軟弱地盤総合研究所の研究内容
大きな沈下が予想される軟弱地盤上に、建設コストの縮減を図りながら道路を安全に建設するノウハウを提供します
合理的な軟弱地盤対策で道路建設のコスト縮減


 全国的な幹線道路ネットワークを構成する高規格幹線道路、お よび、それを補完する地域高規格道路においては、以下のいず れかの機能を有することが求められています。

連携機能
   通勤圏域の拡大や都市と農山村地域との連帯の強化による地域集積圏の拡大を図る環状・放射道路

交流機能
   高規格幹線道路を補完し、物資の流通、人の交流の活発化を促し地域集積圏間の交流を図る道路
連結機能
   空港・港湾等の広域的交流拠点や地域開発拠点等との連結道路
<技術的な課題>
   軟弱地盤上に高規格道路等を建設する場合、要求される機能を確保し、かつ、建設コストを縮減するには、以下の技術的課題への対応が必要です。
  ◆軟弱な粘性土地盤などに盛土を設計する場合、一般的な地盤評価と設計手法では、沈下・安定のために全線に渡る軟弱地盤対策工が必要と判断され、軟弱地盤対策工の建設コストが膨大となります
  ◆設計者が準拠する道路土工指針、道路橋示方書等の基準は、 全国を対象とした一般的な内容であり、具体的な検討には建設地の特有な条件への対応が必要となります
 

高規格幹線道路の機能イメージ
(国土交通省近畿地方整備局HPより)

道路盛土の要求性能の例
道路盛土の要求性能の例

性能1: 健全性を損なわず、通常の維持管理で交通機能を確保できる性能
性能2: 有害な変形が発生するが、短期の補修で機能を回復できる性能
性能3: 交通機能は喪失するが、崩壊しても周囲に甚大な影響を与えない性能

 
 
   


設計水準・技術基準の策定
  建設地の特有な諸条件に適応した設計水準・技術基準(ロー カルルール)を策定します(技術検討委員会等による妥当性検 証も対応可能です)。

軟弱地盤対策工法の選定
  技術基準を基にした軟弱地盤対策技術・工法を選定します。
調査・設計・管理手法の提案
  上記の成果を生かした合理的な地盤調査・設計手法と的確な 施工管理手法を提案します。
実務運用をサポート
  作成した基準(ローカルルール)に準拠して合理的な設計・ 施工を行うためには軟弱地盤に関する高度な知識を有し、地域 の地盤特性やローカルルールに精通している必要があります。
  このようなニーズに対応するため、CM(コンストラクション ・マネジメント)方式を活用し、専門技術者の現地常駐、地盤 技術者によるバックアップ体制の確立により、実務面でのサポ ートを行います。


土木研究センターが提案する検討モデル


軟弱地盤総研が提案した有明海沿岸道路における検討・実施事例

軟弱地盤対策のコスト縮減例
     
   路面段差が問題となる道路・水路BOXへの対応
・非着底の深層混合処理工法+浅層混合処理によって、BOXの沈下を許容値以下に制御
・BOX周辺の沈下差を考慮して、段差緩和区間の改良体長さを設定


当初計画 見直し後
当初計画 見直し後
コスト比率:1.00 コスト比率:0.29 (縮減率71%)


(当初計画)
杭基礎
(見直し例1)
杭+軽量盛土+補強土壁
(見直し例2)
複合地盤基礎
(当初計画) (見直し例1) (見直し例2)
橋台基礎として一般的に適用され、杭で橋台の安定を確保 橋台背面を軽量化して橋台への土圧を軽減し、杭本数を減少させて安定を確保 杭頭付近の軟弱層を地盤改良し、地盤反力の確保・せん断抵抗力のアップにより、橋台の安定を確保
コスト比率:1.00 コスト比率:0.63
(縮減率37%)
コスト比率:0.45
(縮減率55%)

軟弱地盤総研が提案する「フローティング型 壁式地盤改良工法」
 地盤改良の目的は、軟弱粘性土地盤の安定・沈下問題が主であったが、最近は砂地盤の液状化も大きな問題となっている。ここでは、盛土の沈下や周辺地盤の沈下を大幅に軽減し、さらに拘束効果により液状化を軽減する「フローティング型 壁式地盤改良工法」について紹介する。 
図-1 壁式改良工法   図-2変位抑制壁付き壁式改良工法
図-1 壁式改良工法   図-2変位抑制壁付き壁式改良工法
 
1. 特徴
   改良壁とそれに囲まれた地盤が一体的に沈下するため、沈下対象層が壁部下端より下部のより硬い層となることや壁側部の周面摩擦力により沈下対象層への載荷荷重が減少することから、杭式地盤改良に比較して沈下量が大幅に減少する。
  壁部を盛土横断方向に設置するので地下水の流れを阻害せず、 更に改良壁間が拘束されるため耐震性が高い
 
2. 沈下低減効果(佐賀国道事務所:大川佐賀道路軟弱地盤対策技術基準検討委員会資料より)
  盛土高さH=8m(無対策では盛土天端沈下量が340cm発生する地盤)で、沈下量は90cm程度と30%程度と大幅に減少
  周辺地盤(法尻2m離れで70cm発生する地盤)の沈下量は、わずかに3cmに激減
       
図-3 大川佐賀道路試験盛土の一例   図-4 大川佐賀道路試験盛土の沈下経時変化
図-3 大川佐賀道路試験盛土の一例   図-4 大川佐賀道路試験盛土の沈下経時変化
     
 
図-5 盛土中央の沈下分布結果(壁間中央)   図-6 大川佐賀道路試験盛土の地表面沈下分布
     
3.コストメリット(設計水準:盛土天端の沈下量 供用後3年間で10〜30cm、法尻沈下5cmの場合)
表-1 コスト比較(盛土高さ8m)
  壁式改良工法
(改良壁の間隔4.9m 改良率18%)
杭式改良
(改良率30%)
延長100m当たり(直接工費) \93,000,000-(0.71) \131,000,000-(1.00)
 
4.壁式改良工法研究会    フローティング型壁式地盤改良工法の普及、及び技術の向上を目的として設立

トップページへ戻る