(一財)土木研究センター/開発技術の紹介/引張りラジアルゲート

 

引張りラジアルゲート

 

●概要

 ラジアルゲートはピン回転の円弧形状であることから、放流水脈の水理特性に優れています。しかし従来のラジアルゲートは、主要部材である脚柱が圧縮部材として使用されています。
 鋼材は引張りには大変強いが、圧縮に対しては座屈を考慮するとあまり強いとはいえません。そこで発想を転換し、材料の特性を活かしたゲート構造として、引張りラジアルゲートの概念を生み出しました。

 

●基本的構造

 

●開発の経緯

 建設コスト縮減を図りながら、今日のダム放流設備に要求される水理機能を満たし、かつ各種の合理化施工や既設ダムの再開発にも適用でき、景観設計の面でも優れた流量調節ゲートを開発することが求められています。このような要求を満たすことのできるゲートとして、水門の風土工学研究において2枚扉の引張りラジアルゲートを研究開発しました。引張りラジアルゲートは試設計で他ゲートより重量が約30%程度軽減することが出来ます。なお、平成12年度沖縄開発庁・羽地ダムの河川維持用水等放流設備、および非常用放流設備の主ゲートとして2枚扉の引張りラジアルゲートが製作据付されることになりました。その後、改善を加えより水理特性、操作性、安全性などに優れた1枚扉の引張りラジアルゲートの開発をおこなってきました。

 

●特徴

(1)

脚柱は引張り材であり座屈の恐れはなく、材料特性を活かした構造です。

(2)

あらゆる開度でキャビテーションの発生がなく、高速流の制御が行えます。

(3)

ゲート全開時の流量係数が0.9〜0.93程度と他型式より大きくなります(図-1)。

(4)

高圧ラジアルゲートやジェットフローゲートのような大規模空間を堤体内部に必要としません。操作室が小さくて済み、また設置箇所の自由度が大で、景観設計等に資することができます。

(5)

放流管のみ先行据付でき、扉体・開閉装置は堤体コンクリート打設後に据付けられるためダム打設期間の短縮化に対応できます。

 

●水理特性

 


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