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針入度試験の針調整-文字伝達と画像伝達の比較-

1. 針入度試験の「針調整」を「文字」で伝えると

写真-1 針入度試験機

 恒温水槽中でガラス容器の三脚形金属台の上に試料容器を水没するように設置し、恒温水槽の水を満たしたままガラス容器を針入度試験機の試験台上に載せる。光源を適当に調整し、試料の表面に針の先端の影を投じ、針の先端を試料の表面と接触させる。

(日本道路協会『舗装調査・試験法便覧』より)

 しかし、この文章だけでは、「未経験者がこの記述のみで針入度試験の針調整を実施できるであろうか?できたとして、同じ手順になりうるのか?」という疑問が浮上します。

 未経験者にとっては、針調整をするにあたり次の2つが具体的にイメージしにくいものと思われます。

  • 「光源を適当に調整」→どのように調整するのか?
  • 「針の先端を試料の表面に接触させる」→どのように接触させるのか?

2. 光源角度の調整と針入度ゼロ点の調整-画像の利用-

 上記の疑問を解決するためには、文字だけで伝達するのではなく、画像(静止画写真)を利用して伝達するという手段があります。

 「光源を適度に調整」とはどういうことでしょうか?

 写真-1の右上に光源があります。この光源を調整することによって、水中にある針の先端とアスファルトの表面が接触しているかどうかが見えます。写真-2は水面反射が強い状態、写真-3はアスファルト面反射光が水面反射光よりもわずかに強い状態で、針先が見えない、あるいは非常に見づらい状態です。

写真-2 水面反射が強い状態

写真-3 アスファルト面反射がわずかに強い状態

 ここで重要なのが図-1に示す光と影の関係です。写真-4のように水面反射の影の部分を大きくし、その”影”の中で針先を見ることが、「針入度ゼロ点の調整」の重要なポイントとなります。写真-4の真ん中の写真のように、針と針の影が接触したときが針入度ゼロ点になります。右の写真のようにならないように、慎重に針先をアスファルト面に接触させましょう。

図-1 光と影の関係

 a) ゼロ点接触前  b) ゼロ点接触?  c) ゼロ点超過
(回復不能、再試験)

写真-4 針入度ゼロ点の調整

3. まとめ

 針入度試験の針調整を、「光源を適当に調整」、「針の先端を試料の表面に接触」といった文字だけで理解するには限界があります。また、光源調整、針調整について画像の内容を文章にすると膨大な量になり、かえってわかりにくくなるという問題があります。このように、画像(場合によっては動画)を用いることによって、試験手順を効果的に示すことが可能となります。