回転式すべり抵抗測定器の測定方法に関する実験的研究
1. はじめに
「舗装試験法便覧別冊(暫定試験方法)」に記載された、回転式すべり抵抗測定器(以下、DFテスタ)を用いたすべり抵抗評価が重視されてきている。
本研究は、DFテスタの測定方法および測定値に影響を与えると思われる路面等の測定環境に関して、5台のDFテスタを用い検討した。
2. 実験方法
本実験において実施した検討項目を、表−1に示す。
項目 | 混合物種別 | 試験温度 | 路面勾配 | 内容 |
機差 | 密粒 | 20℃ | 0% | 同一供試体上において5台のDFテスターで試験。 |
散水方法 | 密粒, 排水性 |
室温 | 0% | 散水開始時期を「円盤回転開始10秒前」「円盤回転開始時」「円盤落下直前」「試験機セット前の事前散水のみ」に変化させ測定。 |
ゴムピースの耐久性 | 密粒, 排水性 |
5,20℃ | 0% | 同一ゴムピースで連続30回測定。 |
路面温度 | 密粒, 排水性 |
5,20,40℃ | 0% | ゴムピース、水も同温度にて養生 |
路面勾配 | 密粒 | 室温 | 0,2,6,10% | 勾配0%は散水方法に同じ |
3. 結果
機差
5台のDFテスタを用い、同一供試体上で測定した結果は図−1に示すとおりである。各速度における測定値の差は最大でも0.03と低く、分散分析においても有意差は見られず、今回使用した5台のDFテスタの測定値は同一と見なせる結果であった。
図−1 RSNの機差
散水開始時期
図-2は、排水性における散水開始時期を変化させた結果である。事前散水のみが、他に比べかなり高い値を示した。一方密粒では、どの条件においても差は見られなかった。透水する排水性では特に測定時の散水に注意を払う必要がある。
図−2 散水開始時期によるRSN
ゴムピースの耐久性
図−3は、ゴムピース交換無しで30回連続測定した結果である。密粒は初期段階に上昇が見られ、その後ほぼ横這い状態である。排水性では回数の増加とともに測定値はわずかながら減少傾向にある。試験後のゴムピースは、排水性に摩耗が見られ、密粒には筋状の傷が観察された。ゴムピースの耐久性は、路面のテクスチャに大きく影響されると考えられ、測定時におけるゴムピースの状態確認が重要と考える。
図−3 繰り返し回数とRSN
路面温度
密粒における路面温度を変化させた試験結異は、図−4に示すとおりである。路面温度の上昇とともにRSNも上昇することがわかる。排水性においては、路面温度によるRSNの変化は見られないことから、混合物種別によっても変化すると考えられ今後更なる検討が必要と考える。
図−4 路面温度とRSN
路面勾配
路面勾配とRSNの関係を図-5に示す。今回試験した密粒、最大10%勾配の条件においては、RSNに変化は見られなかった。
図−5 路面勾配とRSN
4. 結果
DFテスタは、ASTMにも認定されすべり抵抗の評価試験として今後多用されることが予想され、温度補正の必要性等信頼性を高める見地からも今後さらに検討が必要と考える。