低品位骨材に関する実験
1. はじめに
道路舗装用骨材は近年、骨材資源の枯渇等により、高品質な骨材の確保が年々難しくなっている。一方では、排水性舗装に代表されるように高品質な骨材を必要とする舗装の需要が多くなり、さらに状況を悪化させている。
資源の有効利用の観点から、低品位骨材がアスファルト混合物に与える影響を把握し、目的に応じて骨材を選択できるようにする必要がある。
ここでは低品位骨材、とくに細長、扁平な骨材が、アスファルト混合物に与える影響を把握するため、施工性に影響すると考える締固め特性(コンパクタビリティ)と、舗装の耐久性に影響を及ぼす粗骨材の破損に着目し検討を行なった。
2. 検討課題
- 粗骨材形状が混合物の締固め特性に与える影響
- 粗骨材形状が混合物の骨材破損に与える影響
- 粗骨材形状が混合物の力学的性状に与える影響
3. 各検討課題にに対する評価手法
1) 粗骨材形状が混合物の締固め特性に与える影響
本研究では、粗骨材の形状が混合物の締固め特性に与える影響をジャイレトリーコンパクタ(以下:GTM)により評価した。
2) 粗骨材形状が混合物の骨材破損に与える影響
締め固めた混合物を燃焼式アスファルト含有量測定試験によりアスファルトを取り除き、残った骨材に対して粒度分析を行い、粗骨材の破損程度を評価した。
3) 粗骨材形状が混合物の力学的性状に与える影響
締め固めた混合物の、マーシャル安定度やフロー値、動的安定度、透水係数、カンタブロ損失量等を実施した。
4. 結果
本研究により得られた知見は以下に示すとおりである。
- 細長・偏平な粗骨材の含有量の増加に伴い、混合物の締固めは困難になる傾向にある。
- 細長・偏平な粗骨材の含有量の増加は、混合物の締固め時において粗骨材破損量を増加させる。また、細長・偏平な粗骨材を多く含む排水性混合物では、供用時における耐久性の低下が懸念される。
- 細長・偏平な粗骨材の含有量が、最適アスファルト量、マーシャル安定度、フロー値、動的安定度に与える影響は小さい。
- 締固め機種にGTMを用いた排水性混合物の透水係数は、細長・扁平な粗骨材の増加に伴い、小さくなる傾向にある。