大槻 崇・邵 輝

<抄録> 本研究では、建設機械におけるIT施工技術の実用化を目的として、その基盤となる3つの要素技術(施工状況の3次元情報の計測システム、IT施工操作システム、ロボット建設機械の自動制御システム)の研究開発を行うとともにIT施工システムのプロトタイプの開発を行ったので、概要と技術開発によって得られた知見について報告するものである。

<キーワード> IT施工システム、掘削・積込、自律、3次元情報、油圧ショベル

【特集報文】 トータルステーションによる土工の出来形管理手法

遠藤和重・田中洋一・神原明宏

<抄録> トータルステーションを用いた出来形管理を実現するために、現行の基準類を遵守した「トータルステーションによる出来形管理要領」を作成した。また、作成した要領は、土工を対象に試行工事を実施し、現場での運用が可能であるかを確認した。

<キーワード> トータルステーション、出来形管理、3次元情報、土工、現場試行工事

【特集報文】 福井豪雨からの復興 〜足羽川河川激甚災害対策特別緊急事業〜

田崎震太郎・小野田利宏

<抄録> 平成16年7月の福井豪雨災害を受け採択された足羽川激特事業では、主要な工事がほぼ完了した。豪雨被害の概要とともに、河床掘削や桜づつみ整備における技術的な課題と対応等について紹介する。

<キーワード> 福井豪雨、足羽川激特事業、河床掘削、桜づつみ

【報文】 詳細設計業務成果の品質確保を阻害する要因調査

市村靖光・佐近裕之

<抄録> 詳細設計業務成果の品質確保を阻害している要因を明らかにするため、建設コンサルタントに対して、設計エラーの発生要因と考えられる近年の社会環境や発注者側の問題等に関するアンケート調査を実施した。その結果、分業化の進行や設計ツール(設計ソフト、CAD等)の不適切な利用等が設計エラーの発生に影響を及ぼしていると考えられること等がわかった。

<キーワード> 詳細設計、設計エラー、品質、照査

【報文】 建設機械の稼動に係る騒音・振動・降下ばいじんの予測手法

杉谷康弘・山元 弘

<抄録> 工事中に発生する騒音等の予測評価は、予測式や評価量の持つ意味を理解して実施することが重要である。本稿では、道路環境影響評価の技術手法に記載する工事騒音等の予測式や評価量の意味を理解する上での注意事項を述べる。

<キーワード> 予測式、評価量、工事騒音、工事振動、工事粉じん


平成21年7月 報文抄録

【報文】 深層崩壊発生斜面の特定に向けた地盤構造調査法

鈴木隆司・内田太郎・田村圭司

<抄録> 深層崩壊発生地域において、空中電磁探査法により地盤の比抵抗を計測した。その結果、比抵抗値を三次元的に解析し、ボーリング調査結果と対比することによって、深層崩壊の可能性がある風化層と新鮮な岩盤との境界面及びその傾斜度、風化層厚の空間分布を把握することができる可能性を示した。

<キーワード> 深層崩壊、空中電磁探査、比抵抗値、風化層、新鮮な岩盤

【報文】 制震ダンパーによる橋梁の地震応答低減効果に関する解析

岡田太賀雄・運上茂樹

<抄録> 橋梁の地震応答の低減を目的として制震構造が採用される事例が増えつつあり様々な特性を有するダンパーが開発されている。制震構造の特徴を活かした効率的な設計を行うためにはダンパーの特性に応じて地震時挙動がどう変化するのか把握することが重要である。本文では解析的にダンパーの地震応答低減効果を検討した結果を報告する。

<キーワード> 橋梁、制震ダンパー、地震応答低減、時刻歴応答解析

【報文】 ユニットプライス型積算方式の試行拡大

吉田 潔・小川拓人・佐近裕之

<抄録> 国土交通省が平成16年より取り組んでいるユニットプライス型積算方式は現在7工事区分で試行している。平成22年度の全工事区分への拡大にむけ、現行積み上げ積算の実績データ活用等による効率的な試行準備(ユニット作成)、および発注実績の少ない工事区分・工種への対応検討が必要である。

<キーワード> ユニット、ユニットプライス型積算方式、コスト構造改善、単価合意

【報文】 水害時の適切な避難形態に応じた河川情報提供

大谷 周・白井正孝・小林 肇・榎村康史

<抄録> 適切な避難行動を支援する効果的な河川情報提供について検討を行った研究成果を報告する。想定される人的被害の被災シナリオ(被害像)を回避するために氾濫特性等から浸水想定区域をゾーニングし、そのゾーン毎の避難勧告発令のタイミングと、避難形態パターンを示した。

<キーワード> 水害、避難、河川情報提供、被災シナリオ(被害像)、ゾーニング、DIG

【報文】 藻食性魚類アユの摂食が河床付着膜の性状に果たす役割

皆川朋子・萱場祐一

<抄録> 本報は、河床環境の保全の観点から、生物の摂食が河床付着膜の性状に果たす役割に着目し、付着藻類を摂食する生物を紹介するとともに、代表的な藻食性魚類であるアユの摂餌が河床付着膜の性状(構成や光合速度)に及ぼす影響に関する実験結果を示した。

<キーワード> 付着藻類、摂食、アユ、活性、光合成

【報文】 山岳トンネル工事における機械掘削時の粉じん低減技術

宇田川義夫・大下武志・小橋秀俊

<抄録> 山岳トンネル工事に伴って発生する鉱物性粉じんは、作業効率を低下させるばかりではなく、作業員が長年にわたって吸込むと、じん肺にかかるおそれがある。トンネル機械掘削時に発生する粉じんの低減対策について共同研究を行い、重回帰分析により粉じん濃度に影響を及ぼす施工要因を解明し、粉じん低減対策技術を開発した。

<キーワード> トンネル、機械掘削、粉じん、重回帰分析、粉じん低減対策

【報文】 韓国のグリーンニューディール事業 −水と共にする国土再創造−

 京禄

<抄録> 韓国政府が進めているグリーンニューディール政策関連事業は川や海といった「水」に関わるものが多く、国土海洋部の中心政策の一つは「水と共にする国土再創造」となっている。本報告は韓国の国土海洋部が中心に進めているグリーンニューディール事業(川や海を活用した国土再建と雇用拡大を図る地域活性化策)について、その内容・推進体系などについて概要を紹介するものである。

<キーワード> 韓国、グリーンニューディール、4大河川再生、京仁運河、国土海洋部

【報文】 韓国における緑色成長ビジョンと国土管理の方向

 京禄

<抄録> 韓国における「緑色成長」は二酸化炭素排出の最少化と経済成長の最大化を同時に追求する取り組みである。李大統領により発せられた“低炭素、緑色成長”新ビジョンは、「低炭素緑色成長基本法」(現在、案)を元に、緑色成長を様々な国政の基本として位置づけようとしているものであり、本文は、これら韓国版グリーンニューディール国家戦略についての現状を報告したものである。

<キーワード> 韓国、緑色成長、グリーンニューディール、国土管理

【報文】 信濃川下流河川事務所におけるCM業務活用試行結果報告

石隆弘・柳 正市・金子靖雪

<抄録> 信濃川下流河川事務所では、地元自治体や施工者の調整、工事発生土再利用等細部にわたる土砂管理・工程調整を一元的かつ円滑に行い、施工コストの縮減を図るため、「マネジメント技術活用方式」の一方式である『CM(コンストラクション・マネジメント)方式』を導入し、事業を進めてきた。本報告は、『復緊事業』におけるCM方式活用実績の報告をするものである。

<キーワード> CM方式、活用実績、結果報告


平成21年8月 報文抄録

【特集報文】 河川中流域における一時的水域の生態的機能評価に関する考察

傳田正利・三輪準二・末次忠司

<抄録> 信濃川水系千曲川において、一時的水域の魚類避難場の機能を検証するため、出水時に、一時的水域周辺で魚類採捕調査を行った。同時に水理計算により出水時流況の再現計算を行い、魚類が一時的水域を避難場として利用する要因を検証した。その結果、一時的水域周辺には、魚類が流下を避けるのに適した低流速域が形成され、低流速域の形成が一時的水域を魚類避難場として利用するための条件の一つであることが明らかになった。

<キーワード> 一時的水域、魚類群集、水理計算

【特集報文】 魚類と甲殻類による石の隙間の季節利用

佐川志朗・萱場祐一・大森徹治

<抄録> 間隙環境は水生生物の生息場所として重要であり、各種の定着に寄与する環境因子は種、季節によって異なり、間隙内環境に加えて河道の環境も定着寄与因子として重要であることを示した。また、川づくりにおいて、礫サイズや設置環境によって利用生物をコントロールできる可能性を示した。

<キーワード> 河川改修、工法、ハビタット、多自然川づくり、礫

【特集報文】 生物による付着藻類摂食は河床環境の健全性に寄与するか?

皆川朋子・萱場祐一

<抄録> 本報は、河床環境の健全性を保全・修復するための基礎的知見の提供を目的として、(1)河床環境の健全性の低下、(2)河床環境の修復手法、(3)アユ、オイカワの摂食実験結果、(4)数理モデルによる河床環境改善効果シミュレーション結果について概説した。

<キーワード> 付着藻類、魚類、摂食、河床環境、健全性

【特集報文】 遺伝情報を用いた在来魚種の生息環境の保全

村岡敬子・山下慎吾・三輪準二

<抄録> 本報文では、分断された地域に生息するカジカ集団を対象に遺伝情報調査およびこれらを踏まえた物理環境調査を行った結果、当該河川のカジカは、成長段階に応じて、細かいスケールで異なる物理環境を必要とすることが推察された。在来魚種を保全するためには、生息個体数や成魚が利用する環境だけでなく、魚の生活史全体を見越した生息環境の保全が重要であるといえる。

<キーワード> 遺伝情報、環境調査、カジカ、仔稚魚、分断

【特集報文】 河川環境評価の取組み 〜河川植生の数量的評価手法の開発〜

大石哲也・天野邦彦・三輪準二

<抄録> 河川生態系の基盤となる植生を対象に、個々の種を基準としたうえで、植物群落の質を数量的に評価する方法について検討した。その評価方法として、群落評価指数()、群落定着度(CIV )、環境評価指数(E )を提案した。この手法は、植生の知識を有しない技術者にも理解しやすく、例えば治水と同様に具体的な数値目標の設定が可能となる。

<キーワード> 河川植生、河川環境評価、河川環境目標、植生図

【特集報文】 オオキンケイギク植生管理実験における管理手法とその効果

小栗ひとみ・畠瀬頼子・松江正彦

<抄録> 特定外来生物二次指定植物オオキンケイギクの防除手法の開発の一環として、木曽川45km付近に位置する国営木曽三川公園かさだ広場においてオオキンケイギク植生管理実験を実施している。これまでの結果から、抜き取り管理によってオオキンケイギクの被度や開花を顕著に低減できるほか、管理の継続によって埋土種子を低減できることが判明した。

<キーワード> オオキンケイギク、特定外来生物、植生管理、埋土種子、防除技術

【特集報文】 流域内汚濁源から水域への栄養塩類流出特性

岡安祐司・鈴木 

<抄録> 流域からの排出負荷量の大部分を生活系が占める小流域を対象に、長期間(1年間)にわたる汚濁物質の流出過程を、汚濁負荷流出モデル(InfoWorks CS)を用いて解析した。その結果、BOD、COD、T-N、T-Pの年間平均流達率は、それぞれ、53%、114%、102%、91%と算出された。

<キーワード> 流達率、汚濁負荷流出解析、InfoWorks CS、流域別下水道整備総合計画

【特集報文】 トキ野生復帰に向けた水環境再生の試み

河口洋一・島谷幸宏・山下奉海・関島恒夫

<抄録> トキの島再生研究プロジェクトは、トキ野生復帰に向け、自然の仕組みそして社会の仕組みの再生グループを組織し、相互に連携しながら地域への持続的な再生シナリオの定着を目指している。トキ採餌環境整備の一環である水系ネットワークの再生では、河川、農地といった異なる行政機関、農家や地域住民・NPOとの協働体制の構築に研究者も積極的に参加し、水環境の再生が進められている。

<キーワード> 自然再生、水系ネットワークの再生、トキ、Nipponia nippon、ドジョウ

【報文】 建設製品と設計に係る適合性評価の現状と課題

松井謙二・木村 慎・菊地 稔

<抄録> 本文では、適合性評価に使用されるISO/IECガイド・規格類を紹介し、そこでは性能規定化基準に基づく性能設計を審査する設計認証機関の要件は未整備であり、我が国は適合性評価に係る国際整合化を進めるとともに、その要件の策定に向けて一層の努力が期待されていることを述べている。

<キーワード> 適合性評価、WTO/TBT協定、ISO/IECガイド・規格類、設計認証機関


平成21年9月 報文抄録

【報文】 地盤振動を活用した土石流の移動速度推定手法の提案

武澤永純・神野忠広・柳町年輝・山越隆雄・田村圭司

<抄録> 土石流の振動波形は先頭部が測定点に到達する20秒ないし30秒前から徐々に増大することが確認されている。その現象は土石流の流速に影響を受けている可能性が考えられる。本研究はそのような振動の増幅傾向から、土石流の流速を推定する手法を提案し、その適用可能性を評価するものである。

<キーワード> 土石流、地盤振動、流速、振動の増幅傾向

【報文】 微地形が河川堤防の耐浸透機能に及ぼす影響

齋藤由紀子・森 啓年・杉田秀樹

<抄録> 堤防の耐浸透機能の照査を高度化することを目指して、微地形を考慮した三次元浸透流解析を実施した。その結果、堤防周辺を旧河道が複雑に入り組む場合を除いて、照査断面を適切に設定すれば、落堀等の微地形の影響は現行の二次元の照査手法を用いて評価できることを示した。

<キーワード> 河川堤防、質的整備、耐浸透機能、微地形、三次元浸透流解析

【報文】 地震により桁が落下した橋に対する地震応答解析の 再現性に関する一検討

堺 淳一・運上茂樹

<抄録> 本研究では落橋防止構造の要求性能を明確にすることを目的とし、兵庫県南部地震において落橋被害が生じた橋を対象に、地震応答解析を行い、その再現性に関する検討を行った。これより、支承の破壊のモデル化が重要であることを示した。

<キーワード> 橋、落橋防止構造、地震被害、地震応答解析

【報文】 FWD検定方法とねじり骨材飛散値の性能評価法の提案

寺田 剛・加納孝志・久保和幸

<抄録> 現在、直轄国道等の舗装工事で性能規定工事が行われているが、今後更に多くの性能規定工事の発注を行うには、新しい性能評価法の提案が期待されている。そこで、土木研究所では、性能規定発注を実施しやすい環境を整えることを目的に、舗装性能指標の1つである疲労破壊輪数の評価に用いられる衝撃式たわみ測定装置(FWD)の機差をなくすためにFWD検定施設を用いた検定方法(案)とキャリブレーション方法及び新たな性能評価法としてねじり骨材飛散値の性能評価法を提案することができたのでその結果について報告する。

<キーワード> 舗装、性能評価法、疲労破壊輪数、ねじり骨材飛散値、FWD

【報文】 記録的短時間豪雨により発生した鉄砲水
〜新潟県南魚沼市水無川において発生した鉄砲水〜

長井義樹・田村圭司

<抄録> 2008年7月27日、新潟県南魚沼市を流下する信濃川水系魚野川右支川の水無川で、記録的な短時間豪雨が降り、下流部ではほとんど降雨がなかったにもかかわらず、上流部に降った雨によって鉄砲水が発生し、一部橋梁の流失等の被害をもたらした。本報では、その発生・流下過程について、現地で撮影された写真等を元に検討・考察した結果を示す。

<キーワード> 鉄砲水、局地的豪雨、段波、河道閉塞

【報文】 PMSを活用した事業管理の取り組みについて

鈴木祥弘・牧野浩志・楠本 敦・楢橋 健

<抄録> プロジェクトマネジメントは、事業全体を管理し目的を達成するための手法として、国内外で研究開発が進められてきており、日本の社会資本を効率的に整備するためにも、時間管理に視点をおき総合的に事業をマネジメントすることは重要である。国土交通省長崎河川国道事務所では、プロジェクトマネジメントシステム(以下PMS)を利用した道路事業の執行管理を行っている。本取り組みでは、事業工程の基本データ整理と課題抽出、事業工程の検討及び計画(案)の策定、情報管理の大きく三つに分けてPMSを運用し、その効果と課題を検証した。

<キーワード> 事業管理、プロジェクト・マネジメント・システム 、WBS 、コスト縮減 、品質確保 、クリティカルパス 、公共事業


平成21年10月 報文抄録

【特集報文】 海外の水分野における気候変動への適応策の動向

尾関敏久・三石真也・水草浩一

<抄録> 我が国における気候変動への適応施策策定の参考とするべく主要国の適応策の進捗状況と欧州を中心とした気候変動の影響評価及び適応策策定の手法について調査を行った。調査の結果、適応施策の実施段階に至っている国では、気候変動による流量や水位への影響を具体的に設定し、適応策の検討に反映していることが判明した。

<キーワード> 海外事例、水分野、気候変動、適応策

【特集報文】 GCM降水量データのバイアス補正手法開発

猪股広典・竹内邦良・深見和彦

<抄録> 全球大気大循環モデル(GCM20:気象研究所により開発)の降水量データが、月降水量および日降水極値について持つバイアスを統計的に補正する手法を開発した。手法の適用性検証のため、アメダス観測データを用いてGCM20の補正を行ったところ、月降水量および日降水極値が適当に補正され、本手法の適用性が確認された。

<キーワード> 地球温暖化、大気大循環モデル、降水量、統計的バイアス補正

【特集報文】 死者及び家屋倒壊・流失と氾濫水理現象の関連性分析

飯野光則

<抄録> 平成11年から平成18年において、氾濫流にて発生した死者及び家屋倒壊・流失事例を対象に、被災原因の調査及び氾濫流水理量との関連性分析を行った。屋外で死亡した事例、家屋倒壊・流失の事例については、氾濫流水理量との関連性を概ね把握することができた。

<キーワード> 氾濫流、水理量、死者、家屋倒壊、家屋流失

【特集報文】 降雨量の増加が斜面崩壊の発生分布と発生時刻に与える影響

冨田陽子・小山内信智

<抄録> 降雨特性の変化が斜面崩壊にどのように影響するのかを、平松(1992)の「表層崩壊発生予測モデル」を用いて試算した。事例地で実績最大降雨の1.1倍、1.2倍の降雨が発生したと仮定した場合、斜面崩壊箇所数は1.44倍、1.77倍に増加し、崩壊発生時刻は20分あるいは30分程度早まる結果となった。

<キーワード> 表層崩壊、時間雨量、崩壊分布の増大、崩壊発生時刻の短縮、警戒避難

【特集報文】 Xバンドマルチパラメータレーダによる豪雨監視

土屋修一

<抄録> 国土交通省河川局では、豪雨の監視強化のために関東、中部、近畿、北陸の4地域にMPレーダを整備する事となった。豪雨の監視強化を目的として導入されるXバンドマルチパラメータレーダとMPレーダから得られる雨量情報を活用した豪雨対策の高度化の取り組みについて紹介する。

<キーワード> 豪雨、豪雨監視強化、豪雨対策、Xバンドマルチパラメータレーダ

【特集報文】 給水制限を考慮した渇水被害レベルの区分

依田憲彦・三石真也・服部 敦

<抄録> 渇水時の被害レベルについて近年の渇水報道記事を基に影響度分類を区分し、水道用水、工業用水、農業用水における渇水時の限界についての検討を試みた。渇水時における耐えられない事象は、水道用水、工業用水、農業用水が共通して制限率の高い場合に発生していた。

<キーワード> 渇水被害、被害レベル、渇水影響、影響度分類、渇水時の限界

【特集報文】 ツバル国で生じている課題と共同研究
「海面上昇に対するツバル国の生態工学的維持」

山田浩次 

<抄録> 環礁国ツバルにおける住宅浸水や海岸侵食等の課題は、波浪等自然的な作用と、様々な人為的な要因、例えば人口増による低地への居住地拡大や、砂礫を生産するサンゴ・有孔虫の水質悪化による減少、砂の移動経路の遮断等多様な原因が考えられる。その解決と気候変動への適応のため、島の形成システムの解明と島の復元力を高める手法の提案を目的として、サンゴ・リモートセンシング・海岸工学の研究者による共同研究が始まっている。

<キーワード> 生態工学的手法、環礁、州島、ツバル、気候変動、海岸侵食、有孔虫

【報文】 拡径型アンカー工法の開発

澤松俊寿・宇田川義夫・小橋秀俊・林 豪人

<抄録> 拡径型アンカーは自由長部に比べて先端のアンカー体部を拡大させたアンカーである。従来の摩擦型アンカーに比べて、強度の小さい土砂地盤等においても大きな引抜き抵抗を期待できる。本研究では民間3グループと共同で3種類の拡径型アンカー工法の開発・合理化を行い、施工実験および引抜き実験を通してその有効性を確認した。

<キーワード> 掘割構造、山留め、グラウンドアンカー、拡径型アンカー、引抜き

【土研センター】 アンチロック状態などを考慮した制動停止距離

安藤和彦、倉持智明、寺田剛

<抄録> 道路上の車両が路上の危険事象を発見して、衝突しないよう急制動を行って停止する場合に必要となる制動停止距離の算出について、現在算出に用いるすべり摩擦係数は一定値が用いられており、制動初期のアンチロック状態が考慮されていない。そこで、すべり摩擦係数が変動するアンチロック状態を考慮した場合の制動停止距離算出方法を検討し、その妥当性を検証した。

<キーワード> 制動停止距離、アンチロック状態、すべり摩擦係数、算出式

 

 


平成21年11月 報文抄録

【報文】 河川空間の階層構造を意識した環境学習の実践と評価
―学習施設・研究機関・水族館の連携による取り組みから―

真田誠至・吉冨友恭・萱場祐一

<抄録> 本実践は、河川を複数の視点から捉えた環境学習のプログラムを考案するため、氾濫原環境を題材に学習施設と研究機関、水族館が連携して行なったはじめての試みである。調査の結果、1つの題材を複数の視点から捉えることで情報が統合されること、生息場の階層構造を関連付けた発言がなされたこと、視野を流域まで広げ興味関心を高めることができたことが示唆された。

<キーワード> 環境学習、連携、河川、氾濫原、空間スケール

【報文】 ステレオ写真を用いた地すべりの挙動把握手法に関する検討

小原嬢子・坂本孝之・石田孝司・藤澤和範

<抄録> 地すべり地に設置される監視用カメラなどは、地すべり体の挙動を把握する有効な情報となり得るが、高精度の画像解析は困難である。そこで、写真計測技術を用いて崩落に向かう地すべり体の挙動把握手法を検討し、複数台のデジタルカメラを用いた同期撮影システムの構築と、ステレオ画像の効率的な画像処理方法、3次元アニメーション化手法の基礎的なシステムの構築を行った。

<キーワード> 地すべり、写真測量、連続ステレオ写真撮影、3次元計測

【報文】 トンネルの変状対策工の選定手法

角湯克典・真下英人

<抄録> 現場で採用されることの多いトンネルの変状対策工に関して施工実績の収集・分析を行うとともに、一部の対策工について実大規模の載荷実験を行い、変状対策工の効果と選定の考え方についてとりまとめた。実際の現場においては、変状発生原因を的確に見極めるとともに覆工の残存耐力を適切に評価し、変状対策工の特性を踏まえ適用する必要がある。

<キーワード> トンネル、変状対策工、はく落対策工、外カ対策工、維持管理

【報文】 舗装のひび割れ注入材の耐久性試験

渡邉一弘・寺田 剛・久保和幸

<抄録> 舗装のひび割れに注入するシール材について、舗装走行実験場における荷重車による促進載荷を通じた耐久性試験を行った。その結果、シール材の性質や施工方法等により舗装の耐久性に影響を与える可能性があることが分かった。

<キーワード> 舗装、ひび割れ、シール材、促進載荷試験、耐久性

【報文】 下水道未普及解消クイックプロジェクト
―露出配管技術の寒冷地における凍結に関する検討

遠藤 淳・深谷 渉

<抄録> 下水道未普及解消クイックプロジェクトでは、新たな整備手法を提案し、その性能などについて社会実験を通じて検証を実施している。  この内、露出配管については、寒冷地で適用した場合において、凍結による流下阻害が懸念されており、現象解明のため、採用を予定している地区にて、流水実験を実施したので報告を行う。

<キーワード> 下水道、未普及解消、露出配管、凍結、実験

【報文】 下水道管渠の改築事業量予測及び不具合リスク評価

吉田敏章・福田康雄・松宮洋介

<抄録> 本報は、健全率予測式による下水道管渠の改築必要延長の予測方法及び不具合リスク評価による管渠の維持管理の優先度付け方法について、検討結果を報告するものである。検討に当たっては12の地方公共団体から得られた約17万スパンの管渠内調査結果を活用した。

<キーワード> 管渠、健全率、改築必要延長、不具合リスク

【報文】 コンクリートの乾燥収縮率推定法に関する実験的検討

片平 博・渡辺博志

<抄録> 骨材の品質によってコンクリートの乾燥収縮率は大きく異るが、乾燥収縮率試験の実施には長期間を要し、その照査は容易ではない。そこで、乾燥収縮率と対応の良い簡易な指標について検討した。その結果、乾燥収縮率と最も良い対応を示したのはコンクリートの動弾性係数であり、照査方法の試案を示した。

<キーワード> コンクリート、骨材、乾燥収縮、長さ変化試験、動弾性係数

【報文】 洪水調節専用(流水型)ダム放流設備の流木対策スクリーンの設計法

櫻井寿之・箱石憲昭

<抄録> 近年、水需要の停滞等により常時に貯水しない洪水調節専用(流水型)ダムの計画が増加しつつあり、堆砂対策や環境保全における利点から注目されている。しかし、流水型ダムの放流設備では流木による閉塞が懸念されている。そこで、水理模型実験による検討から考案した流木対策スクリーンとその設計法について報告する。

<キーワード> 治水専用ダム、流水型ダム、流木対策スクリーン、閉塞、水理設計

【報文】 エトリンガイトの遅延生成(DEF)によるコンクリート製品の 劣化に関する報告

藤兼雅和・中原浩慈・仲村哲男

<抄録> 山梨県山中湖村の国道に設置したコンクリート製品の側溝が、設置後3年で劣化するという事象が発生した。原因調査の結果、エトリンガイトの遅延生成により発生した膨張ひび割れに水分が浸透し、冬季の凍結融解作用を起こして発生した劣化の可能性が高いことが判明した。このことについて報告するものである。

<キーワード> エトリンガイトの遅延生成、コンクリート2次製品、劣化、蒸気養生、積雪寒冷地

【土研センター】 補強土壁の限界状態設計法―信頼性による性能評価と諸外国の動向―

宮田喜壽・中根 淳

<抄録> 近年、諸外国における補強土壁の設計法は、安全率を用いる設計法から限界状態設計法に移行している。限界状態設計法の特徴は、一連の照査で確率論的に性能を評価する信頼性の手法を用いることと、設計の照査を安定性や使用性のように細分化して行う点にある。本文では、補強土壁の限界状態設計法に関する動向とその内容として、限界状態設計法の概要と、具体的な設計法の考え方を紹介した。

<キーワード> 補強土壁、諸外国、限界状態設計法、信頼性、確率論

 

 


平成21年12月 報文抄録

【特集報文】 道路橋の耐震補強の優先度評価手法の提案

中尾吉宏・高宮 進・小路泰広

<抄録> 道路管理者にヒアリング調査等を行って、道路ネットワークの重要性等の多様な観点に基づく道路橋の耐震補強の優先度評価手法が望まれていることを把握した。また、道路橋の耐震補強は、事業の目標や効果に基づく優先度だけではなく、橋梁補修のタイミング等、実務上の合理性も考慮して実施されていることを把握した。そこで、優先度評価に多様な観点を取り入れつつ、実務上の合理性にも配慮した道路橋の耐震補強の優先度評価手法を提案した。

<キーワード> 道路橋、耐震補強、優先度評価、AHP

【特集報文】 強震動を受けた上路式鋼アーチ橋の耐震補強対策の効果分析

堺 淳一・運上茂樹

<抄録> 2007年の新潟県中越沖地震では、耐震補強された上路式鋼アーチ橋が強震動を受けた事例が報告されている。そこで、本研究では、上路 式鋼アーチ橋の地震被害と耐震補強効果を分析するために、本橋を対象として、補強前後の状態の橋に対して地震応答解析を行った。

<キーワード> 鋼アーチ橋、地震被害、新潟県中越沖地震、耐震補強、地震応答解析

【特集報文】 機械式定着繊維バンド巻立て工法による
RC橋脚のせん断補強効果に関する実験的検討

堺 淳一・運上茂樹

<抄録> 震災を受けた橋の機能回復を迅速かつ合理的に図るための応急復旧技術として開発した機械式定着による繊維バンド巻立て工法のせん断補 強効果を検討するために、正負交番載荷実験を行った。この結果、大きな水平変位を受ける段階にもバンドは破断せず、十分なせん断補強効果が得られることを示した。

<キーワード> RC橋脚、地震被害、応急復旧工法、機械式定着、せん断補強

【特集報文】 炭素繊維シートと鋼板によるRC橋脚の耐震補強とその効果

張 広鋒・星隈順一・堺 淳一

<抄録> 本論文は、軽量で施工しやすい鉄筋コンクリート(RC)橋脚の耐震補強工法として、炭素繊維シート(CFRPシート)と鋼板巻立てを併用する補強工法の提案に向けて、CFRPシートと鋼板の付着性能を検討するための付着実験及び、補強効果を検証するためのRC橋脚模型の正負交番載荷実験を行った結果を報告するものである

<キーワード> 鉄筋コンクリート橋脚、主鉄筋段落し部、耐震補強、炭素繊維シート、鋼板巻立て

【特集報文】 大地震に対する河川堤防の耐震対策工の設計法―液状化対策工の設計法の概要―

谷本俊輔・中島 進・中田芳貴・森 啓年・佐々木哲也

<抄録> 現在、土木研究所土質・振動チームでは、レベル2地震動に対する既設堤防の液状化対策工法の設計法について検討を行っており、今年度末を目途にマニュアルとしてとりまとめるべく作業を進めているところである。本報では、大地震時の液状化対策工設計法の骨子として、現在作成中のマニュアルの基本理念や工法ごとに必要な照査項目を紹介する。堤防の液状化対策工に関する従来設計法は、堤防の全体安定、対策工の外的・内的安定を満たし、対策領域内に液状化を生じさせないような設計がなされていた。本報では、堤防の液状化対策として適用される固結工法、締固め工法、ドレーン工法、鋼材を用いた工法について、従来設計法とレベル2地震動に対する新しい設計法の変更点やその考え方について述べた。

<キーワード> 河川堤防、液状化対策、耐震設計、レベル2地震動

【特集報文】 四万十川における南海地震対策―津蔵渕水門の耐震補強―

高橋 弘・北川誠純

<抄録> 大規模地震(南海地震)対策「レベル2地震動対策」の水門耐震補強として、底板のせん断補強に「Post−Head−Bar工法」、底板及び堰柱の曲げ補強にAT−P工法、門柱の曲げ補強にアラミド繊維補強工法の3工法を損傷部位や破壊形態により選定し、耐震補強対策を実施しました。

<キーワード> レベル2地震動対策、南海地震対策、水門耐震補強、コスト縮減

【報文】 道路トンネルにおける覆工省略型トンネルの適用性

日下 敦・真下英人・角湯克典 

<抄録> トンネルの建設コスト縮減策として挙げられる覆工省略型トンネルについて、従来の覆工が有している機能を整理し、道路トンネルで覆工を省略する場合の構造と適用条件を明らかにするとともに、覆工省略型トンネルを採用した場合の力学特性を載荷実験により明らかにした。

<キーワード> 覆工省略型トンネル、道路トンネル、載荷実験

【報文】 都市河川流域における溶解性鉄の挙動

山下洋正・岡本誠一郎

<抄録> 都市の雨天時流出水や都市排水(下水処理水等)の必須元素の挙動の解明を目標として、溶解性の鉄の化学種分析法を検討し、ゲル浸透クロマトグラフィーで分画して誘導結合プラズマ質量分析を行う方法を採用した。また、関東地方の都市影響河川の流域において、都市の雨天時流出水の水質を調査し、溶解性鉄の挙動を把握した。

<キーワード> 必須元素、溶解性鉄、河川、都市排水、雨天時流出水