(財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成18年
 
平成18年1月 報文抄録

【論説・企画趣旨】自然と共生する国土の再構築に向けて
〜流域圏・都市の再生という切り口から〜

福田晴耕

【報文】自然と共生する国土の再構築のためのプロセスと技術研究

福田晴耕・藤田光一・伊藤弘之・小路剛志

<抄録> 自然共生型流域圏・都市の再生を進めるための理念と実施プロセスの枠組みを提示する。このプロセスにしたがって再生策を組み立て実施していくために必要となる種々の技術研究開発の状況を総括する。

<キーワード> 自然共生、流域圏、都市再生、国土再生、政策シナリオ

【報文】水と緑を軸とした都市再生のシナリオ

石川幹子

<抄録> 都市化や開発が高度に進んだ東京区部を取り上げ、水と緑を社会的共通資本として捉え、その再構築により都市の再生を図るための具体的手法、方法論、空間像についての複数の代替案を、シナリオとして提示し、実現に向けての方向性と課題について論じる。

<キーワード> 都市再生、水と緑の回廊、渋谷川、都市内河川再生型まちづくり

【報文】GISを活用したシミュレーションモデルによる流域圏再生シナリオの検討

藤田光一・伊藤弘之・小路剛志・安間智之

<抄録> 東京湾とそこに流入する河川流域を対象に、水物質循環、水域生態系、熱環境に関するシミュレーションモデルとGISを活用して、東京湾とその流域圏を再生するための包括的政策検討を試行する。

<キーワード> 流域圏再生、GIS、シミュレーションモデル、東京湾、政策検討

【報文】 舗装体への雨水貯留による持続性のある保水性舗装の開発

並河良治

<抄録> 舗装上に降った雨を素早く路盤部に取り込み、舗装体に蓄えることで温度低減効果を持続させると同時に排水の最大流量を減少させる舗装を開発した。本舗装は、小規模な屋外試験で温度低減効果が12日以上持続すること、及び70%程度の雨水流出抑制効果があることが確認された。

<キーワード> 保水性舗装、持続性、雨水貯留、ヒートアイランド対策、流出抑制

【報文】水循環の健全化のための下水道システムの改善

管谷悌治・平山孝浩・藤生和也・南山瑞彦

<抄録> 水環境の視点から見て下水道システムにおいて課題となっている事項の中から、合流式下水道と環境ホルモンの二つを取り上げる。合流式下水道については「合流式下水道からの汚濁負荷流出量の予測手法の開発」、環境ホルモンについては「オゾン処理による環境ホルモン等の効率的低減」に関する取り組みについて紹介する。

<キーワード> 合流改善、汚濁負荷モデル、環境ホルモン、オゾン処理

【報文】 エコロジカルネットワーク計画のための生息地予測モデルとシナリオ分析の検討

長濱庸介・佐伯 緑・松江正彦・大村 径

<抄録> 失われた自然環境や野生動物の生息地を回復し、人間と野生動物が共存できる社会を築くには、生態系の保全や創出を盛り込んだインフラ整備を実施することが重要であり、それを効率的に実施する計画として、エコロジカルネットワーク計画が挙げられる。本報告では、エコロジカルネットワーク計画への生息地予測モデルとシナリオ分析の適用について、エコロジカルネットワーク計画の策定例を用いて紹介する。

<キーワード> エコロジカルネットワーク計画、生息地予測モデル、潜在生息地、施策シナリオ

【報文】アルカリ骨材反応劣化進行予測と維持管理の考え方

河野広隆・渡辺博志・山口順一郎

<抄録> アルカリ骨材反応により劣化したコンクリート構造物の合理的な維持管理法を検討するため、まず、数十の劣化構造物の追跡調査を実施した。この結果と別途実施された道路橋の全国調査結果をあわせて、わが国のASR劣化構造物の劣化進行パターンを明確にした。それをもとに、ASR劣化構造物の合理的な維持管理方法について提案を行った。

<キーワード> コンクリート構造物、維持管理、アルカリ骨材反応、劣化進行予測

【報文】コンクリート構造物のせん断耐力算定式に関する国際比較検討

中村英佑・渡辺博志

<抄録> 国内外のコンクリート部材のせん断耐力算定式を比較検討した。この結果、日米英の算定式は、修正トラス理論に基礎を置くものとトラス機構のみで評価を行うものに二分できた。また、既存実験データを適用すると、前者はせん断耐力を概ね正確に算定できるものの、後者は圧縮傾斜角の設定値により算定結果が大きく異なってくることが判明した。

<キーワード> せん断耐力、修正トラス理論、トラス機構、国際標準

【報文】河川における低水流量観測技術基準の再評価

今村仁紀・深見和彦・天羽 淳

<抄録> 河川における低水流量観測について、現状の流量観測技術基準の課題と誤差要因が観測流量へ与える影響を把握するため、全国11箇所の水位流量観測所にて検証を行った。その結果、流量誤差へ与える影響は流速誤差が最も大きいと判明したが、河川局標準法による深さ方向の2点法は実用上十分であると評価された。

<キーワード> 低水流量観測、流量観測技術基準、流量誤差、河川局標準法


平成18年2月 報文抄録

【論説・企画趣旨】新たな公共調達における発注者の役割

濱田俊一

【報文】公共工事における総合評価方式の取り組みについて

堤 達也・伊藤弘之・塩崎修男

<抄録> 平成17年4月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」を踏まえ、国土交通省においては、競争参加者に技術提案を求め、これらと価格を総合的に考慮して落札者を決定する総合評価方式のより一層の活用促進に努めている。本報では、国土交通省におけるこれまでの総合評価方式の取り組み状況、ガイドラインの概要及び総合評価方式の今後の展開について報告する。

<キーワード> 品確法、入札制度、総合評価方式、技術提案

【報文】ユニットプライス型積算方式の試行状況とフォローアップ結果

尾関信行・梶田洋規・原田邦裕

<抄録> 国土交通省は、平成16年12月から直轄の新設舗装工事を対象に、一部の工事でユニットプライス型積算方式の試行を始めている。本稿は、その試行状況と試行工事に対し実施しているフォローアップ調査結果を基に、より良い制度の構築に向けた以降の検討に資するため、導入効果や課題等を把握・検証し、その考察を行った。

<キーワード> ユニットプライス型積算方式、積算、施工単価、単価合意

【報文】公共工事の出来高部分払方式について

尾関信行・相沢 興・渡邉孝雄

<抄録> 我が国の公共工事における出来高部分払方式について、平成13年から、2件の工事で試行を開始し、その効果を検証した。国土交通省においては、平成14年度から統一的な試行実施要領を定め、試行を全国展開し、効果及び課題の把握等を行うことを目的として、アンケート調査によるフォローアップを実施している。本稿では、平成16年度末までに工期末を迎えた105件の試行工事についてフォローアップを行い、その結果から得られた効果・課題について報告する。

<キーワード> 出来高部分払、建設契約、前払金、設計変更協議

【報文】 ITを活用した建築工事の施工者調達と公共調達における展望

武藤正樹

<抄録> 情報通信技術(IT)を積極的に活用した建築生産の合理化手法として、建設業物流EDI(電子商取引)システムが提案され、住宅生産分野において活用がされつつある。しかしながら、施工者の調達・手配に関しては、従前の生産組織に依存した部分が大きいのが現状である。本報では、今後増加の見込まれるリフォーム事業主体における多能工活用等、個別分散型の建築生産合理化の支援に資するため、物流EDIに用いられている部材の属性情報に所要技能の情報を付加し、かつ、施工者の保有する技能情報と連携させる方策と、公共調達における活用の展望について考察する。

<キーワード> EDI、施工合理化、多能工、能力評価、評判システム

【報文】官庁施設におけるPFI事業

高橋武男

<抄録> 政府全体の取組を踏まえつつ、効率的かつ効果的に社会資本を整備・管理し、質の高い公共サービスを提供するため、PFI法に基づく事業で、平成17年6月30日現在、実施方針が策定・公表されている国土交通省実施のPFI事業10事業のうち、官庁営繕部及び地方整備局が整備を担当する官庁施設6事業の概要を紹介する。

<キーワード> PFI、官庁施設、リスク分担、民間事業者、コスト縮減、VFM

【報文】 New Orleansにおけるハリケーン「カトリーナ」による高潮災害

田中茂信

<抄録> 2005年8月末、米国New OrleansはハリケーンKatrinaによる大規模な高潮災害を被った。今回の調査は米国土木学会の調査団の一員として、大規模浸水被害の復旧途上の中、海外からオランダと日本のそれぞれ1名の専門家の参加が許されたものであり、調査結果はわが国のゼロメートル地帯の高潮対策の教訓となるものである。

<キーワード> ハリケーン、高潮、運河、破堤、越流越波、大規模浸水

【報文】施工維持管理段階におけるデータ交換標準に向けて

亀井敏行・南 佳孝・山元 弘・大山敦郎

<抄録> 施工・維持管理段階では、システム間の情報の共有・連携による業務の効率化が求められている。そこで、本研究では、情報の共有・連携による業務連帯を目的として、施工維持管理段階におけるデータ交換標準の策定に向けて検討を行った。

<キーワード> 建設CALS/EC、ライフサイクル、施工維持管理、データ交換標準、PDB

【報文】針貫入試験を用いたフィルダム軟岩基礎の強度管理

中村洋祐・山口嘉一・箱石憲昭

<抄録> 本報文では軟岩を対象に針貫入試験から推定される一軸圧縮強度と、その乱さない試科に対する三軸圧縮試験から得られるせん断強度との相関について検討し、針貫入試験を用いたフィルダム軟岩基礎の強度管理について考察した。
 その結果、亀裂の少ない軟岩基礎では、針貫入試験による掘削面の設計強度検証の可能性があることがわかった。

<キーワード> 針貫入試験、基礎掘削、強度管理、ダム基礎、軟岩


平成18年3月 報文抄録

【論説】土木技術とグレードアップ

中野正則

【報文】漂砂系における流砂量モニタリングに関する調査

山本幸次

<抄録> 「流砂系の総合的な土砂管理」のもとで、改正「海岸法」の理念の実現に向けた海岸保全を推進するために、国土交通省国土技術研究会の指定課題として「漂砂系における流砂量モニタリングに関する調査」を行っている。本報ではさまざまな現場条件下での漂砂系で行った土砂動態の調査・解析結果に基づく土砂収支図を紹介する。

<キーワード> 漂砂系、流砂量、河口域、土砂動態、モニタリング

【報文】景観検討・評価のための計画デザイン・システムに関する研究

小栗ひとみ

<抄録> 本研究は、平成16年度から18年度にかけて国土技術研究会指定課題として実施する「景観検討・評価のための計画デザイン・システムに関する研究」である。平成16年には、計画デザイン・システムのタイプと特性について整理を行い、平成17年度には、景観アセスと最新の景観動向についての報告を行った。

<キーワード> 景観検討、景観評価、景観アセスメント、計画デザイン・システム

【報文】河川事業における環境影響分析手法の高度化に関する研究

大石哲也・中村圭吾

<抄録> 本研究は、河川事業を人為的インパクトと捉え、生態系へのインパクトを予測・評価する手法を確立するため、平成14年度まで実施してきた事例研究をベースとしながら、環境影響分析方法の高度化に資する検討を行う。事業実施段階における影響を高い精度で予測する方法の開発が目標であり、本報は「河床低下と河道の高水敷化に伴う河川生態系への影響と分析手法の検討」と「河川環境情報の評価と調査法の発展」について結果報告を行うものである。

<キーワード> インパクト・レスポンス、環境影響分析、樹林化、河川調査法、RHS

【報文】 河道内樹木群の治水上の効果・影響に関する研究と公共調達における展望

末次忠司・板垣 修・植木真生

<抄録> 河道内樹木群の治水上の効果・影響を評価し、より適切な樹木群管理手法について検討するため、全国調査を実施するとともに、出水時の現地調査箇所として約30箇所を選定した。全国調査の結果、出水時の流況を調査した事例が少ないこと等が明らかとなった。今後、出水時の流況調査等を実施する予定。

<キーワード> 河道内樹木群、治水上の効果・影響、樹木群管理手法、全国調査、現地調査箇所

【報文】山地流域における土砂生産予測手法の研究

栗原淳一・秋山一弥・酒井直樹

<抄録> この報文は、平成17年度国土交通省国土技術研究会指定課題「山地流域における土砂生産予測手法の研究」における研究成果をとりまとめたものである。本研究課題の目的、研究方法について説明し、すでに開始されている調査・観測結果を紹介する。

<キーワード> 土砂生産予測、山地流域、斜面崩壊、渓床・渓岸侵食

【報文】 地震後の残留変位を低減する橋脚の開発

堺 淳一・Stephen A. MAHIN

<抄録>  RC橋脚の残留変形を低減できる構造を開発し、その地震応答特性を振動台加震実験により評価した。この結果、アンボンドPC鋼棒をRC橋脚の断面中心に配置し、適切な緊張力を与えることで、最大応答変位、基部の損傷の程度は従来のRC構造と大差ないが、地震後の残留変位を大きく低減できることが明らかとなった。

<キーワード> 鉄筋コンクリート橋脚、振動台加震実験、水平2方向地震入力、残留変位

【報文】河床付着物の視覚的評価―河川流量管理にむけて―

皆川朋子・福嶋 悟・萱場祐一

<抄録> 近年、人為的な流量制御に伴う流況の平滑化や河床攪乱頻度の減少等によって、河床面のシルト等の堆積や、藻類の大量繁茂が生じ、河川生物への影響のみならず、人間からみた景観の悪化が指摘されている。本研究は、今後の河川流量管理に資するため、景観的な課題をとりあげ、河床付着物と人間の視覚的評価の関係を明らかにしたものである。

<キーワード> 河川流量、河床付着物、付着藻類、景観評価、河川環境

【報文】トンネル吹付け時の粉じん低減技術の開発

大下武志・波田光敬・井谷雅司・尾花誠太郎

<抄録> ずい道建設工事に伴って発生する粉じんに起因するじん肺症等の粉じん障害は社会問題になっている。このため、山岳トンネル工事における吹付け作業時の粉じん低減技術について、民間提案型で共同研究開発を行ない、模擬トンネルでの吹付け試験および現場試験等により開発・改良した低減技術の効果を確認した。

<キーワード> 山岳トンネル、吹付けコンクリート、粉じん、低減技術、集じん


平成18年4月 報文抄録

【論説】社会的技術

中村俊行

【報文】液状化地盤上の橋台の3次元動的有限要素解析

高橋章浩・杉田秀樹・谷本俊輔

<抄録> 液状化地盤上の河川橋の橋台を対象に、有効応力に基づく3 次元動的有限要素解析を実施した。橋台変位は地震動が最大となった後も振動と共に増加し、堤内地が高いほど永久変形量は大きくなるが、地震時保有水平耐力法で想定している外力で橋台基礎を照査すれば、所定の耐力を橋台基礎に付与させることはできることがわかった。

<キーワード> 液状化、橋台、有限要素解析

【報文】すべり系支承を用いた地震力遮断機構を有する免震橋梁の地震時応答特性

岡田太賀雄・遠藤和男・運上茂樹

<抄録> すべり系支承を用いた地震力遮断機構を有する免震橋の地震時応答特性を把握するため、一般的な高架橋を対象に適用し、橋梁の周期特性・すべり支承の摩擦特性・橋梁の降伏耐力比をパラメータとし動的解析を行った。その結果、摩擦係数を大きくすることで応答値を低減でき、橋梁の降伏耐力比が及ぼす影響は小さいことが確認された。

<キーワード> すべり系支承、免震設計、摩擦減衰、パラメトリック解析

【報文】すべり系支承を用いた地震時遮断機構を有する免震橋梁の振動台実験

遠藤和男・岡田太賀雄・運上茂樹

<抄録> すべり系支承を用いた免震橋梁の地震時挙動を明らかにすることを目的として、3次元大型振動台を用いて桁−支承の上部構造を対象(橋脚は含めない)とした橋梁模型の加振実験を実施した。本文では、すべり系支承の摩擦特性、軸力変動の発生機構について報告する。

<キーワード> 免震、地震力遮断、すべり系支承、摩擦

【報文】 「ディスポーザー社会実験報告」―負荷量原単位調査―

吉田敏章・濱田知幸・ 山縣弘樹・吉田綾子

<抄録> 北海道歌登町を調査対象として実施された社会実験より、ディスポーザーに投入される厨芥量、ディスポーザー排水量、厨芥の汚濁負荷量等基礎的なデータを求めた結果、ディスポーザー投入厨芥量は99g/人・日であり、この処理に必要な水量は0.7Lと推定された。また、厨芥100gの汚濁負荷量として、SS: 8.2g、BOD: 11.3g、CODMn: 5.5g等が得られた。

<キーワード> ディスポーザー、厨芥、社会実験、原単位、汚濁負荷量

【報文】舗装の理論的設計体系の構築に向けて

坂本康文・久保和幸

<抄録> これまでの経験に基づく舗装設計法から、適材適所での自由でかつ合理的な理論的設計法への移行の第一ステップとして、これまでの実績で耐久性等が確認されている舗装断面により、理論的設計法の精度等を検証した。また、理論的設計法の高度化のあり方やそれに向けた課題についても整理した。

<キーワード> 舗装、性能規定、理論的設計法、破壊規準、信頼性設計

【報文】 新潟地域およびブザウサブカルパチアン地域(ルーマニア)の
地すべり地の分布についての比較研究

Mihaela Constantin

<抄録> 日本とルーマニアの地すべりに係る研究の経緯と最近の話題を紹介し、新潟とルーマニアの一地域を例にとり比較研究をした。その結果、ルーマニアでは、すべりの深さとその移動量によって地すべりを分類することが可能であるが、日本では、すべりの深さ、移動土塊量、移動速度のいずれも大きな幅を有し、その分類は困難である。しかし、両地域ともに地すべり地の分布は地域の斜面勾配と地質に支配されている。

<キーワード> 地すべり、ルーマニア、地震、比較、分布

【報文】泥岩地帯における地すべり土塊の風化に関する検討

丸山清輝・花岡正明

<抄録> 地すべりはある程度の時間をおいて滑動を繰り返しているが、その原因の一つとして地すべり土塊の物性が風化の進行により変化し、地すべり土塊の強度が低下して行くことが考えられる。そこで、新第三紀層泥岩地帯における地すべり土塊の風化状態及び、地すべり土塊の風化と地すべり再滑動との関連性を明らかにするために、融雪期に再滑動した地すべりにおいて、地すべり土塊の地質、地下水流動状況、化学成分、粘土鉱物などについて調査分析を行ったので報告する。

<キーワード> 地すべり、泥岩地帯、化学的風化

【報文】模型実験の再現によるアンカー工弾塑性3次元FEM解析モデルの検討

田中 尚・石井靖雄・藤澤和範・森下 淳

<抄録> 地すべり対策に用いられるアンカー工の挙動を表現できる弾塑性3次元FEM解析モデルの構築を行った。モデルの構築は、アンカーを模式的に再現した室内模型実験を再現することによって行った。その結果、アンカーの緊張力変化やすべり面に作用する土圧を概ね再現することができ、要素設定やアンカー緊張力の発生方法について知見が得られた。

<キーワード> アンカー、有限要素法、3次元、弾塑性、解析モデル


平成18年5月 報文抄録

【論説・企画趣旨】豪雨、地震と土砂災害

寺田秀樹

【報文】砂防事業における砂防ソイルセメントの活用に向けた技術的検討

栗原淳一・武澤永純

<抄録> 現場で発生した建設残土を有効活用できる砂防ソイルセメント工法は、各地の直轄事務所で用いられるようになってきた。国土交通省を中心に砂防ソイルセメントの活用に向け技術的な課題について検討を進めてきたが、補助事業での活用を考えた場合、幅広く現場で生じている課題を抽出し、対応していくことが必要と考えられる。そこで、平成17年に全国各地で行った意見交換会で明らかになった課題を提示し、現在の検討状況や今後の砂防ソイルセメントに関する研究の方向性について述べることとする。

<キーワード> 砂防ソイルセメント、残土有効活用、INSEM工法、コスト縮減、環境負荷軽減

【報文】地すべり動態観測による地下水排除工の計画手法に関する調査

鈴木将之・石井靖雄・藤澤和範

<抄録> 地下水排除工の計画規模を逐次修正する手法の提案に向け、災害資料の整理、集水井における流量観測および観測結果に基づく対策工の効果評価指標の検討を行った。地すべりの滑落限界歪量、降雨と地すべり活動との関係、対策工の効果について観測データを整理した結果を述べる。

<キーワード> 地下水排除工、動態観測、降雨、計画

【報文】急傾斜地崩壊対策に用いられる待受け式擁壁の安定性

内田太郎・小山内信智・曽我部匡敏

<抄録> 急傾斜地崩壊対策に用いられる待受け式擁壁の安定性を評価する手法を構築するために、がけ崩れ発生斜面において擁壁に作用した荷重の推定、擁壁の変位の実態を調査した。その上で、地盤の動的変形解析を行い、安定性の評価手法に関する考察を行った。

<キーワード> がけ崩れ、待受け式擁壁、崩壊土砂、衝突、地盤変形

【報文】 菌類等による微細土砂流出抑制効果に関する研究

田方 智・栗原淳一・秋山一弥

<抄録> 沖縄本島をはじめとする南西諸島では、赤土とよばれる微細土砂の海域への流出によってサンゴ等が死滅するといった環境への影響が深刻な問題となっている。本研究では、土壌中に存在する菌類等が繁茂することで、微細土砂の流出が抑制されることを明らかにし、その効果を水路実験や引き上げ試験により検討した。加えて、実験結果をもとに侵食速度式を求め、流出抑制効果の定量的な評価を行った。

<キーワード> 土壌微生物、微細土砂流出、侵食抑制、赤土

【報文】鉛直型雪崩予防柵の雪圧計測

金子正則・花岡正明・秋山一弥・武士俊也

<抄録> こ鉛直型雪崩予防柵は従来のλ型雪崩予防柵に比べ、施工に際し地表の攪乱や樹木の伐採範囲が比較的狭くなるという利点がある。しかし鉛直型予防柵については雪圧の現地計測がされておらず設計にあたってはλ型予防柵の手法を準用している。そこで当センターでは鉛直型予防柵の設置箇所において雪圧計測を行ったので、その結果を報告する。

<キーワード> 雪崩予防工、鉛直型雪崩予防柵、雪圧計測

【報文】 滝坂地すべりにおけるOTDR方式光ファイバ変位検出センサの試験計測

浅井健一・樋口佳意・藤澤和範

<抄録> 土木研究所地すべりチームでは経済的で汎用性のあるOTDR方式による光ファイバ変位検出センサを開発中である。このセンサを用いて滝坂地すべりにおいて試験計測を行い、伸縮計による変位計測結果と調和する計測結果が得られた。

<キーワード> 光ファイバ、OTDR、変位計測

【報文】分かりやすい土砂災害情報について

麝嶋直樹・栗原淳一

<抄録> 住民の避難行動を促すためには、専門知識を前提とせずに理解し行動に移せるような、分かりやすい情報の提供が求められる。面的な危険度評価に基づき、どこがどのくらい危ないのかを明示したコンテンツにより、情報伝達の実験を行った。

<キーワード> 警戒避難、分かりやすい情報、プル型の情報伝達、プッシュ型の情報伝達、レーダー雨量

【報文】S波起震機を用いた活断層調査

倉橋稔幸・稲崎富士

<抄録> 本報告では、平成15年に発生した宮城県北部の地震における震源域の南で、S波起震機を用いた反射法地震探査を実施し、活断層周辺の地下1km以浅を対象にした地下の地質構造を明らかにした結果について報告する。S波起震機による高出力の震源を利用することで、従来の100m程度から10倍以上の約1kmの深度まで調査深度を拡げることが可能となった。

<キーワード> 活断層、S波起震機、反射法地震探査

【報文】天然凝集材(アロフェン)によるダム貯水池濁水の凝集特性

結城和宏・柏井条介

<抄録> 貯水池全体が濁水化した場合の対策として凝集効果のある添加物による沈降の促進が考えられる。本報告ではダム湖の環境への影響が小さい天然の粘土鉱物を凝集材として利用・開発を検討するため、ダム湖等の底泥より製造した模擬濁水を用いて、アロフェンの凝集・沈降特性を調査した。

<キーワード> 貯水池、濁水長期化対策、底泥、天然凝集材、アロフェン、凝集・沈降

【報文】液状化地盤上の道路盛土の耐震対策工法に関する実験

豊田耕一・杉田秀樹・佐々木哲也・石原雅規

<抄録> 液状化地盤上の道路盛土の変形メカニズムおよび耐震対策効果を明らかにするため、動的遠心載荷模型実験を実施した。その結果から、地盤特性や盛土形状や寸法に起因する液状化層および盛土の変形特性を示し、各種耐震対策工法の盛土の沈下量および盛土の亀裂やすべりに着目した対策効果を把握した。

<キーワード> 盛土、液状化、遠心載荷実験、変形メカニズム、耐震対策


平成18年6月 報文抄録

【論説・企画趣旨】下水道「循環のみち」への新たな展開

清水俊昭

【報文】下水処理水再利用の展望と水質基準等マニュアルの策定

田瓠淳

<抄録> 下水処理水再利用の重要性が今後益々高まっていくことが予想される一方、水の安全性への要求が高まっている状況を踏まえ、国土交通省では下水処理水の再利用水質基準等マニュアルを新たに策定した。本稿では、我が国における下水処理水再利用の実態を紹介し、下水処理水再利用の今後の展望について概観するとともに、マニュアルの概要について紹介する。

<キーワード> 下水処理水再利用、水質基準、マニュアル

【報文】メダカを用いた下水処理水の内分泌かく乱作用の評価

中田典秀・東谷 忠・宮島 潔・鈴木 穣

<抄録> >下水処理水の放流先河川において、魚類の雌性化が懸念されている。本研究では、実際の魚(メダカ)を用いた現場曝露試験装置を開発し、同装置を下水処理場内および河川水質監視所内に設置し下水処理水および河川水のメダカへの連続曝露と水質測定を行い、メダカに発現する生体反応と水質との関係について検討を行った。

<キーワード> エストロゲン、内分泌かく乱、メダカ、曝露試験、下水処理水

【報文】液体コンポストの製造とその利用

庄司 仁・落 修一・尾崎正明

<抄録> スラリー状の下水汚泥を緑農地還元する新たな手法として、好気性消化を改良した「液体コンポスト」についての検討を行った。実験の結果から、小型の装置で効率よく有機質肥料を生産できることが判明した。合わせて調査した液体コンポストの特性を踏まえて、適正な利用方法・利用場面についても整理した。

<キーワード> 下水汚泥、緑農地利用、液体コンポスト、好気性消化、有機質肥料

【報文】 貯留・浸透を加えた総合的な浸水対策〜雨水整備レインボープラン博多の取り組み〜する研究

緒方喜一

<抄録> 本市においては、平成11年6月と、15年7月の2度の集中豪雨により、市内各所で浸水被害が発生したことから、現在、浸水対策を最重点に取り組んでいるところであるが、特に、被害が甚大であった博多駅周辺地区においては、「レインボープラン博多」を策定し、総合的な浸水対策を推進している。本報告では、本市の浸水対策とともに、レインボープラン博多の概要について紹介する。

<キーワード> 福岡市、浸透側溝、レインボープラン博多、浸水対策、分流化

【報文】切羽観察結果に基づく地山等級判定手法に関する研究

真下英人・砂金伸治・遠藤拓雄・木谷 努

<抄録> >山岳トンネルの施工時の安全性向上や建設コストの縮減を図るためには、地山状態に応じた適切な支保構造の選定が重要である。トンネルの施工現場では、切羽観察表の記録を行い、それに基づいた支保構造の選定を行っているが、観察結果の評価方法には統一されたものが定められていないのと同時に、地山等級の判定そのものが過去の経験や実績に負うところが大きいのが現状である。本稿では、切羽観察結果の評価を行う手法として、観察項目に重み付けを行い、評点法(加重平均法)を用いた地山等級の判定手法を検討するとともに、実際の現場で本手法の適用性を検証した結果について報告する。

<キーワード> トンネル、地山等級、支保パターン、切羽観察、多変量解析

【報文】 鋼管杭を用いた斜杭基礎の地震時保有水平耐力に関する検討

中谷昌一・竹口昌弘・井落久貴・鈴木規彦

<抄録> 鋼管杭斜杭組杭の模型水平載荷試験を実施し、保有水平耐力について検討した。直杭組杭試験の結果と比較すると、斜杭では初期剛性が高く、最大水平耐力も大きくなるが、水平変形量は抑制されることが確認された。また、大地震の被災地において、初期の最大耐力を維持することを設計意図とした場合には、許容できる塑性率として4程度は期待できることが確認された。

<キーワード> 鋼管杭、斜杭、保有水平耐力

【報文】杭頭にヒンジを有する橋脚基礎の液状化地盤への適用性に関する実験的検討

谷本俊輔・杉田秀樹・高橋章浩・滝内友則

<抄録> 本報は、地震時に杭基礎の応答を軽減することができると考えられる杭頭ヒンジ工法の効果に関する動的遠心模型実験を行った。その結果、上部構造の水平変位は3割程度増加するものの、杭の曲げモーメントを3割程度、フーチングの回転角を5割程度、杭の軸力を引抜き側で3割程度、押込み側で7割程度軽減することなどが確認され、液状化地盤において適用の可能性があることが明らかとなった。

<キーワード> 杭頭結合、動的遠心模型実験、動的相互作用、液状化


平成18年7月 報文抄録

【論説・企画趣旨】土木分野におけるリサイクルの動向

脇坂安彦

【報文】排水性舗装発生材のリサイクル

小長井彰祐・新田弘之・久保和幸・西崎 到

<抄録> 路面雨水を速やかに排水することによる車両の走行安全性向上効果や道路交通騒音の低減効果等を有している排水性舗装が普及している。排水性舗装の表層混合物には特殊な材料が使われているが、そのリサイクル技術は確立していない。ここでは、排水性舗装発生材のリサイクルに関する課題とその解決に向けた取組みを報告する。

<キーワード> 排水性舗装、ポーラスアスファルト混合物、リサイクル、再生骨材、試験施工

【報文】廃木材を利用したNOx除去型舗装材料に関する研究

加藤祐哉・新田弘之・西崎 到

<抄録> リサイクル率の低迷する廃木材の利用用途開発及び幹線道路周辺の大気汚染問題の改善を目的とし、廃木材から得られる多孔質炭素材料(ウッドセラミックス)を用いた舗装用NOx除去ブロックの開発を行い、その舗装への適用性とNOx除去特性を調査した。その結果、歩道への適用性が概ね良好で、高いNOx除去特性を示すブロックが得られた。

<キーワード> 建設廃木材、ウッドセラミックス、酸化チタン、NOx除去ブロック、大気浄化

【報文】コンクリート用再生骨材の現状と品質評価試験法の検討

片平 博・渡辺博志

<抄録> コンクリート解体材は現在、主に路盤材として利用されているが、コンクリート用骨材として再利用することが望まれている。このため現在、再生骨材のJIS化が進められている。この内容を紹介するとともに、残された課題を整理した。土木研究所ではその課題の一つである凍結融解抵抗性に関する研究を実施しており、これまでの成果として原コンクリートの配合が再生骨材コンクリートの性能に与える影響を明らかにし、再生骨材製造時の破砕方法や配合上の工夫では再生骨材コンクリートの凍結融解抵抗性の改善が困難なことが分かった。さらに、再生骨材の耐凍害性を簡易に評価できる試験法を提案した。これらの内容を紹介する。

<キーワード> コンクリート解体材、再生骨材、日本工業規格、凍結融解抵抗性、冷凍庫

【報文】 建設事業における他産業リサイクル材料利用に関する経済学的観点からの検討

明嵐政司

<抄録> 本報告では、より広い経済学的見地から、建設事業以外の産業活動から発生する産業副産物のリサイクル材料評価のための基本的な概念を整理した。さらに、今後の利用が期待される廃棄物である貝殻に着目して、経済学的な観点から、貝殻の既存用途を検討し、今後の技術開発によって安定的なリサイクル材料の利用が見込まれる利用用途を明らかにした。

<キーワード> 建設事業、産業廃棄物、リサイクル、経済学的観点

【報文】ダム貯水池における流木発生量と木質バイオマスとしての利用実態

高橋正人・三宅且仁・牧 孝憲・落 修一・尾崎正明

<抄録> 資源の循環・有効利用の観点から、ダム貯水池に流入する流木も貴重なバイオマス資源である。この流木について、量的な価値評価と利活用の方法を検討する必要がある。平成15〜17年度にかけて、全国の貯水池を対象に流木発生量及び利活用に関するアンケートを実施し、明らかとなった全国的な流木発生量の概算値および流木の利用実体と残された課題について報告する。

<キーワード> 流木、バイオマス、有効活用、焼却処分、地域活性化

【報文】 2004年新潟県中越地震におけるシェッド構造物の損傷と分析

堺 淳一・運上茂樹・小林 寛

<抄録> 2004年の新潟県中越地震では、いくつかのシェッド構造物が激震域、強震域に存在したにもかかわらず、振動による構造物の被害は柱のひび割れ程度と軽微な損傷におさまった。本研究では、被災構造物の実地調査および耐震解析により、シェッド構造物の耐震性能を評価した。

<キーワード> スノーシェッド、ロックシェッド、新潟県中越地震、耐震性、地震応答解析

【報文】円形断面を有する高強度鉄筋コンクリート橋脚の耐力・変形性能

西田秀明・佐藤 大・運上茂樹

<抄録> コンクリート設計基準強度60N/mm2、鉄筋降伏強度685N/mm2まで適用できるRC橋脚の耐力・変形特性評価法を構築するために、高強度材料を用いた円形断面RC橋脚の正負交番載荷実験を行い、現行評価法の適用性について検討した。その結果、円形断面の場合変形性能は横拘束鉄筋に高強度材料を用いることで若干向上すること、現行道路橋示方書に基づく評価法により耐力は評価できるが、終局変位は実験結果より小さめに評価することがわかった。また、終局変位の推定精度を向上させるための補正係数を試算した。

<キーワード> 高強度鉄筋、高強度コンクリート、円形断面鉄筋コンクリート橋脚

【報文】空中写真を利用したダム下流の河床変動情報把握

時岡利和・傳田正利・天野邦彦

<抄録> 本研究では、ダム下流河川における河床低下・粗粒化機構を把握するために、空中写真を利用して過去の河床地形を再現し、川俣ダム下流河川における河床低下・粗粒化過程の推定を行った。その結果、川俣ダム下流ではダム竣工後約17年で河床低下が止まり、最終的な河床低下量は2〜3mであった。

<キーワード> 空中写真、河床低下、アーマー化、ダム下流河川、限界移動粒径


平成18年8月 報文抄録

【論説・企画趣旨】自然災害に対するリスクマネジメント〜国総研での取り組みを中心に〜

綱木亮介

【報文】緊急時における土砂災害リスク監視のための一手法

水野秀明・小山内信智・林真一郎・沖中健起

<抄録> 本報告では、大規模な崩壊等により大量の不安定土砂が流域に供給された場合を対象として、土砂災害を引き起こす可能性のある土砂移動の有無を緊急的に監視する手法を検討した。流水中の土砂容積濃度の時間変化を濁度計で監視することで、土砂災害を引き起こす可能性のある土砂移動の有無の推定が可能であることが分かった。

<キーワード> 土石流、土砂移動、検知、土砂移動モニタリング、濁度計

【報文】都市域氾濫解析モデル(NILIM)の開発

山岸陽介・野仲典理・中村徹立

<抄録> 国総研水害研究室では、都市浸水想定区域図の円滑な算定のために、都市域氾濫解析モデルの開発を行ってきている。本報では解析モデルの概要について紹介するとともに、解析モデルの妥当性検証および精度向上のために行っている水理模型実験について報告する。

<キーワード> 都市域氾濫解析、下水道管路内の水理解析、水理模型実験、内水氾濫

【報文】河川の整備状況評価の中小河川を含む水系全体への展開

野仲典理・藤田光一・石神孝之

<抄録> 災害時の実効的な危機管理の実現や住民等の危機管理意識の向上を図るためには、流下能力等に基づいた河川整備状況の調査・評価・公表が重要である。本報では航空レーザ測量を活用した安価かつ緊急的な河川整備状況評価の取り組みについて紹介する。

<キーワード> 航空レーザ測量、中小河川、治水安全度、危機管理

【報文】 土木施設の被災を考慮した地震・津波の被害想定

日下部毅明・福濱方哉・加藤史訓・片岡正次郎・長屋和宏

<抄録> 地震・津波被害の軽減には、将来発生が予想される地震・津波の被害を事前に予測しておくこと、すなわち被害想定を実施し、それに基づいた対策を行うことが有効である。本報文は、海岸施設と道路施設それぞれの被災を考慮した地震・津波被害想定について、手法の概要とケーススタディの結果を示したものである。

<キーワード> 地震・津波被害想定、海岸施設、道路施設、東南海・南海地震

【報文】光ファイバセンサによる斜面表層崩壊モニタリング技術の開発

加藤俊二・小橋秀俊・古谷充史

<抄録> 平成12〜17年度に実施した土木研究所と民間14社との光ファイバセンサを活用した表層崩壊モニタリングシステムの開発に関する共同研究の取り組みと、その結果にもとづいて表層崩壊の予測と斜面管理の考え方についてとりまとめた概要を報告するものである。

<キーワード> 光ファイバセンサ、表層崩壊、モニタリング、崩壊予測

【報文】円形断面鉄筋コンクリート橋脚の変形性能評価法の高度化

堺 淳一・運上茂樹

<抄録> 道路橋示方書では、RC橋脚の終局変位は、最外縁の軸方向圧縮鉄筋位置におけるコアコンクリートの圧縮ひずみが終局ひずみに達する点と定義される。本研究では、円形断面RC橋脚を対象に、終局限界の判定位置が終局変位の推定精度に及ぼす影響について評価・検討した。

<キーワード> 鉄筋コンクリート橋脚、円形断面、変形性能、曲げモーメント〜曲率解析、終局限界判定位置

【報文】プローブパーソン調査によるつくばエクスプレス開通の影響に関する分析

眞浦靖久・井坪慎二・塚田幸広

<抄録> つくばと秋葉原を最速45分で結ぶつくばエクスプレス(2005年8月開業)の開通に伴う人の交通行動への影響を把握するため、移動体通信機器とパソコンのWebを組み合わせた交通行動調査手法であるプローブパーソン調査をTX開通前後にわたって実施し、つくば−東京間トリップを中心に所要時間短縮や定時性向上等の実態を分析した。

<キーワード> プローブパーソン調査、交通行動分析、所要時間短縮、定時性

【報文】遠心載荷模型実験による地すべり抑止杭の設置間隔の検討

石井靖雄・藤澤和範・田中 尚

<抄録> 杭間隔と地すべり土塊の物性値を変化させて遠心載荷実験を行い、杭間隔が杭周辺の地盤の破壊に及ぼす影響を調べた。その結果、杭間地盤に発生するアーチ状の崩壊は、杭間隔が広くなると杭間を越えて斜面山側に発達する。また、杭間隔のみならず、地すべり土塊の地盤材料によっても破壊状況が変化することが示された。

<キーワード> 地すべり、杭工、杭間隔、遠心載荷模型実験


平成18年9月 報文抄録

【論説・企画趣旨】「道路環境影響評価の技術手法」の新たな展開

福田晴耕

【報文】道路環境影響評価の技術手法の利用状況と課題

曽根真理・並河良治・足立文玄

<抄録> 本調査は、道路環境影響評価の技術手法を改定するにあたって、これまでに行われた道路環境影響評価における技術手法の利用状況について調査した。その結果、技術手法は、‘始環境影響評価に対して評価項目の選定にあたって参考となる選択肢を与えるとともに、項目を選定した後は標準的な手法を提案することで道路環境影響評価の省力化を行う、という機能があることが判った。
 また、「切土・工作物の除去、工事施工ヤード・工事用道路の設置、掘削工事、トンネル工事に係る水の濁り」については、平成19年度以降技術手法に項目追加を行う必要があることも判った。

<キーワード> 道路環境影響評価、技術手法、利用状況

【報文】道路環境影響評価制度の現状に関する研究

足立文玄・曽根真理・並河良治

<抄録> 道路環境影響評価制度全体を見渡したところ、現在、以下の2点について検討を行うことが必要となっている。
ヾ超影響評価の手続きに、長期間を要すること 環境保全措置に、多額の費用を要すること
 上記の問題点を解決するため、環境影響評価の事例調査により原因を把握し、これらの研究結果を踏まえて「道路環境影響評価の技術手法」の全面改定を行った。

<キーワード> 技術手法、環境影響評価、環境保全措置

【報文】新たな道路環境影響評価の技術手法―工事大気環境―

山元 弘・林  輝・吉田 潔

<抄録> 「道路環境影響評価の技術手法」の「建設機械の稼働」及び「資材及び機械の運搬に用いる車両の運行」に係る改正内容について(1)主務省令改正に伴う改正(2)技術的な進展に伴う改正、にわけて説明する。(1)は「基準又は目標」の考え方、(2)は予測用パラメータの更新が主なものである。

<キーワード> 道路環境影響評価、建設機械、騒音、振動、粉じん

【報文】 新たな道路環境影響評価手法―土壌・廃棄物等―

大下武志・森 啓年・古本一司・桝谷有吾・小橋秀俊

<抄録> 現行の「道路環境影響評価の技術手法」がとりまとめられた平成12年以降、土壌汚染や廃棄物については、多数の法令の制定・改正、大綱・目標の設定、通達やマニュアルのとりまとめ・改正が行われた。このことは、最近の国民の環境に対する高い関心を示したものであり、今後道路環境影響評価を実施する上で、さらにこれらの対応が重視される可能性がある。
 本報文においては、新たにとりまとめられた「道路環境影響評価の技術手法」のうち土壌(11章)、廃棄物等(16章)の主な改定内容について、改定の背景も含めて紹介する。

<キーワード> 道路環境アセスメント、土壌汚染、地下水汚染、建設廃棄物、建設発生土

【報文】「動物」、「植物」、「生態系」における環境影響評価事例の分析と集成

大塩俊雄・松江正彦

<抄録> 「動物」、「植物」、「生態系」における環境影響評価を行う場合、その検討の際に参考となる科学的知見や類似事例等が全般的に不足している状況であることから、今回改正する技術手法では、新たな調査・研究の成果や、現場で実施している保全措置等の収集を踏まえて、最新の科学的知見や対策事例等の内容を追加掲載するものである。

<キーワード> 環境影響評価、環境保全措置、動植物・生態系、道路事業、事例集

【報文】道路事業における景観の環境影響評価手法

小栗ひとみ・松江正彦

<抄録> 「道路環境影響評価の技術手法」の改定に伴い、「景観」においては「身近な自然景観」の視点が追加された。本稿は、その改定のポイントを中心に、調査・予測・評価に関する補足的な解説を行ったものである。

<キーワード> 環境影響評価、景観、身近な自然景観、道路事業

【報文】省令改正に伴う「道路環境影響評価の技術手法」の改定─第1巻(総論)について─

大塚和夫・土居敏彦・ 轟 正和

<抄録> 平成18年3月に環境影響評価に係る主務省令が改正された。それに伴い、「道路環境影響評価の技術手法」第1巻(総論)について、主務省令の改正の趣旨を踏まえた改訂を行った。本稿では、改正された省令条文の具体例を示しながら、第1巻(総論)に記載した解説文の概要を記した。

<キーワード> 環境影響評価、技術手法、主務省令、オーダーメイド、不確実性

【報文】洪水時の流木集積による橋梁近傍の被災と対策に関する実験的検討

坂野 章

<抄録> 近年、急流河川の洪水時における橋梁部へ大量の流木集積によって、水位せきあげによる堤防越流及び橋梁周辺の河床洗掘や河岸侵食等の被害が増加している。本論文は、このような状況のメカニズム及び対策に関して水理実験によって検討した結果を述べるものである。

<キーワード> 流木集積、急流河川、橋梁、河床洗掘、河岸侵食、水位せきあげ、メカニズム、対策、水理実験

【報文】火山活動の推移に伴う泥流発生規模の推定手法に関する研究

山越隆雄・田方 智・栗原淳一

<抄録> 噴火時には噴火活動の推移に応じて、火山灰の堆積範囲や厚さなどが変化するため、泥流の規模等は時間の経過とともに変化する。本研究では、火山活動の推移による火山灰の堆積状況などを考慮できる泥流ハイドログラフ推定モデルを構築し、実測をよく再現することができた。また、噴火後の主な生産源となるガリーの形成特性について検討し、移動可能土砂量の推定法を示した。

<キーワード> 火山噴火、火山灰、泥流ハイドログラフ、移動可能土砂量、三宅島

【報文】大規模地震時における線状地中構造物縦断方向の耐震解析法

岡田太賀雄・小林 寛・運上茂樹

<抄録> 線状地中構造物の縦断方向の耐震解析法である地中構造物を弾性床上の梁にモデル化する応答変位法について、大規模地震時に生じる可能性がある、地盤と構造物間の滑りを考慮した新しい梁ばねモデルを提案した。新しいモデルについて3次元FEMモデルによる解析と比較して同程度の結果が得られることを確認した。

<キーワード> 線状地中構造物、応答変位法、地盤と構造物間の滑り、軸ひずみ伝達率


平成18年10月 報文抄録

【論説・企画趣旨】道路構造物の性能評価技術の開発

萩原良二

【報文】FWDによる舗装の疲労破壊輪数の評価法

坂本康文・寺田 剛・久保和幸

<抄録> 舗装の疲労破壊抵抗性を現地で簡易に評価できる手法としてFWD(重錘落下式たわみ測定装置)に着目し、直轄国道におけるアスファルト舗装の長期の調査データに基づいた検討を行った。その結果、施工後の路面のたわみ量から当該舗装の疲労破壊輪数を推定できることがわかり、都道府県・市町村道を含めたこれまでのFWDの測定データからも、この評価法の妥当性が確認できた。

<キーワード> 舗装、FWD、疲労破壊輪数、性能、評価法、たわみ

【報文】現場の施工条件を考慮した舗装の塑性変形輪数の評価法

寺田 剛・金井利浩・鈴木秀輔・久保和幸

<抄録> 平成13年7月に通達された舗装構造に関する技術基準では、舗装の性能指標として塑性変形輪数が定められ、評価法としてホイールトラッキング試験(WT試験)が示されている。しかし、現行のWT試験は、室内作製供試体を使用して、締固め度100%、厚さ5cm、接地圧0.627MPa(6.4kgf/cm2)で試験することになっており、実際に施工された舗装の施工条件を考慮した評価法になっていない。そこで、実際に施工された舗装の塑性変形輪数を評価することができる試験条件及び加熱劣化の影響が少ないWT試験用供試体作製方法の提案を行ったので、その結果を報告する。

<キーワード> 性能評価、塑性変形輪数、再加熱、ホイールトラッキング試験、プラント

【報文】路床剛性を評価する現場試験法

中島伸一郎・大下武志

<抄録> 路床の品質管理および舗装の理論設計に資する路床剛性の評価技術の確立を目的として、実大路床および試験舗装において、路床剛性を求める各種現場試験法を適用した。実験の結果、重錘落下型の現場試験は路床剛性を経済的かつ十分な精度で評価しうることを確認した。また、舗装構築や路床浸水が路床剛性に及ぼす影響に関する基礎データを取得した。

<キーワード> 路床、性能、弾性係数、現場試験法、重錘落下型

【報文】 鋼少数主桁橋の耐風安定性評価法

村越 潤・麓興一郎・稲垣由紀子

<抄録> 近年、建設事例の増えつつある合理化鋼少数主桁橋について、二次元模型風洞試験と実橋振動試験を行い、耐風安定性の検討を行った。その結果、振動発現時の風速・振幅の推定式、構造減衰の推定式及びこれら推定式に基づく耐風安定性の評価手法を提案するとともに、実橋に対する適用性を確認した。

<キーワード> 道路橋、鋼少数主桁橋、風洞試験、振動試験、耐風安定性、評価

道路橋橋脚の耐震性能評価に用いる実験に関するガイドライン(案)

西田秀明・運上茂樹・星隈順一

<抄録> 橋の耐震性能や耐力・変形性能を検証する方法の一つとして、正負交番載荷実験や振動台実験などが行われる。しかし、これらの実験に基づいた橋の耐震性能評価法には、現在、統一された標準的な手法がなく、実験結果の解釈に差異が生じる場合がある。本文は、鉄筋コンクリート橋脚を対象とした実験について、実験結果に差異が生じると考えられる事項や統一事項として考慮すべき点について検討した成果をとりまとめた「橋の耐震性能評価に用いる実験手法に関するガイドライン(案)」について紹介するものである。

<キーワード> 耐震性能評価法、正負交番載荷実験、振動台実験、鉄筋コンクリート橋脚

【報文】道路景観形成時の合意形成における観点

高宮 進・岡 邦彦・中野圭祐

<抄録> 「景観法」の施行などを受け、今後は景観に配慮しつつ社会資本が整備される。社会資本の整備に際しては合意形成が重要な課題であり、本稿では、道路景観形成時の合意形成に関する事例調査結果に基づき、道路景観形成時の合意形成において対応すべき観点と、各観点に関する具体的な対応等についてまとめる。

<キーワード> 道路景観形成、合意形成、専門家、視覚化ツール

【報文】世界におけるFlash Floodの特性と今後の研究課題

栗原淳一・山越隆雄・寺田秀樹

<抄録> Flash Floodは、世界各地の山地河川で発生しており、局所的に発生しその被災範囲は比較的小さいものの、土砂や水が突発的に流出するため、その発生予測が難しいとされ、人命の被害に直結しやすい。収集したFlash Floodに関する資料に基づいて、(1)関係機関が示すFlash Floodの特性や、(2)土砂濃度が比較的低いと思われる事例、(3)Flash Floodの被害に関係する社会的背景等を各々紹介して、その実態を明らかにする。

<キーワード> Flash Flood、山地河川、突発的流出

【報文】建設工事で遭遇するダイオキシン類汚染土壌の対策

森 啓年・桝谷有吾・小橋秀俊・工藤章光・中村隆浩

<抄録> ダイオキシン類は微量でも毒性が強いとされるため、汚染が発見された場合は社会的に関心を集める可能性が高い。建設工事においても無縁ではなく、不法投棄現場や最終処分場跡地等に存在する可能性がある廃棄物混じり土によりダイオキシン類汚染が顕在化している現場が存在し、周辺環境へ影響を与えないよう適切に対応することが求められている。
 (独)土木研究所では、建設現場において遭遇するダイオキシン類汚染に適切に対応できるよう、平成12年度より研究開発を実施してきた。これらの研究成果をもとに、平成17年6月には公共事業として実施される建設工事において、敷地内でダイオキシン類汚染の可能性がある土壌等に遭遇した場合の対応方法を示した「建設工事で遭遇するダイオキシン類汚染土壌対策マニュアル(暫定版)」をとりまとめた。本報文では、本マニュアルの概要について報告する。

<キーワード> ダイオキシン、土壌汚染、マニュアル


平成18年11月 報文抄録

【論説・企画趣旨】戦略的な道路構造物マネジメント技術とは

福井次郎

【報文】道路橋の維持管理に関する取り組み

玉越隆史・小林 寛・武田達也

<抄録> 本稿は、高度成長期に大量に建設された道路橋ストックを今後適切に維持管理するために、道路資産が直面している課題、現在国土交通省が行っている取り組等を紹介するものである。

<キーワード> 道路橋、維持管理、点検、計画的管理、マネジメントシステム

【報文】橋梁の耐震補強と今後の技術課題

運上茂樹・西田秀明

<抄録> 本文では、平成17〜19年度に国土交通省により実施されている橋梁耐震補強3カ年プログラムにおける耐震補強の考え方、橋全体としての耐震性能の向上を図る耐震補強工法とともに、耐震補強に関する今後の技術開発の方向性について整理した結果を報告するものである。

<キーワード> 橋梁、耐震補強、3箇年プログラム、施工性、技術開発

【報文】塩害を受けるコンクリート橋の維持管理手法に関する検討

古賀裕久・渡辺博志・中村英佑

<抄録> 塩害を受けるコンクリート橋の維持管理を効率的に行うためには、「コンクリート橋の塩害に関する特定点検要領(案)」などによる点検結果を活用し、将来の劣化可能性を評価することが有効と考えられる。本報では、主要な点検項目である塩化物イオン量の測定結果の誤差や将来予測の精度について、検討を行った結果を紹介した。

<キーワード> 維持管理、橋梁、コンクリート、点検、塩害

【報文】 舗装の効率的な維持管理について

藪 雅行・久保和幸

<抄録> 舗装の効率的な維持管理に関連する事項として、管理目標の設定手法と維持修繕工法選定に関する取り組みを紹介する。管理目標については、過去の調査結果を実験等で補完することにより、管理目標の設定手法を整理しようとしている。維持修繕工法については、シール材注入工法など従来維持工事として扱われてきた予防的な工法に着目し、その合理的な適用に向けた検討を進めている。

<キーワード> 管理目標、維持管理、維持修繕工法

【報文】 長大橋における長期防錆型塗装系の採用によるLCCの低減

長谷川芳己・小林克己・長尾幸雄・山口和範

<抄録> 本州四国連絡橋は17の長大橋で構成されており、安全・安心・快適な交通路として、200年先の23世紀においても確実に機能を果たすため、予防保全の手法を用いて、万全の維持管理をすることとしている。本紙では、長期防錆型塗装系の採用と塗膜厚変化の測定に基づく塗替時期の適正化によるLCCの低減について報告する。

<キーワード> 本州四国連絡橋、長期防錆型塗装、塗膜点検、塗替塗装、LCC

【報文】バスプローブに関する基礎的研究

酒井秀和・塚田幸広

<抄録> 本報文では、プローブカー調査方法の概要・特徴を簡単に整理するとともに、一般車との走行特性の違いが課題と指摘されているバス車両によるプローブカー調査に着目し、バスプローブデータを補正することで、有効なデータとなりえるかの検討を行っている。

<キーワード> 旅行速度調査、プローブカー調査、バスプローブ、道路行政マネジメント、アウトカム指標

【報文】近年の交通事故発生状況に関する統計データ分析

岡 邦彦・池田武司・橋本裕樹

<抄録> 全国的な事故発生状況を把握するために、国内外の交通事故に関する統計データ等を用いて必要な分析を行い、(1)施策の対象とすべき事故に関する検討、(2)道路側で実施すべき対策に関する検討、(3)対策実施箇所の選定に関する検討を実施した。

<キーワード> 道路、交通事故、交通安全対策、事故分析、事故危険箇所

【報文】カーテングラウチングのチェック孔省略に関する検討

山口嘉一・佐藤弘行・阿部智彦・西岡正浩

<抄録> ダム基礎のグラウチング技術指針が改訂され、カーテングラウチングにおいて規定孔次数の2次孔化や、直前次数の注入効果の考慮などが取り入れられている。本研究では更なるグラウチングのコスト縮減を目的として、既設ダムの最終次数孔とチェック孔の効果判定結果を比較し、チェック孔の省略可能性について検討している。

<キーワード> ダム基礎、カーテングラウチング、ルジオン値、最終次数孔、チェック孔


平成18年12月 報文抄録

【論説】ICHARMが国際公約を果たすために

竹内邦良

【報文】土壌シードバンクを活用した湿地植生の再生:現状と課題

西廣 淳・松江正彦

<抄録> 湿地の植生を回復させる手法として、土壌シードバンクを植物の供給源として活用する方法を紹介した。霞ヶ浦で進められている湖岸植生帯再生事業について解説し、その結果を踏まえ、土壌シードバンクを活用する事業での留意点について整理した。

<キーワード> 自然再生、植生復元、発芽、生物多様性、霞ヶ浦

【報文】シートとパイプを用いた排砂装置

櫻井寿之・柏井条介・久保康夫

<抄録> 年堆砂量の比較的小さい貯水池においても適用可能な堆砂対策の一つとして考案したシートとパイプを用いた排砂装置について、水理模型実験により得られた基礎的な知見を報告する。この装置は水底部の堆砂面上に設置することが特徴であり、|水池運用の変更が不要、∧流量に対する供給土砂量を高い精度で制御、設備規模が小さく経済的となることを目標として検討を実施した。

<キーワード> 貯水池、堆砂、排砂、シート、パイプ

【報文】実用的な道路防災事業効果評価手法の開発

鶴田 舞・日下部毅明

<抄録> 道路施設管理者が容易に扱うことができる定量的な事業評価手法の確立を目指し、対象地域を襲うさまざまな地震に対して、道路防災事業の実施効果を定量的に評価する手法を検討した。また、ケーススタディーを実施し、手法の適用性を確認した。

<キーワード> 防災事業評価、費用便益、地震動

【報文】 砂礫構造の違いによる河原植物の生育環境特性―砂礫河原再生の考え方―

大石哲也・天野邦彦

<抄録> 現地調査、実験より、砂礫構造の違いが、河原植物の生育環境特性に及ぼす影響を確かめた。現地調査では、砂礫構造の違いにより、植物の生育量(植被率)がどの程度違うかを明らかにした。室内実験では、砂礫構造、灌水頻度を変え、それらが植物の成長に及ぼす影響予測の検討を行った。

<キーワード> 砂礫河原、砂礫構造、自然再生、発芽実験、シオレ点

【報文】 レーザプロファイラ及び空中写真による河川中流域の河床標高推定手法の開発

傳田正利・時岡利和・天野邦彦

<抄録> 近年、急速に普及が進むレーザプロファイラ、デジタル空中写真は、今後、河川環境調査・河川管理の高度化に大きな可能性を持ち、データの高度な利用が期待されている。土木研究所では、レーザプロファイラ及びデジタル空中写真を利用した河床標高推定手法の開発を行った。本報では、レーザプロファイラ及びデジタル空中写真を利用した河床標高推定手法の概要とその検証結果を報告する。

<キーワード> レーザプロファイラ、デジタル空中写真、河床標高推定、RGB、DEM(Digital Elevation Model)

【報文】遺伝情報とコスト距離を用いた水域エコロジカルネットワーク計画の比較検討

山下慎吾・村岡敬子・天野邦彦

<抄録> 本研究は、水域エコロジカルネットワーク計画を比較検討する手法を提示することを目的として、指標生物の遺伝情報と、地形や土地利用の配置を考慮したコスト距離概念を活用した評価を行ったものである。検討の結果、提示した手法を用いて最適な水域エコロジカルネットワーク修復パスの選択が容易になると考えられた。

<キーワード> コスト距離、DNA、エコロジカルネットワーク、GIS、リスクベネフィット

【報文】建設事業におけるCO2排出量に関する検討

木嶋 健・寺田 剛・明嵐政司・西崎 到

<抄録> 本報文では、建設事業におけるライフサイクルCO2排出量の算定・評価に必要とされる各種のCO2原単位(産業別原単位、材料別原単位、事業別原単位、構造物別原単位)について、その算定方法および算定結果を示す。

<キーワード> 建設事業、ライフサイクル、CO2排出量、原単位

【報文】回転杭の先端支持力に及ぼす群杭効果の検討

中谷昌一・竹口昌弘・井落久貴・澤石正道

<抄録> 回転杭の先端支持力に及ぼす群杭効果を確認することを目的として、遠心模型実験とFEM解析を実施した。群杭は単杭に比べ初期の沈下剛性は小さいが、変位の増加に伴う沈下剛性の低下度合いは小さい。また、杭間隔が3.0Dp以上であれば、単杭と同程度以上の杭先端の極限支持力が期待できることが確認された。

<キーワード> 回転杭、先端支持力、群杭効果、遠心載荷模型実験、FEM解析