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劇場版地盤汚染遭遇物語ー土壌汚染の常識・非常識ー
 
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3.調査時における防護具の着用

A主任

表層調査で指定基準超過があったので詳細調査ボーリングを実施することになりました。調査で防護具を装備して調査しようとしたところ、D係長から周辺住民から白い目で見られるのでやめてと言われました。調査会社は、作業者防護の観点から、タイベックスーツ、活性炭入りマスク、ゴム手袋の装着を求めています。発注者にどのように説明すればよいでしょうか。

B部長

調査の段階では、なかなか何が入っているかわからんから、慎重に調査を実施することは元請けとして必要なことやと思うがな。

A主任

最初から意見が一致するのは珍しいですね。

部長B

そうやな、そもそも見積を出す段階で、防護具って認めてもらえんもんな。ちょっとC課長に相談してみぃ。

C課長

我々の提案に耳を貸してもらってありがとうございます。別の調査でも発注者から文句を言われたことがありました。うちの社内標準でも作業者防護は最優先事項となっています。

部長B

もし瓶入りの薬品とかが地中にあって、調査中に事故でもあったら元請けの責任になるからなあ。

C課長

その通りです。

主任A

土壌ガス調査においてベンゼンが数ppm検出されています。また、何かわかりませんけど卵の腐ったような臭いがします。

B部長

ベンゼンの数ppmという数字自体は、そんなに大きい数字やない。しかし、ベンゼンは発ガン性があることがわかっており、現在ではガソリンにもほとんど含有されていないはずや。土壌汚染調査で大きな事故が起きたという話しは聞いていないけど、遺棄化学兵器の問題などありそうな場所は注意するに越したことはないからな。卵の腐ったような臭いは、たぶん硫化水素臭やからそんなに心配する必要はないと思うけど、我々は調査の時点で非常に無防備にボーリングしているからな。

C課長

土壌汚染の毒性は、地下水に溶出してその地下水を飲料に供することによって起こる曝露と、汚染した土壌を触って皮膚からの吸収あるいは経口摂取する経路の2つの観点から評価されています。調査時には、高濃度の揮発性物質が瓶や缶の破損によって突発的に噴出することが考えられます。遺棄化学兵器などは国内では地域が限定されていると思いますが、スプレー缶が土壌から出てくるのはめずらしいことではありません。気体を吸入したり、目に入ったりすることは予期しなければなりません。土壌環境基準にリストアップされている物質以外にも危ない物質はたくさんありますからそういったことも考慮しなければいけません。

A主任

私もシルトに細砂が混じっているかどうか確認するために素手で試料を触ったりしています。

C課長

強酸、強アルカリの場合には、むやみにさわるのはよしましょう。また突起物や注射針があったりします。

B部長

今回は、珍しく意見が一致するなあ。土地の履歴から判断して廃棄物が埋まっている可能性があるときは、発注者がダメダメといっても防護具が必要やな。

A主任

どうしても防護具なしでといわれたら、50才以上の子供をつくる可能性のない人に現場を担当してもらいましょう。

C課長

またそっちのほうに話しがいく。河川敷きでドラム缶が地下に埋まっていた場合もあります。必要に応じて物理探査で範囲を特定するなど臨機応変に機転を利かす必要があります。また、物理探査で地下水の深度も予め知ることもできます。

B部長

やっぱり商売上手やなあ。そういえばある研究所跡地で、瓶を埋設した位置を知るために電磁波(レーダー)探査をしたことあるわ。

C課長

やっぱり調査を依頼するなら、土壌地下水調査だけでなく、いろいろな角度から地盤を検討する当社のような地盤調査会社がいいですよ。

B部長

まあ、そやけど防護服の件、D係長が認めてくれるかなあ。

C課長

調査会社にとっては大きな課題です。ぜひとも認めていただくようにお願いします。他所での実績とか用意します。

B部長

お願いしますよ。(終)

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1.はじめに
2.調査の目的
3.防護具
4.有効数字
5.詳細調査
6.汚染土の希釈