(一財)土木研究センター/第3回技術者講座「インフラ強靭化に関する最近のトピックス」


 
 

ご案内:

 令和2 年度と3年度に引き続き,令和4 年度におきましても(一財)土木研究センター (www.pwrc.or.jp)と(一社)地域国土強靭化研究所 (https://lrri.or.jp)とが連携して,標記の技術者講座を開催いたします。実務に反映させることを念頭に置いていますが,建設技術者の⽅々はもちろん,研究者や学⽣の⽅々につきましてもお役に⽴てる内容です。奮ってご参加いただきますようご案内致します。
 

趣旨:

国⼟強靭化を必要とする地域における要請に応えることができる最新の成果を発信する。

学会等が発信する内容とは異なる視点からの実務に有益な最新の情報を提供する。
技術者継続教育を⽀援する。

講座名:「インフラ強靭化に関する最近のトピックス」


日程など

1.日 時   令和 5 年5 月17 日(水)13:30 ~ 16:50 及び
令和 5 年5 月24 日(水)13:30 ~ 16:50    計2回

2.方 法

  オンサイトとオンライン(Zoom使用)とのハイブリッド
3.場 所   (一社)茨城県産業会館(www.is-kaikan.or.jp) 研修室
〒310-0801 茨城県水戸市桜川2丁目2-35 電話: 029-227-7121
4.主 催   (一財)土木研究センター (www.pwrc.or.jp)
(一社)地域国土強靭化研究所 (https://lrri.or.jp)
5.共 催   地盤工学会関東支部(依頼中)
6.後 援   土木学会関東支部茨城会
(一社)茨城県建設コンサルタンツ協会
日刊建設工業新聞社
7.CPD   地盤工学会または土木学会から賦与(一回3時間として3 x 2 = 6 ポイント)

プログラムとスケジュール
★第1 回【5 ⽉17 ⽇】13:30 – 16:50
13:30 – 13:40 開会あいさつ
 13:40 – 14:40 トピック(1) 「橋梁定期点検を支援する事例解説集」
    講師:(一財)土木研究センター 材料・構造研究部長 落合 盛人
  <14:40 – 14:50> 休憩
14:50 – 16:20 トピック(2) 「防災・減災、国土強靭化のための性能評価の姿勢&視点」
   講師:(一財)土木研究センター顧問& LRRI 顧問 常⽥賢⼀
16:20 – 16:50 質疑応答
★第2 回【5 ⽉24 ⽇】13:30 – 16:30
 13:30 – 14:30 トピック(3) 「全国道路施設点検データベース(土工)」
    講師:(一財)土木研究センター 土工データベース情報管理室長 井手 統一
  <14:30 – 14:40> 休憩
14:40 – 16:10 トピック(4) 「インフラメンテナンスに貢献する宅地地盤相談-神奈川 の活動事例-」
   講師:(⼀社)地盤品質判定⼠会 神奈川⽀部⻑ ⽴花秀夫
16:10 – 16:40 質疑応答
16:40 – 16:50 閉会挨拶
テキスト(配布資料)
トピック(2): 常田賢一著「防災・減災、国土強靱化のための性能評価の最適化の実務 -個別最適から全体最適に展開-」(編集・発⾏:(⼀社)地域国⼟強靱化研究所)
トピック(1), (2), (3), (4): PPT 資料 (事前に,WEB 上で配信)
 
◆参加料(テキスト代を含む。申込時一括支払い):
会員:5,000円,学生は半額(2,500円)
(ここでいう会員とは,地盤⼯学会会員,⼟⽊学会会員,(⼀社)茨城県建設コンサルタンツ協会,(⼀財)⼟⽊研究センター賛助会員,(⼀社)地域国⼟強靭化研究所会員を指すものとします)
非会員:7,000円
(*予定参加数者数は,オンサイト:30 名迄,オンライン:170 名迄)
   

<振込先>(期限:令和5 年5 ⽉ 8 ⽇(⽉)まで)
・銀行名:常陽銀行 大穂支店 普通 1181113

・名義人:一般財団法人土木研究センター 
 
お申し込み先 (期限:令和5 年5 ⽉ 8 ⽇(⽉)まで)
・URLからの申し込み
(一財)土木研究センター  e-mail:mail@pwrc.or.jp
別紙申込用紙に記載の上,PDF版をe-mail にて送付願います。
◆お問い合わせ先:
 ・一般財団法人 土木研究センター 技術研究所 庶務・広報部 ⽶川、⽊本
   TEL:029-864-2521 e-mail:mail@pwrc.or.jp  または
 ・一般社団法人 地域国土強靭化研究所 事務局 ⽶川
   携帯(安原): 090-2639-5174, e-mail: staff@lrri.or.jp
   (@以下4文字は,小文字で,エル(l)・アール(r)・アール(r)・アイ(i))


 
 
第3 回技術者講座
 
「インフラ強靭化に関する最近のトピックス」
令和5 年 5 月17 日(水) & 5 月24 日(水) 全2 回 (計4 講座)
 
講師プロフィール&講義概要
 

令和5 年 5 月17 日(水)

【トピック(1)】:「橋梁定期点検を支援する事例解説集」
【講 師】:(一財)土木研究センター 材料・構造研究部長 落合 盛人
1981 年川崎重工業㈱入社、プラント・鉄鋼エンジニアリング事業部にて長年にわたり鋼橋の設計・架設・品質保証に従事。主な実績としては、首都高速道路㈱レインボーブリッジ設計及び施工管理、かつしかハープ橋耐震補強設計及び施工管理、NEXCO 中日本㈱名港トリトン西大橋設計及び施工管理、阪神高速道路㈱東神戸水路橋設計を担当、2019 年(一財)土木研究センター入社、現在は、橋梁全般の新技術および補修・補強関連の業務に従事。
専門︓鋼橋、資格︓技術士(建設部門)
 
【講義概要】:
 国土交通省が2022 年8月に公表した「道路メンテナンス年報(2巡目3 年目)」によると、早期または緊急に措置を講ずる必要があると判定された橋梁の数は市町村管理のもので多くなっており、今後その数はさらに増大することが予想され、市町村における橋梁の適切な維持管理が、今まで以上に重要となってきている。
 橋梁の維持管理では、状態の把握・健全性の診断・対策措置から構成されるメンテナンスサイクルを適切に行うことが求められ、いずれもが重要な要素であるが、とりわけ診断は、対策措置の決定に向けて重要となり、構造物管理者としての技量が問われるところでもある。
 市町村の管理橋の内、構造形式が複雑であるなど診断に際して特に高い技術力が必要な場合では、国の直轄診断が実施されており、成果を上げつつあるが、各市町村が抱える個々の橋梁の診断に対し、橋梁管理者自らが柔軟に対応するには、橋梁診断の参考となる技術情報を市町村に多い橋梁形式に着目して提供することも有効であると考えている。
 当センターでは、これまで、地方自治体、特に市町村を対象にした橋梁定期点検・橋梁の維持管理対策に関する技術支援活動を実施してきており、その活動の一つとして、橋梁の定期点検に関わる参考技術情報(事例解説集)を作成した。
 本講話では、作成した橋梁の定期点検に関わる事例解説集の内容を中心に、本解説集を作成するに至った背景も含め次の内容を予定している。
 ・橋梁定期点検(2 巡目3 年目)の市町村管理橋の状況
 ・橋梁定期点検全体の流れと事例解説集の位置づけ
 ・診断区分と診断方法の要点
 ・市町村の診断に役立つ参考情報のあり方
 ・事例解説集の内容
 
【トピック(2)】:「防災・減災、国⼟強靭化のための性能評価の姿勢&視点」
【講 師】:(⼀財)⼟⽊研究センター顧問,応⽤地質(株)顧問 & LRRI 顧問 常⽥賢⼀
略歴:1989 年土研/振動研究室長,1993 年北陸地整/金沢工事事務所長,1995 年JACIC 研究第2 部長,1996 年土研/道路交通総括研究官,2000 年(独法)土研/耐震研究G 長,2004 年大阪大学大学院教授,2017 年大阪大学名誉教授,2017 年(一財)土木研究センター理事・理事長。
現在、2021 年8 月~応用地質(株)顧問。国交省道路技術小委員会委員など。
専門:土質・地盤・土工構造物・防災。興味:堤防の越流破堤、盛土等の性能評価。
資格:博士(工学)・技術士(建設部門)
 
【講義概要】:
 1995 年の阪神淡路大震災を契機とし、土木構造物の設計法は仕様設計から性能設計に大きく舵を切りましたが、近年、想定外の規模、頻度の災害が発生するとともに、土木構造物などに対する国民、利用者などの要望が多様化かつ複雑化し、さらに、DX など、急激なデジタル情報化が進展しているため、性能設計に留まらず、事業のあらゆる段階、分野、領域を俯瞰し、展望した性能評価、政策・事業の取組みへの転換が必要であり、有効です(図1)。
 本講演では、従来の個別要件、個別段階、単一構造、地点・箇所を対象とする性能評価の最適化を「個別最適」とし、他方、全要件、全段階、複合構造、地域を対象とする性能評価の最適化を「全体最適」と位置付け(図2)、それらの対象の具体例を示すことにより、将来の事業の取り組みの方向性あるいは対策の位置付けの明確化、想定外の事象に対する柔軟な対応、社会インフラを享受あるいは利害に関係する国民などからの理解の向上のためには、「個別最適」から「総合最適」、さらに「全体最適」への展開(図3)が必要であることを提起します。
 また、新技術・工法に必要な根拠・エビデンスの実証方法の分類(図4)を図り、それぞれの分類の具体例を示して、根拠・エビデンスの理解の深化を図ります。さらに、最近の諸政策・活動などが「全体最適」の流れにあることを概観するとともに、具体的な取り組みを例示して、性能設計、性能評価の理解が深められるようにします。

令和5 年 5 月24 日(水)
【トピック(3)】:「全国道路施設点検データベース(⼟⼯)」
【講 師】:(⼀財)⼟⽊研究センター ⼟⼯データベース情報管理室⻑ 井⼿ 統⼀
1986 年国⼟交通省九州地⽅建設局採⽤、1990 年⼟⽊研究所トンネル研究室研究員、 2005 年国⼟交通省関東地⽅整備局⾦町国道出張所⻑、2008 年⾸都⾼速道路(株)計画・環境部上級メンバー、2012 国⼟交通省関東地⽅整備局⼤宮国道事務所副所⻑、2015 年中⽇本⾼速道路(株)⼋王⼦⼯事事務所副所⻑、2020 年国⼟交通省関東地⽅整備局企画部事業調整官・⾸都圏広域地⽅計画室総括副室⻑、2021 年(⼀財)⼟⽊研究センター⼟⼯・構造物研究部付部⻑、2022 年7 ⽉から⼟⼯DB 情報管理室⻑を兼務
 
【講義概要】:
 今年は、2013 年の道路法改正等に基づき、道路管理者が橋梁やトンネル等を対象として5 年に1 回の点検を⾏うことになってから10 年⽬を迎えるが、この間、社会資本の⽼朽化に対する計画的な維持管理・更新の取組みが求められてきた⼀⽅で、建設技能を有する⼈材確保が課題となってきた。また、2020 年の新型コロナウイルス感染拡⼤を契機としたデジタル技術の浸透や働き⽅の転換など、社会全体の⽣活様式にも急速な変化が⾒られるようになった。
 このような背景の下、国⼟交通省は、これまでICT ⼟⼯等の施策導⼊により、建設⽣産システム全体の⽣産性向上を図るべく、i-Construction を推進するとともに、2022 年3 ⽉にはインフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)について、3 つの柱(①⾏政⼿続きのデジタル化、②情報の⾼度化とその活⽤、③現場作業の遠隔化・⾃動化・⾃⽴化)とDX実現に向けた各施策の「⽬指すべき姿」、「⼯程」等をとりまとめた「インフラ分野のDX アクションプラン」を公表し、具体的な取 り組みに着⼿した。
 DX アクションプランの中で道路関係については、デジタル道路地図等を基盤として各種データを紐付ける「xROAD(道路データプラットフォーム)」を構築し、維持管理のほか様々な分野で活⽤すること等が位置付けられており、そのxROAD の⼀環として、各道路管理者においてこれまで蓄積されてきた全国の道路施設の諸元や点検・診断データを⼀元的に活⽤すべく構築され、2022 年7 ⽉から本格的な運⽤を開始した「全国道路施設点検データベース」の全体概要と「⼟⼯データベース」について紹介する。
 
【トピック(4)】:「インフラメンテナンスに貢献する宅地地盤相談-神奈川の活動事例-」
【講 師】:(⼀社)地盤品質判定⼠会 神奈川⽀部⻑ ⽴花秀夫
飛島建設㈱ 技術部門で地盤関係の研究開発および施工・営業支援に従事、1996年 技術研究所副所長、2000年 営業本部電力エネルギー部長、2003年 大型重機土工専門工事業者の山﨑建設㈱ 技術部門長、2009年 ケイエムエンジニアリング㈱ 土質・基礎関連の土木設計。
2011年の引退後は要請に応じて、地盤工学および地盤品質関連の技術相談・分析業務等のコンサルティング。2020年 (株)八洲 技術顧問。
2016年地盤品質判定士会神奈川支部を立上げ、支部長に就任、現在に至る。
地盤工学会、地盤品質判定士会、NPO 地盤災害から命を守る会に所属、地盤災害を通じた社会・地域貢献に関心。技術士(建設/土質・基礎、総合技術監理部門)、地盤品質判定士。
 
【講義概要】:
 東⽇本⼤震災を契機に2013 年に創設された地盤品質判定⼠(以下、判定⼠)は、宅地防災を担う唯⼀の⺠間資格として、2018 年2 ⽉国⼟交通省に認定された。判定⼠が集う地盤品質判定⼠会(以下、判定⼠会)は、2015 年に設⽴し、現在、全国で約1,200 名が所属している。個⼈保有の宅地は個⼈資産でありながら、宅地の災害は周辺の道路や隣接する宅地にも影響を及ぼす可能性があるため、判定⼠会では宅地を重要な社会基盤(インフラ)と認識しており、その課題解決に⼤きく貢献している。中でも神奈川⽀部(以下、⽀部)は、⾃治体との連携により市⺠相談を進めるとともに、地盤災害に対する市⺠および産官学が参加する共創の場を提供するなど、判定⼠会内外で先駆的な取り組みを実施してきた。それらの活動が評価され、2022 年度の⼟⽊学会インフラメンテナンス チャレンジ賞を「宅地地盤相談制度の確⽴および地盤災害に向き合う共創の場の構築と実践」と題して受賞した。
 本講演では、⽀部を中⼼とした判定⼠会の活動および⽀部が実践している宅地地盤相談について概要を述べ、⽀部のホームページにて受け付けている市⺠相談ならびに、⾃治体が主催する相談会への協⼒について説明する。あわせて、相談事例の⼀部を紹介する。


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