アスファルト混合物の作業性評価手法に関する検討WG(作業性WG)
1. 研究目的と研究内容
アスファルト混合物の作業性は、定量的に評価することが難しく、その評価方法は確立されていないのが現状である。特に、中温化混合物、再生混合物および常温混合物においては、今後、需要の増加が想定されるため、作業性・施工性の評価法が望まれている。
既往事例では、各機関において実施している定量的な評価方法はあるが、統一した評価方法等が必要である。そこで、本WGは、既往の事例を収集整理し、作業性が品質・出来形に与える影響や作業性に関する評価方法の提案を試みることを目的として活動を行った。
2. 研究結果
共通試験において各種作業性評価を実施した結果、フロー試験により測定される流下速度(g/s)には、人がアスファルト混合物を扱った時の感応評価(写真-1)との相関が確認できたため(図-1)、アスファルト混合物の作業性を定量的に評価する方法としてフロー試験を選定した(写真-2、写真-3)。
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写真-1 感応試験の状況 | 写真-2 フローコーン | 写真-3 フロー試験の状況 |
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図-1 感応試験と流下速度の関係 |
フロー試験を用いて、再生混合物、アスファルト量を変化させた混合物、ポーラス混合物、中温化混合物の作業性評価を実施した(図-2)。その結果、これらの混合物はストアス混合物と同様に評価できることを確認した。また、流下速度を比較すると、密粒13 (ストアス)と再生混合物、密粒13 (改質U型)とポーラスでは異なる傾向が見られ、作業性をフロー試験によって概ね評価できていることを確認した。ただし、アスファルト量が少ない貧配合においては、作業性が優れる評価を得られた場合においても混合物性状としては良好とは限らないため、フロー試験の適用範囲を定めるなど、その扱いに留意が必要であることが分かった。
併せて、混合物性状を確認した結果、フロー試験における流下速度と締固め度に相関関係が得られた。
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図-2 各種混合物の試験温度と流下速度の関係 |
フロー試験の標準値として密粒13(ストアス)の試験結果を示した。さらに、感応試験において「作業性が良い」と評価している「4.0」を閾値とすると、そのときのフロー試験おける流下速度は約380(g/s)となり、その際のアスファルト混合物の締固め度は約99%であることを確認した(図-3、図-4)。
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図-3 感応試験と流下速度の関係 | 図-4 締固め度と作業性評価の関係 |
3. 反映
本WGにおける検討では、一般的なアスファルト混合物の評価においてフロー試験と感応試験に一定の関係が確認でき、フロー試験と締固め度にも相関性が認められた。そこで、今回の検討結果をもとに、「作業性評価の手順書(案)」およびフロー試験の紹介動画を作製した。手順書(案)には、フロー試験の手順のほかにばらつきを減らすための注意事項やWGでの検討結果を記載している。
なお、これらは雑誌舗装1)へ投稿を行っている。
<参考文献>
1)村井ほか「アスファルト混合物の作業性評価手法に関する提案」,舗装,2025 vol.60 No.3,pp.31-36